22.地図のありがたみ
迷子かもしれないと思ってから、自分がどこを歩いてるのか完全に見失ってる。
周りは似たようなアパートとか一軒家ばかりだし、このままずっと歩いてどこか大きな通りに出たところで帰れる保証もない気がする。
そもそも、私は今どこにいてどっちに向かってるの?
いつゾンビに見つかるかもわからないのに、うろうろし続けることになるなんて思わなかった。
リュックは重いし、バールも重いし、懐中電灯すら重く感じる。
来た道をとりあえず戻ろうと振り返って進もやっぱりホームセンターの看板は見えない。
人がいれば聞けるし街灯や看板が光ってれば多分見えた。
こんな時間までいるつもりなんてなかったのに、スマホ置いてきたのは完全にミス。
今が何時かすらわからない。
それでも進むしかないと思って歩みを進めると少し開けた空間を見つけた。
「公園だ」
そこはそれほど大きいわけでもない公園で、運よくトイレもあって思わず駆け寄ってしまった。
そして、私はそれを見つけた。
「避難所案内図?」
そこには今いる場所と最寄り駅の位置がしっかりと書かれていた。
ほかにも数か所公園とか公民館、学校なんかの場所が書かれていて、見た限りだと自衛隊が展開していたという大きな公園の場所もわかった。
私はとりあえずトイレを覗いて使えそうなところで用を足して地図の場所に戻ってくる。
「ここが今いる場所、この道が駅に続く道だから、ここからまっすぐ行って突き当りを右に曲がれば通りに出る。そうすればすぐに駅……駅まで行けば帰れる!」
ちょっと目がうるっとしてしまった。
帰れないかもしれないのが怖かったのか、帰り道が分かってうれしいのか自分でもわからないけれど。
でもこれで家に帰れる。
私は手に持っていたバールをリュックに括り付け、片手を開けてしっかりと懐中電灯を握る。
本当はもっと警戒して進むべきだろうけれど、今はいち早く家に帰りたい。
頭の中に入れた帰り道は思ったよりも単純で本当に突き当たりまでまっすぐ進んで右に曲がって1分も歩けば知ってる大通りに出た。
「よかったぁぁぁぁ……」
もうここからは知ってる道。
私はほとんど走るような早歩きで家に転がり込んだ。
帰ってきてスマホに充電器をつなげて画面を見れば、まだ20時だった。
もっと夜中だと思ってた。
街灯も街明かりもないとこんなにとか言って暗いのかって思い知った。
今度からは絶対スマホは持ってく。
道案内が出なくても今いる位置が分かるだけでも全然違うもの。
私はとりあえず荷解きを終えて、この日は疲れ切ってそのまま寝ることにした。




