14.はじめての探索
翌朝、私はいよいよ出かける準備をしていた。
動きやすい格好がいいだろうと、持っていたレギンスを履いてその上からドルフィンパンツを着用し、いつも使っているロングパーカーを着こんだ。
軍手とかあるとよかったんだろうけれど、もっていないので冬に使っていた手袋を用意してみた。
「とりあえず肌の露出は極力ないほうがいいよね」
ゾンビに相対したときに肌の露出はないほうがいいだろう。
もし引っ掻かれても肌に直接傷がつくよりは数倍ましだと思う。
ゾンビ物の定番といえば掻き傷や噛まれて感染するのが一般だし、私が空気感染しないんだとしても、他の方法で感染しないとは限らない。
準備を整え、のぞき窓から玄関先に人影がないことを確認する。
もう一度マスクの位置を確認してから家を出る。
いつもはリュックにいろいろなものを入れていくけれど、今日は空っぽにしてきた。
必要なもののメモは準備した。
目標としては乾電池を使うタイプの充電器、あとカセットコンロとカセットガス、後は数日分の食べ物を用意したい。
そっと玄関を開けて周囲を見回してみても何か人影のようなものはなかった。
音をなるべく立てないようにドアを閉めて鍵をする。
エレベーターは止まってるので非常階段を下りる。
そういえば階段使ったのって引っ越してきたときの1回きりかもしれない。
「……これ拝借しちゃおう」
1階の廊下を進んでいると家の外に子供が使っていたであろう金属バッドが置いてあった。
手元に何も武器がないのは心配だったので、拝借することにした。
そして入り口に向かえばオートロックの自動ドアは当然閉じたまま。
一度バットを置いて、自動ドアを引いてみると意外なことにすんなりと空いた。
「ロックされてて開かないと思ったけれど、停電すると単なる引き戸になるんだね……」
閉めようにも絞められないのでそのまま外に出る。
ゲームでやっていたクリアリングみたいに壁に隠れながら前の通りの左右を確認すると、特に人影はなかった。
ゾンビでいっぱいで道にあふれているとかはないらしい。
私は周囲に気を付けながらもっとも近場にあるスーパーへ向かう。
ゾンビとかに会いませんように。
外の様子は思ったほど荒れているわけでもなく、ごくまれに放置されたであろう車がある程度で、いつものスーパーへ行く道と変わらない状態だった。
それに少しだけ安心する。
3日前ぐらいまで聞こえていた引きずるような音は何だったのかと思うけれど、少なくとも危険が及ぶような状態じゃなかったのだけは助かる。
いつもならすぐにつくスーパーまでの距離があまりに長く感じる。
物陰を気にしながらゆっくりと進んで、つく頃にはいつもは5分で着くスーパーに20分以上かかってしまった。
ともかくこれで物資が手に入る。
そう思ってスーパーの中を見ると何か動く気配を感じて、私は身構えた。




