第一話『故郷』(中)2
しかし、時洲堂の若き店主である美波は、決して諦めてはいなかった。
美波は、洋子の手からこぼれ落ちた飾り気のないハンカチをそっと拾い上げ、彼女の冷え切った両手を、自分の白く滑らかな両手でしっかりと包み込んだ。
「洋子さん。大丈夫です」
美波の丸眼鏡の奥、琥珀色の瞳には、揺るぎない確信の光が宿っていた。
「モノは、決して理由もなく消えたりはしません。たとえ大地の変動によって地形が歪み、かつての地表が土の奥深くへ沈み込んでしまったとしても、それは宝箱にかかっている土のお布団がほんのちょっと分厚くなっただけのことです。宝箱自体は、洋子さんが埋めたあの場所で、今も静かに眠って迎えを待っています」
「でも、美波ちゃん。ヤナギの木も、波打ち際からの距離も、目印が全部なくなってしまったのよ……」
「地上の目印が使えないのなら、視点を大きく変えればいいのです」
美波は洋子の手を優しく握ったまま、ゆっくりと秋の澄み切った空を見上げた。
「足元の地面が隆起しようと、水際が移動しようと、この世界には、人間の記憶と同じように絶対に変わらないものが存在します。それは、遠く離れた自然の、決して動くことのない『不動の目印』です」
「不動の目印……」
「はい。洋子さん、目を閉じて、当時の記憶をもう一度深く思い描いてみてください。宝箱を土の中に埋めた後、立ち上がって、湖の向こう側を見た時。あなたの目に映っていたのは、どんな遠くの景色でしたか」
美波の静かで、記憶の奥底へと誘うような澄んだ声に導かれ、洋子はゆっくりと目を閉じた。
何十年も前の、春の冷たい風の匂い。手についた土の感触。そして、宝箱に秘密の願いを込めて立ち上がった少女の自分が、純粋に見つめていた景色。
「……見えたわ」
洋子は目を閉じたまま、夢見るような声で呟いた。
「あの時、私は湖の向こうを見ていた。目の前には、湖の真ん中に浮かぶ中島の、二つのこんもりとした山の頂が見えて」
そこで洋子は言葉を区切り、まるで記憶の中の風景と、現実の風景をぴったりと重ね合わせるように、ゆっくりと目を開けた。そして、対岸の遠く、遙か彼方へと視線を伸ばした。
「その、中島の二つの山と山の、ちょうど真ん中の窪んだ部分に、遠くにある有珠山の山頂が、すっぽりと綺麗に収まって見えたの」
その言葉を聞いた瞬間、美波の顔に一瞬にして花が咲いたような明るい笑みが浮かんだ。
「それです、洋子さん。それこそが、地形の隆起の影響を全く受けない、不動の目印です」
美波は弾むような声で、その構図の持つ意味の解説を始める。
「湖の中央に浮かぶ中島も、そしてその奥にそびえる有珠山も、足元の数メートルの地殻変動では絶対に動かない、雄大な自然の目印です。手前にある中島の二つの山の頂の間に、はるか遠くの有珠山の山頂が収まって見えます。それは、洋子さんが立っていた場所と、中島の窪み、そして有珠山の山頂が、寸分の狂いもなく一直線上に並んだ時にしか発生しない、奇跡のような風景の重なりです」
美波は浜辺の砂の上に、木の枝を使って一本の直線を引いた。
「つまり、この財田の浜辺の中で、その中島の窪みに有珠山が収まって見える視線の方向を探し出せば、洋子さんが立っていた場所を示す直線を特定できるということです。地面が隆起していても、空を見上げる角度がほんの僅かに変わるだけで、その直線上の方向自体は絶対にズレません」
「本当。じゃあ、その景色が見える場所を探せば」
洋子の顔に、再び希望の光が灯る。
しかし幸一は、少々複雑そうな顔をして腕を組んだ。
