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MMORPG異世界勇者たちの伝説  作者: アラベ幻灯


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9/10

『新日本建国記:銅の星を授けた日、神は“未知”として彼を見ていた』

この世界に来てから、誰もが何かを信じるようになった。


秩序を信じる者。

革命を信じる者。

あるいは、何も信じない者。


だが——


「未知」を信じる者だけは、まだいない。


これは、ただの異世界転生ではない。

これは、企業社会が神話へと変質していく記録である。


そしてその中心にいる男は、まだ気づいていない。


自分が“見られている”ということに。

―銅の星と、見えない神―


マコトは夢を見ていた。


四頭の金色の馬が、自分の四肢を引き裂こうとしている。


だが——壊れない。


切断されるはずの身体は、むしろ膨張していく。


痛みだけが、確かに現実だった。


(何だこれは……)


世界が“彼という器”に収まりきらなくなっている感覚。


そして次の瞬間、目が覚めた。


簡素な軍用テント。


マコトは即座に鏡を探した。


顔を確認する。


歪んでいないか。


まだ“自分”かどうか。


(……大丈夫だ)


だが安心ではない。


むしろ確信だった。


何かが始まっている。


その朝、式典は静かに始まった。


新日本の中心広場。


空は異様に澄んでいる。


まるでこの世界そのものが、何かを見届けようとしているかのように。


マコトは立っていた。


その姿は——


侍と宇宙服を混ぜ合わせたような異様な軍装。


過去と未来が、無理やり縫い合わされている。


「これより、功績者への授与を行う」


声が響く。


対象は二人。


武田隼人。

藤村海翔。


戦場を切り開いた若き指揮官たち。


マコトは手にした小さな装置を見つめる。


銅で作られた星。


流星型の徽章。


それはこの世界において、“評価”の象徴だった。


「武田隼人」


マコトは一歩前に出る。


銅の星を手渡す。


「藤村海翔」


同じ動作。


同じ沈黙。


その瞬間だった。


空気の“外側”で、何かが見ていた。


それはゲームマスターではない。


観測でもない。


介入でもない。


ただ——“存在そのものの未知”。


その名は 未知。


形はない。


声もない。


だが確かに、そこにある。


そして初めて、


この瞬間を“理解しようとしていた”。


マコトは気づかないまま、続ける。


「人間は常に、知っているものにすがる」


「それが安全だからだ」


観衆が静かに聞いている。


「だが栄光の日本は、それを選んだ」


「既知の中で生きる道を」


一拍。


空気が変わる。


「しかし——」


マコトの声が少しだけ強くなる。


「本当に必要なのは違う」


「未知へ踏み出す勇気だ」


その言葉の瞬間。


未知は“わずかに揺らいだ”。


理解ではない。


反応でもない。


ただ、“認識の初期接触”。


授与は終わる。


拍手。


歓声。


だがその中で、一人の視線だけが異質だった。


群衆の中。


一人の女性。


ミズキ。


年齢は三十代半ば。


成熟した雰囲気と、計算された危うさを同時に持つ存在。


侍と魔法少女の中間のような衣装。


誰もが美しさと不安定さの両方を感じる。


彼女は笑っていない。


見ている。


マコトをではない。

“構造”を。


(面白いわね)


彼女は心の中でだけ呟く。


(この世界、まだ勝者はいない)


(なら、両方に賭ければいい)


マコトの隣では、ハルキが小さく息を吐く。


彼もまた、ミズキを信用していない。


だが——


排除するほど単純でもない。


式典は終わる。


だが何かが終わっていない。


銅の星は配られた。


だがそれは祝福ではない。


これは、序列の確定ではなく。


次の戦争の“定義”だった。


そして空の彼方。


未知は、まだ“理解の途中”にいた。

今回のテーマは「未知」です。


人はいつも“知っているもの”に安心します。


でも本当に怖いのは、知らないものではなく——

「知らないことに気づいてしまう瞬間」だと思っています。


マコトはまだ何も理解していません。


でも世界のほうが、先に彼を理解し始めています。


次回、少しずつ“崩れます”。

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