第48話 リリーの花屋 拡大計画
神殿にある転移門の使い方を知ってからというもの、行けるところが一挙に増えました。
今日は、ガルバ王国、黄桜の都にやってきました。
神殿に転移してくると、そこには迎えの馬車が待っていました。東西に延びる大通りを、王城に向かって馬車を進めます。周囲を眺めながら魔女の別邸に向かいました。
おぉ!、なかなか立派なお屋敷ですね。
商魂たくましい商人が、朝から魔女の別邸前にたむろしています。
それって、私たちが魔女の関係者と突き止めたのでしょうか?。いや、神殿から後をつけられて、ここに入るのを見たということでしょうか?。でも、この魔女の別邸には、容易には入れてもらえないので、外をウロウロしています、
気にせず、朝食をゆっくりと取って、いざ!市中へ。
(おぉ!きたきた。まあ適当に)
「失礼いたします。私、ガロンと申します。都で手広く商いをさせていただいており、王族様とも懇意にしていただいております」
「リリーの花屋を開店したいと思っておりまして、適当な物件を探しております」
「立ち話をなんですから、私共の店にどうぞ」
まあ、良いか。3人で付いて行った先は、結構大きな店で、豪華な応接室に案内されました。
こちらの希望を伝えると、5件ほどの物件を紹介してくれましたので、早速現地に向かったのです。。
「こちらの物件は如何でしょうか? 元リリー商会が建てたものです。1200年の風雨にもめげず、土台も柱もしっかりしております。なにかのご縁でしょうか、同じリリー様です。是非、ご成約願います」
確かに立地条件も良いし、裏にはちょっとした空き地があります。きっと昔は倉庫などがあったのでしょうか?。資材置き場や展示場、ハーブ園ぐらいはできそうですね。
「契約しましょう。後で魔女の別邸に来てもらえますか?」
「それはもう。ありがとうございます」
店の確保はできました。まあ、金貨1500枚(およそ1億5000万円)相場の値段でした。続いて、市中の大工や家具屋などを回って、改築の話をすすめました。
お金はあるのか?って。それはもう、農産物や魔道具などの収益で、ザックザックです。
このガルバ王国には王様が居て、貴族が5つあります。キクイチ、キクニ、キクサン、キクヨン、キクゴの5家は、いうなれば市長ということでしょうか。世襲制ですが、魔女の家指定の試験があります。それに合格すれば、候補となれます。現市長が引退する前に、自家に候補が居なければ他家から、借り受けることになります。
借り受けている間に、自家に候補が出来れば、交代となります。乗っ取りはありません。
王様も世襲制です。これも、魔女の家指定の試験があります。
他の国も、およそこの体制になっています。それ以外は基本的に魔女の家の許可が必要となります。まあ、許可と言っても、基本的には届け出のようです。
魔女の家の別邸は、これらの管理を行っていますが、初代魔女ハナの方針として、できるだけ関与しません。覇権はしないということです。
ちょっと話が横道にそれましたね。
リリーの花屋。オープンです。宣伝はしませんでした。店の前を通った人が、
「あれ?こんなところに花屋?」と。
驚いた顔や、無関心な顔を見て、ちょっと楽しみたいとか。
「サヤカ、性格が曲がってきてるよ!」ジジの指摘で我に返りました。
「いらっしゃいませー」
おぉ!女性3人組が来ましたね。
「あのー、友達が結婚するので、贈り物には何が良いか話をしていたら、この店に気が付いたの」
ほぉほぉ。結婚式とな!うらめしい。あっ・良くない良くない。人をうらやむより祝ってあげましょう。
「では、このあたりのお花を束にして、クラッチブーケというものにします。ドレスが汚れない処置をしますので、安心してお持ちになれます。如何ですか?」
「いいわね。どう、ペニー、シフォン?」
「「「おねがいします」」」
「そうそう、それから未婚の女性が集まったところへ、花嫁が後ろ向きで、このブーケを投げ入れるのです。手に入れた人が次に結婚できる幸運を手にすると言われてますよ」
「「「やったー!」」」
「ありがとうございました。お代は2500モネになります。それから”はなよはなよ ふれーさふれーさ”と魔法を唱えると、花もちがよくなりますよ」
なるほど、結婚式の需要はありそうですね。でも、今は地道に行きましょう。
既存の花屋と競合しないよう、市場調査は念入りにしました。
いまのところ、新しい市場を開拓したとして、リリーの花屋は順調です。
半年ほど、この地を拠点に魔女の活動を行いました。
(恵さんへ。こちらの世界も結婚は特別なことです。今日は、お祝いを何にするかで、女の子3人組が店に来られました。良いですねー。羨ましいですねー。ブーケトスを広めようと入れ知恵をしました)
そして予てよりの、リリーの花屋をとおして、この世界を豊かにしようと目論んでいましたが、やっと全ての都に開店出来ました。6年かかりましたね。
新しい品種の開発と、それらを市中に広げること。例えば、従来は酸味の多かったトマトを真っ赤に熟した甘いトマトを開発し、花屋の前に出品して、併せて種の販売や育て方の講習なども行いました。好評です。
それから、便利な魔法掲示板を設け、新しい魔法の普及も行っています。
例えば、種まきの時には、”根を出せ、芽を出せ、ニュルリンパと唱えれば、発芽がよくなります。”など。
その他にも、農作に便利な魔法を載せております。
リリーの花屋には現地の人を雇うべきでありますが、最初は、モモコとアオシを配置しました。
ただ、モモコとアオシは魔女の家の関係者として認識されており、ある意味では町の人たちも安心できるようです。とはいうものの、8割方は現地の人たちに移譲が完了しています。
魔物の国 綿帽子の都 ハットミ店
竜人族の火炎の都 タツノコ店
エルフ族の風鈴の都 鈴の店
ドワーフ族の金槌の都 鉄の店
獣人族のモッフーの都 ミミの店
ガルバ王国の黄桜の都 サクラ店
ミズホ王国の白金の都 イナホ店
スローン王国の青い風の都 青の店
サハラ王国のアクアの都 サンド店
総店長は、私ではありません。財務大臣の二女で几帳面なカトリーヌちゃんが、采配を振るっています。確かにお金に関するところは、抜けが無いようです。また、各店長の信望も厚いとのことです。
リリーの花屋の掲示板に新たな魔法が追加されました。
ちょっと耕せる魔法の言葉は? 『たがやせたがやせ よっこらしょ』
重い石をどかす魔法の言葉は? 『かるいよかるいよ ん!ひょいっと』
そうそう、農業組合との連携も、円滑に回っています。
農業組合の中央会議にも私サヤカとリリーの花屋の代表カトリーヌちゃんが出席しています。なんたって、私たちの新種や道具の特許を買ってもらっています。大切な金づるです。
お金は、従業員の賃金や設備投資などリリーの花屋の運営に使われています。それと、リリーの花屋は若い女性の就職先、人気第一位なんです。