「有珠山か。二十年前に大噴火を起こしてこの辺りの地形をめちゃくちゃに書き換えた元凶の山が、昔の場所を教える目印になるってのは、なんだか皮肉な話だな」
「ええ。でも、だからこそ意味があるのだと私は思います」
美波は丸眼鏡のブリッジをそっと押し上げ、有珠山を真っ向から見据えた。
「思い出の地形を壊してしまったのも有珠山なら、思い出の場所をもう一度教えてくれるのも有珠山です。自然は決して人間の敵ではありません。ただそこにあり続ける不動の存在が、こうして洋子さんの迷子の記憶を導いてくれるのですから」
「……なるほどな。大した探偵様だぜ」
幸一は深く頷くと、「さあ、一緒にその風景の重なる直線を割り出しましょう」と微笑む美波に続き、洋子と共に広大な財田地区の浜辺を歩き始めた。
この北西岸から南東の方向を見やれば、手前に中島が浮かび、その奥の遙か彼方に、うっすらと噴煙を上げる雄大な有珠山がそびえ立っているのが見える。
歩くたびに、手前にある中島の姿と、奥にある有珠山の位置関係が微妙にズレていく。
「この辺りはどうですか。有珠山は見えますか」
「ううん、駄目ね。ここからだと、有珠山の山頂が中島の右側の山に隠れてしまって見えないわ」
「では、もう少し左へ移動してみましょう。足元が悪いので気をつけてくださいね」
隆起した地面や、ゴツゴツとした石が転がる浜辺は、決して歩きやすいとは言えなかった。
美波が遠くの山の重なりばかりを一生懸命に見上げて歩いていると、不意に足元の大きな石につまずき、バランスを崩しかけた。
「あっ」
その瞬間、背中から力強い腕が咄嗟に伸びてきて、美波の細い腕をしっかりと掴んで支えた。
「おい。上ばっかり見て歩いていると、転ぶぞ」
幸一だった。彼は無言で美波の体を支え起こすと、そのまま美波の半歩前を歩き出し、行く手を阻む大きな石や打ち上げられた流木を、靴の先で無造作に避けて道を作る。
言葉は「危ないぞ」や「足元見ろ」といった短いものだけだったが、その頼もしい背中はまるで、不器用な父親が娘を危険から守るための分厚い盾のようだった。
美波は微かにむっとしたように唇を尖らせたが、すぐに「ありがとうございます」と小さく頭を下げる。そして、幸一の作ってくれた安全な道を歩きながら、再び視線を遠くの山々へと向けた。
そうして浜辺を数十メートルほど移動した、その時だった。
洋子が息を呑み、その場に不意に立ち止まった。
美波と幸一も足を止め、洋子の視線の先を追う。
そこには、圧倒されるほど完璧な自然の構図が広がっていた。
湖の中央に浮かぶ、秋色に染まった中島。その二つのこんもりとした山の頂の、ちょうど真ん中のなだらかな窪みの部分。
そこに、秋の澄み切った空の下、うっすらと白い煙をまとう有珠山の山頂が、まるで計算し尽くされた額縁の絵画のように、見事に収まっていたのである。
「ここよ。間違いないわ。子供の頃に見た景色と、全く同じだわ」
洋子は両手で口を覆い、感極まったように声を震わせた。
美波は小さく拳を握り、満面の笑みを浮かべた。
「やりましたね。これで、宝箱が眠っている思い出の線上は特定できました。あとは、この直線に沿った土の中を探すだけです」
しかし、直線の方向は特定できても、それはあくまで『線』であって『点』ではない。波打ち際から陸側へ向かって、この直線のどこかに宝箱が眠っているはずだが、地盤のゆがみで距離感が狂っているため、一点に絞り込むのは困難に思えた。
「方向はわかったが、ここから陸に向かって、どこまで掘ればいいんだ。噴火の影響で当時の地表が何メートルも下に沈んでいるなら、機械があるわけじゃない、素手で何十メートルもの範囲を深く掘り返すのは骨が折れるぞ」
