15.初めてゾンビを倒した日
何か動く気配を感じ、スーパーの中を慎重に外から観察するとレジカウンターの中に人がいることが分かった。
停電している中で店員の制服を着た人がいる事がわかった。レジに立つでもなく、ただ立ってるだけの人。
見る限り十中八九ゾンビだろうと思う。
幸いなのは店内に他に人影が無い事。
5分ぐらい観察したけれど他に動くものはなかった。
他に行くとなるとコンビニになって、カセットコンロが手に入らない。それに普段の移動で5分以上かかる場所で、今日の道のりを考えるとまた20分以上かかることになる。
すでに10時をまわっていて、時間をかければかけるほど困るのは自分だって思う。
私は一度深呼吸をして、静かな空間で1番うるさい自分の心臓の音を抑えようとする。
カウンターの中にいるという事はそこから出てこないという事。仮に出てくるにしても導線は1か所しかないはずなので、気を付ければ発見されないと思う。
私は意を決してスーパーに入ることにした。
注意深くゾンビと思われる店員をみると、顔面蒼白で生きてるようには見えなかった。
ただ想像していたような腐り落ちたゾンビって感じじゃなくって、本当に死んだ人がゆらゆら立ってるように見える。
特にこちらに気が付いた様子もないので音をたてないようにゆっくりと店の奥へ進む。
背負っていたリュックをおろして日用品の棚で必要なものを突っ込んでいく。
特にガスコンロとカセットガスは絶対必須。
家はIHなせいでいまお湯もわかせない。
料理するにしても火が必要。
カセットコンロを見つけてリュックに入れるとき箱を横向きにしたらガチャンって音が鳴ってしまった。
遅るおそるカウンターの方を確認するとゾンビ店員と完全に目が合った。
「ーーーーっ!!」
私が声にならない悲鳴を上げそうになり慌てて口をふさぐけれど、ゾンビは気にした様子もなくこっちに向かって来る。
カウンターにぶつかってガタガタと音を出していて、それが他のゾンビを引き寄せるんじゃないかって恐怖が来る。
私は手元に置いておいたバッドを握りしめて立ち上がった。
特に動きが速いわけでもなく緩慢な動きでずっとカウンターにぶつかり続けているゾンビに1歩ずつ慎重に近づく。
向こうがとびかかってくるとかそういう動きはなく、ずっと私に向かって来ようとしているだけの動き。
でもこのままにしておくと危険は増していくと思う。
よく使うスーパーだけど、この店員さんは見たことがない。
あと1歩でバットを振りかぶれば殴り飛ばせる位置まできた。
私は息を止め、大きく一歩踏み込んでバットを振り下ろした。




