第29話 魔女の家から使者が来た
サヤカ10歳の春、魔女の家から銀色の流線形の乗り物に乗って、使者がやってきました。
魔女の家の証である巴の太陽紋を抱いた銀色の乗り物は、王城の門前に降り立ちます。
乗り物の、真ん中から、階段のようなものが出てきて、その下に真っ赤な絨毯が広がりました。
続いて、真っ黒な着物に赤い帯の女性が一人と、メイド服を着た女性が5人、青い帽子とピンクの帽子の子供がそれぞれ10人の合わせて26人が出てきたのです。
そこへ、ミズホ王国の王様、妃と重鎮たちが出迎えます。
「ようこそ、いらっしゃいました。どうぞ、こちらへ」
26人は、ミズホ王の後に連なり、迎賓館に迎え入れられました。
「ハヤト・ミズホです、ご無沙汰をしております。前回の星を愛でる会にお会いして以来でございます。こちらから、妃のアヤメ、3女のアンズ、四女のサヤカになります。」
「こちらこそ、魔女の家から来ました、サナエと申します」
案内に応じて、魔女一行は席に着き、魔女隊はサナエたちの後ろに整列しました。
「今日は、予めお伝えしております、こちらの第4女のサヤカ様のことで、お願いにあがりました。早速ですが、サヤカ様に第4代目の魔女になってほしいのです」
「それはまた、急なお話で。ちょっと驚きました。なぜに、サヤカに?」
妃のアヤメが問うたのです。
「そうですね。こちらの調査によりますと、サヤカ様の魔力が、この星随一でありますこと、そして魔女としての資質も十分備わっていることがわかっております。まことに勝手な言い分ではありますが、是非、魔女の家の長に就いていただきたく、お願いに参りました。」
「なるほど、わかりました。よろしくお願いします」と妃。
(確かに、サヤカの魔法は、日に日に威力を増しており、このまま自由にさせておくのは良くないわ。魔女の家で、ご指導をお願えれば、願ったり叶ったりですわ)
「さて、サヤカの意向を聞こうではないか」
「私でよければ第4代目魔女に就任させてください。よろしくお願いします」
「ああ・良かった。これでお目にかかりに来た甲斐がありました。魔女としてやっていただくことは、5年後サハラ王国で開かれる”星を愛でる会”まで、特にございません。そうそう、ジジはお役に立っていますか?」
(サヤカ様は聡明な方でした。ミズホ王も妃様も、話をするうちに、打ち解けて冗談を交わす仲になりました。メイドさんがお菓子やお茶を差し入れてくれたのですが、どれもおいしくいただきました。)
「長居をしました。サヤカ様、いずれ魔女の家のほうにもお顔を見せていただけるとありがたいです。それでは、失礼します。ジジ、引き続きお仕えするのですよ」
「大丈夫だよーーん」
「ジジ、来たよ。あの人が管理人なんだね。美しい人ね」
「魔女が在籍していない間は、彼女が代理を務めているんだ。優しくて良い人だよ。おいしい魚をたくさん食べさせてくれるから」
「もう、ジジは食いしん坊だね」
「ハヤトさん、びっくりしましたわ。私が実家で療養している間に、サヤカが元気になったと聞いて、とてもうれしく思っていましたが、このようなことになるとは思いもよりませんでしたわ」
「そうだね。あの病弱な子が生き返ったときは、私もうれしかった。しかし、どうもあの時誰かと入れ替わったのではないかと、実は思っていたのだよ。次第に髪が銀色に変わり、瞳も赤くなっていった。そう、魔女の家の関係者の特徴を持つことになった」
「その入れ替わった人とは誰なんでしょう?」
「わからない。でも、以前のことを聞いても、ちゃんと答えてくるので、やはりサヤカには違いないと思うことも事実なんだ」
「私も、雰囲気は違えど、サヤカに違いないと思います。考えすぎなんでしょう」
「そうだね。今日は、ある意味目出度いことだ」
侍女のイネも感じ取ったように、王と妃までもが、入れ替わったかも?と思ったらしいです。
一方、アンズちゃんは、全く入れ替わったと思っているようですが、”あなたは誰?”とは聞いてきません。それより楽しんでいる様子です。
これで、私は第4代目魔女となりました。15歳の少女が転移してきて、早5年が過ぎました。精神年齢は20歳ですよ。祝ってほしいな。誰に?
(恵さんへ。ついに4代目魔女になりましたよ。この星のトップです。全ての王様の上の地位です。『我にひれ伏すがよい!ゲハハハ』。いや、そんなこと言ったら即刻神様にお叱りを頂くことになります)