幸一が現実的な問題を口にすると、美波は丸眼鏡を静かに押し上げ、今度は足元の地面の起伏を、ルーペ越しにじっと観察し始めた。
先ほどまでのドジな姿は消え失せ、プロの古物商としての鋭い観察眼が光る。
「大地の隆起の規模から推測すると、洋子さんが歩いたかつての平坦な地表は、現在のこの地面から、およそ二メートルから三メートルほど下の地層に沈み込んでいると考えられます。普通なら、手作業で掘り起こすのは不可能です。……ですが」
美波は現在の波打ち際から、特定した直線の方向に沿って、ゆっくりと陸側へと歩き出した。そして、隆起によって斜めに傾いた土の斜面の中腹あたりで足を止めた。
「幸一さん、ここを見てください。大地の強烈な圧力がかかったことで、地層が斜めにへし折られ、断層のようにズレてめくれ上がっています。つまり、本来なら二メートル下にあるはずの『三十歩の距離にあった古い地層』が、この斜面のズレに沿って、地表からわずか数十センチの浅い位置まで押し上げられているポイントがあるんです」
美波は不自然に盛り上がった土の斜面の一角を、確信に満ちた指先で指し示した。
「隆起した現在の地形で言えば、まさにこの足元、半径一メートル以内の浅く掘った場所に、宝箱の眠る地層が露出しかけているはずです」
美波が力強く宣言したその場所は、現在の波打ち際からわずか数メートルの距離にある、斜面にできた不自然な段差の部分だった。
何十年という歳月と、大地の力によって隠されてしまった、少女の秘密の場所。
地面の目印はすべて失われてしまったが、遠く変わらない山の稜線と、美波の地層を読み解く物理的な観察眼、そして心に寄り添う探偵としての想いが、ついにその隠し場所をピンポイントで見つけ出したのである。
「よし。深さが数十センチなら、手作業でも十分に届く。あとは掘るだけだな」
幸一はそう言うと、近くにあったキャンプ場の管理事務所の方向へと足早に向かい、数分後、借りてきたらしい頑丈な鉄のスコップを肩に担いで戻ってきた。
「幸一さん。私も手伝います」
美波がポシェットを置いて駆け寄ろうとすると、幸一は「馬鹿野郎」と短く一喝し、手で美波を制した。
「お前みたいな細い腕じゃ、固い土と一緒に石ころ叩いて怪我するだけだ。すっこんでろ。こういう土木や力仕事は職人の俺の仕事だ。お前と洋子は、そこで大人しく見ていろ」
「でも……」
食い下がる美波だったが、幸一の真剣な目つきに気圧され、結局はポシェットを抱きしめたまま、その場で立ち止まることしかできなかった。
幸一は上着を脱いでシャツの袖をまくり上げ、美波が特定した断層がズレている部分の土に、力強くスコップを突き立てた。
鈍い音を立てて、重たい土と小石が次々と掘り返されていく。隆起して固まった地層を掘り進めるのは重労働だが、幸一の屈強な腕は機械のように正確で、休むことなくスコップを動かし続けた。
額に滲む汗を拭おうともせず、ただひたすらに、愛する妻の大切な思い出を取り戻すために土を掘り続ける幸一の背中。
美波と洋子は、離れた場所から、その頼もしい背中を固唾を呑んで見守っている。美波のかたくなな心も、その背中が発する確かな愛情の熱にあてられ、いつの間にか大人しく静まっていた。
数十分ほど無言で土を掘り続けていた幸一のスコップの先が、土や石とは明らかに違う、硬質な金属音を響かせた。
秋の冷たい風が吹き抜ける浜辺に、一瞬の静寂が落ちる。
