第47話 12000人の転移者を受け入れる
パラレルワールド管理局から、アルファ因子の多い星の人々を、受け入れて欲しいと要請が来ています。
ここは、魔女の家の居間。
そして、パラレルワールド管理局の2人が対面に座っています
「こんにちは、パラレルワールド管理局のケネスです。」
「同じく、助手のアテナです。」と
と、椅子から立ち上がって、挨拶してきました。
「まずは、サヤカ様の魔女就任、おめでとうございます」
「早速ですが、私たちのところに、12000人の魂が保管されております。できますれば、こちらで、面倒を見て頂ければと思い、やってまいりました」
ケネスの話では、
「ある星系のA星で文明が急激に発展して、破壊行為からA星は消滅に至りました。しかし、消滅の間際にパラレルワールドに魂を送り込んできたのです。種族が助かる道を目指したのでしょう。幸い、私たちは事前に察知したことにより、その魂を捕らえて保管することができました。そして、この魔女の惑星へ、彼らの転移をお願いに参った次第です。」
「わかりました。この星の創生者とパラレルワールド管理局の盟約により、お受けします」
受け入れの準備や日程を話し合い、昼食も皆で囲って、和気あいあいでした。パラレルワールド管理局の人って気さくですね。時間も身体も精神も超越した、レベル10の生命体だそうです。
アルファ因子が濃いということは、好戦的な種族らしいです。地続きの候補地ではなく、島にしましょう。
サナエさんと、魔女の保護区の西の端に来ました。上空から、東西50キロメートル、南北20キロメートルを見定めます。山あり谷あり川ありの地形を選びました。12000人ですから、これで十分でしょう。
ゆっくりと大地から切り取り、浮上させます。あ・・!、大きすぎた!。
「サナエさん、ちょっと大きすぎるようですが?」
「いいですよ。そのままで」
南の海上に下しました。
そして、島ができました。東西80キロメートル、南北30キロメートルも!あります。
(切り取りに失敗した跡地は、大きな湖となって、のちのち、サヤカの魔法の失敗談として残りました)
島の概要は、北側にはそびえる山があって、南側は緩傾斜の草原と森が散在しています。良い具合にできました。早速降りてみましょう。
「サナエさん、魔女隊を出動させてください。12000人が、レベル2の生活が可能な程度の開発をしましょう」
「了解しました」
私の魔法で、北の山から、南へ幾つか河を通し、魔女隊2000人と機械を投入して耕作地を作って行きます。
それから、3か月後に12000人が転移してきました。
ここは、イキア国とタマロ国の戦の場。ダークプラトーの戦い。
イキア国は20万、タマロ国はわずか5万の兵を対峙させて、今や戦いの火ぶたを切ろうとしている。
早朝の空には暗雲が立ち込め、時に稲妻が天空を駆け抜ける。
田畑であったところは、無残にも兵の足で踏まれ、ぬかるんだ大地となっていた。
そして、この先、多くの骸は容赦なく泥の中に没するのであろう。
タマロ国側は1万を先頭に、続いて1万を後ろに、そして左右に1万、その後方に1万の楔形。救援隊1000人、兵糧隊1000人で臨んだ戦いである。高らかに進軍ラッパが鳴り響いた。
後方隊の隊長も進軍の合図を送る。
そして、“ざっ”と足音がしたと同時に、後方の指揮官シンが率いる12000人だけがその場から消えた。
「ここは、どこだ? 」前にいたはずの軍が見えず、うろたえる兵士たちを、副官のマサムネは茫然自失で眺めていた。先ほどまで暗雲が立ち込めた戦場ではなく、どこまでも青い空と、緑の大地、遠くには森が見え、前には大海原が広がっている。目を凝らしても敵がいない。
(そう、この転移は初回である。2回目は6代目“ひかり”さまの時代、そして3回目は8代目ジロウの時代)
私たちは、テーブルと椅子を用意して、草原にたたずむ者たちに、『責任者をこれへ!』と声を掛けました。
そうすると、一人の大男がやってきました。
「わたしは、この星を代表するサヤカと申します。さあ、こちらに来てお座りください」
「私は、指揮官のシンと申します。これはいったいどのような状況なのか、説明願えるのだろうか?」
「ここは、魔女の星と呼ばれており、いわゆる魔法を操る魔女が管理する星です。そして、4代目魔女サヤカの時代です。私が、そのサヤカです。まあ神様の使いだと思ってください」
「さて、あなた方は、大いなる力によって、この地に移ってきました。なぜかの質問にはいずれ答えられる時が来ると思いますが、今は、この地で生活してほしい。その援助は惜しみません」
「ただし、反逆と犯罪は、有無を言わず制圧します。その点を注意してもらえば、ここはあなた方にとって楽園となるでしょう」
「本国に連絡したいのですが?」
「ちょっと難しいですね。とりあえずは身の回りを固めてください。戦いの敵?は、この地には居ません。そこは信じてもらっていいです」
半信半疑なんてものでは無く全く理解の域を超えているようです。そして、頭を傾げながら、シン指揮官は皆のもとに帰りました。そして、しばらく話し合いが終わり、それぞれ指示を飛ばしていました。
私たちも日暮れまで、この場に赴いて、様子をうかがっております。
時がたつにつれて、落ち着いてきたようです。シン指揮官、副官、参謀がそろって、私たちのところにやってきました。そして、感謝の意を表しました。
一日も早く、安定した生活になるように、作物、家畜、道具などを提供しました。
彼らの責任者は、指揮官のシン、参謀のユキ、副指揮官のマサムネでした。
「アオシとモモコを40人ほど、常駐させます。御用があれば、彼らに言ってください。私に伝わります。くれぐれも騒ぎを起こさないようにお願いします」
ここは魔女の家の居間。
パラレルワールド管理局のケネスと助手のアテナが対面に座っています。
「なかなか、統制が取れています。シン指揮官の力でしょうか。一か月して、生活が地に着いたようです。ひとまず安心です」
「ありがとうございました。助かりました」とケネス。
「アルファ因子が小さくなったら、元の星に戻す案もあります。我々も注視しております。今後ともよろしくお願いいたします」
ということで、一段落しました。
シン指揮官と12000人のサバイバルの話は、またの機会に披露したいと思います。




