29.準備
伊豆大島に行く決断をしたけれど、だからってすぐ行けるわけじゃない。
私の体調の問題もあるし、何を持っていくかも関係する。
仮に船を見つけられたとしても、この家と豊洲のあたりを往復するなんて現実的じゃない。1回ぐらいはできるかもしれないけれど、全部の物を持ってはいけない。
とはいえ必要そうなものを全部並べてみる。
距離を考えれば3日はかかると思うから、試しに3日分の食糧とそれを温めるためのコンロ、水6リットル、替えの下着3日分、非常用トイレ1ダース、懐中電灯にヘッドライト、あとはノートPCとタブレット、スマホ充電器と必要な電池の束、そしてウサギのぬいぐるみ。
「どう考えてもリュックに入りきらないよねこの量は」
そもそも食料3日分が多すぎる。
3食食べる気でいるのはいいけれど、かさばるカップ麺とかパックご飯なんて持っていってもしょうがない。
それなら道中のスーパーとかコンビニでその日食べるものを探したほうがいい。
念のためそういったお店が見つけられなかったときの為に、クッキー系のバランス栄養食の箱を数個に絞る。
あと、水筒を用意した。持って歩く上で重さはちょっとあるけれど500mlぐらいの水筒ならペットボトルより安心感がある。
何よりお湯を入れて持ち運べる。
飲むのはペットボトルだとしてもあったかいものを持って歩けるようにしとくのは利点だと思う。
コンロは普通のガスコンロじゃなくてたためるキャンプ用のコンロにした。
カセットガスを付けられるタイプで予備もコンビニで手に入るからとりあえず満タンのを1個。
追加で水があれば温められるミリ飯についてた加熱剤もジップロックに入れて持っていく。
ガス切れでもご飯を食べるのに困らないようにしておく。
「ノートはあきらめるか……もってても重いだけになっちゃうし……データぐらい何とかならないかな」
試しに起動してみれば電池残量は80%以上あった。
手持ちのメモリーカードに今までやった課題とかゲーム用に書き溜めたネタとか移動させていく。
電池残量に余裕がありそうだし、カードに余裕もあったから無駄にゲームのセーブデータも保存しておいた。
文明が復活したら遊べるかもしれないし、遊べない気の方が大きいけれど。
そうして荷物を整理したけれどリュックはけっこうパンパンだった。
どうみてもウサギのぬいぐるみが入らない。
子供の頃からずっと一緒だからおいていきたくない。
何か方法がないかと試行錯誤して、リュックの外紐を使ってスズランテープで括りつけることにした。
なるべくウサギが苦しくなさそうに固定したけれど、腕と足と胴体ががんじがらめでなんかちょっと可愛そうなきもする。
ただ、落っことすのやだし、船見つけるまでの辛抱だよがんばれ。
こうして、移動の為に必要そうなものをそろえたり、リュックにどう詰め込むかを繰り返し、準備に5日も使って、ようやく出発することにした。