幸一は動きを止め、眉間に深く皺を寄せたまま、掘り起こした土の底をじっと見つめた。そして、スコップを足元に放り投げると、膝を土につけ、今度は両手の厚い革手袋を使って、慎重に周囲の土を掻き出し始めた。
「お父さん」
洋子が両手を胸の前で強く組み、言葉もなく見守る。美波もまた、丸眼鏡の奥の瞳をいっぱいに見開きながら、幸一の力強い背中の向こう側を凝視していた。
二十年以上前に起きた、有珠山の噴火。そのすさまじい大地の変動によって、本来の地表から深く沈み込み、何重もの土砂に埋もれてしまっていたはずの秘密の場所。
やがて、幸一のたくましい手が土の奥深くに差し込まれ、何か重たいものを力強く引き抜いた。
「おい。これか」
幸一が振り向き、洋子に向けて無造作に差し出したもの。
それは、全体が赤茶色に激しく錆びつき、元の色や意匠など完全に判別不可能になってしまった、四角いブリキのお菓子の缶だった。
土と泥にまみれ、何十年という途方もない歳月の重みと、自然の猛威による圧力を受け続けたその缶は、あちこちが歪んでいる。しかし、間違いなくそれは、自然界には存在しないものであり、誰かが意図してこの場所に埋めた宝箱そのものだった。
「あ……ああ……」
洋子は両手で口を覆い、大粒の涙をこぼしながら、その歪んだブリキ缶を両手で受け取った。泥で手が汚れることなど一切気にする様子もなく、まるでずっと会いたかった我が子を抱きしめるかのように、錆びついた缶を胸に強く押し当てた。
「間違いないわ。これ、私が子供の頃に一番お気に入りだった、クッキーの缶……。あんなに土の深いところに埋もれていたのに、見つかるなんて」
「モノは、決して消えたりしませんから」
美波は穏やかに目を細め、自分のポシェットから清潔なハンカチを取り出すと、洋子の手にある缶の泥を丁寧に拭い落とし始めた。
「洋子さんの大切な宝物は、大地の変動によって地中深くに引きずり込まれてしまっても、この場所でずっと、洋子さんがお迎えに来てくれるのを待っていたのですよ」
「ありがとう、美波ちゃん。お父さんも、重たい土を掘ってくれて、本当にありがとう」
涙声で感謝を伝える洋子に対し、幸一は「ふん」と鼻を鳴らし、土まみれの手袋を払った。
「泣くのは中身を見てからにしろ。何十年も経ってるんだ、とっくに穴が空いて中身が泥だらけになってるかもしれねえぞ」
「そうね。開けてみるわ」
洋子は気を取り直し、ハンカチで拭われた缶の蓋に手をかけた。しかし、長年の錆で金属同士がすっかり固着してしまっており、洋子の細い力ではビクともしなかった。
「だめ。サビでくっついてしまって、全然開かないわ」
「貸せ」
幸一が無言で缶を受け取ると、周囲の浜辺に視線を落とし、波に洗われて薄く硬く研ぎ澄まされた手頃な石を拾い上げた。職人としてモノの性質と力学を知り尽くしている彼は、力任せに開けようとはせず、蓋と本体の隙間に石の先端を絶妙な角度で差し込み、テコの原理で慎重に錆を剥がしていく。
金属の軋む音が数回響いた後、短く乾いた音と共に、ついに何十年ぶりかに宝箱の封印が解かれた。
幸一は蓋を開け、そのまま無言で洋子へと差し出した。
「わあ……すごい」
洋子の顔に、少女のような無邪気な笑みが広がった。
美波も身を乗り出して、瞳を輝かせながら缶の中を覗き込む。
密閉性が高かったおかげで、缶の内部には泥も水も浸入していなかった。そこには、波に洗われて滑らかになった白くて不思議な形の流木が数本収められており、その隙間を埋めるようにして、無数のガラスの欠片が敷き詰められていた。
「これが、洋子さんの集めた宝物、シーグラスですね」
美波が感嘆の声を漏らす。
