は~ち
よく考えれば、魔術とは凶器にもなる。
パパに言った私が悪かったんだ。
幼児に銃を使わせ喜ぶ親はいない。威力でいえば、大砲クラスの魔術もあるだろう。
誰も知らないけど、本当は大人だし危ないことは判断できる。だから、というか、なんというか……。
要は、私が恐いから用心のために魔法がほしいだけなのだ。
けして、悪用するつもりはない。
だから、黙って自分が使うぶんには……いいよね。
なんだかんだ、諦めきれない私は、隠れて魔術を勉強することに決めた。
まずは、魔法書を写した紙の意味を読みとこう。
全属性だけど、滅多にいないらしい。例として、物語の英雄の名前が出ている。
彼らは、一様に子供の頃は無属性の魔法しか使えなかったとかなんとか。
うーん、役に立ちそうな情報はないな。
一瞬、自分も無属性しか使えないから、可能性あるかなと思ったけど、そんな都合のいいことがおこるわけないよね。
でも、本当うらやましいなぁ。だって、全属性はやれることが増えるんだもの。
私は、古語の練習をしながら魔術師になることを夢みた。
そう言えば、この世界の貴族の女性って普通に働いてたりするのだろうか? 男尊女卑とか、変な差別がなければいいんだけど……。
………………古語って、本当にややこしい。でも、本を読んで自分で勉強しなきゃ、誰も教えてくれない。
う~英語の筆記体みたい。つながってて、ミミズがのたくったような字だな。
とりあえず、魔法書を読みながら解読してたら身に付くよね。
古語を何度も書き写しながら、体に文字を覚えさせる。
、
書いた方が記憶に残るらしい。
鉛筆がないので、小さなツボに黒のインクが入っている。最初は、ポタポタたらしたものだ。
ペンの先端に墨をつけて、古語を書いていくのだけど………………うわっ、また手についた─!
鉛筆をつく……いや、そんな面倒なことはやめとこう。うちには大型プレス機もないしな。
紙は結構お手軽に手にはいるので、向こうの世界の人が作ったんだとしても、鉛筆も作ってほしかった。
あー……………………そうだっ! 私も何か作ろう!
まだ、他の人が気づいてないモノを!
生活に便利なものを作れば、私も楽出来るし……うん、そうしよう。
そのためには、何が作られて、何が作られてないか見る必要がある。
私は、古語の勉強をサボって駆け出した。
「お母様─!」
両開きの扉を開く、勢いあまって大きな音がした。
「町に行ってくるね!」
ママは、少し驚いたあと腰に手を当てた。
「扉はソッと開けなきゃダメよ。あと、人前では走らないようにね」
怒られた。
「ごめんなさい」