それは、ただのガラスの破片ではない。長い年月をかけて湖の波に揉まれ、砂や小石と擦れ合うことで、鋭い角が削り取られ、表面がすりガラスのようにやわらかく曇った、美しいガラス片であった。
赤、青、緑、水色、そして白。様々な色のガラス片が、秋の澄んだ光を受けて、缶の中で宝石のように密やかに輝いている。
「ええ。子供の頃、一人でこの浜辺に来ては、ずっとこれを探して拾っていたの」
洋子は愛おしそうに、缶の中から一つ、やや大きめの青いガラスをつまみ上げ、秋の太陽の光へと透かして見せた。曇ったガラスの内部を透過した光が、深海のような青色を柔らかく浮き上がらせる。
「ただ綺麗だから集めていたわけじゃないの。私ね、このガラスの色に、その日の自分の『気持ち』を込めていたのよ」
「気持ちを、ですか」
「そう。たとえば、この青いガラスはね。昔、お父さんにひどく怒られて、悲しくて泣きながらこの浜辺を歩いていた時に見つけたものなの。だから、悲しい気分の時は、青いガラスを探して缶に入れていたの」
洋子は次に、小ぶりな黄色いガラスを取り出した。
「こっちの黄色いガラスは、学校の試験で初めて良い点を取って、嬉しくてスキップしながら帰ってきた日のもの。緑色は、お母さんと一緒にご飯を作って楽しかった日のもの。そうやって、誰にも言えない自分の心の中の喜びや悲しみを、このガラスの色に置き換えて、秘密の宝箱にしまっていたのよ」
その言葉を聞いて、美波の胸が切なく締め付けられた。
内気だった子供の頃の洋子にとって、このガラスの欠片はただの綺麗なゴミではない。自分の心の中に生まれた名前のない感情を、色という形にして保存するための、何よりも純粋な記憶の宝石だったのだ。
モノには持ち主の想いが宿る。美波がいつも信じているその思いが、まさに目の前の缶の中に、何十年という歳月を経て色褪せることなく詰まっていた。その事実に感動し、美波の琥珀色の瞳にはうっすらと温かい涙が滲んでいた。
「ただの空き瓶が割れたゴミじゃないか」
幸一が腕を組み、わざと聞こえるように無愛想な悪態をついた。しかし、洋子は怒るどころか微かに笑い、先ほどの青いガラスを幸一の目の前へと差し出した。
「そうね、ただのゴミかもしれないわ。でも、お父さん。ちょっとだけ、太陽の光に透かして見てみてよ」
幸一は渋い顔をしたまま、しばらく無言で洋子の手を見つめていた。しかしやがて、分厚い指先でそっと、まるで本当に壊れやすい宝石でも扱うかのような繊細な手つきで、その小さな青いガラス片をつまみ上げる。そして、言われた通りに、秋の太陽へと、ゆっくりとガラスを透かして見上げた。
「……」
波に削られ、すりガラス状になった青い欠片。光を透過したその色は、教会のステンドグラスのように柔らかく、そしてどこまでも深く澄んでいた。何十年も前に、妻が少女だった頃に流した悲しみの色が、光に溶けて美しく輝いている。
「……まあ、悪くない色だ」
幸一は光を見上げたまま、ゆっくりと目を細めて、短く呟いた。
言葉は相変わらずそっけないが、その横顔には、妻の歩んできた過去と純粋な想いに対する、深い愛情が滲み出ていた。
その夫婦の姿を見て、美波は心が芯から温かくなるのを感じた。
大地の怒りによって地形が変わり、目印の木が失われても。遠く変わらない山の稜線と、こうして今、お互いを思いやる温かい家族の愛情があれば、人は必ず大切なものを探し出すことができるのだと。
見つかった宝箱を大切に抱きかかえる洋子と、スコップを肩に担ぐ幸一。
三人は、大地の記憶が眠る浜辺を後にし、次なる観光地へと向かうべく、再び路線バスの停留所へと歩き出した。




