きゅう
ママに許可をもらい、町へとおもむいた。
頭を働かせるより、体を動かす方が好きだわー。
石畳の地面に、店が立ち並ぶ町はどことなくお洒落な感じ。カフェなんて、ガラスで店内を覗けるし、オープンテラスまである。
外国には行ったことないけど、きっとこんな様子なのだろう。
「あれが、今年入学する学園ですよ」
ついて来てくれた家人が丁寧に解説してくれる。
「奥様から、多少はお小遣いを預かっておりますから。欲しいものがあればおっしゃってください」
にこやかにそんなことを言われると、色々欲しくなるけど今は我慢だ。
まずは、店を見てまわる。
ドレスや靴を売ってる店、宝石などの宝飾店に、生地だけを売ってるところ、ペーパーナイフやポーチなど小物を売ってる雑貨店。
華やかで見目うるわしいお嬢様方の横をすりぬけ、どんどん先へ進む。
パイを売ってる露店を見かけ、思わず立ち止まりそうになる。
「買ってきましょうか?」
そんな家人の言葉を泣く泣くふりきり、やってきたのは家具などが置かれている店。
「すみませーん。冷蔵庫ってありますか?」
聞くと、店主は訝しそうな表情をしたあと、家人の顔を見て笑顔をつくる。うむ、さすがだな。
「ええ、ございますよ。ご覧になられますか?」
「はい、お願いします」
笑顔で返事をすると、奥へと店主が歩きだす。
「さあさあ、コチラへ」
店内をよく見ると、あるわあるわ魔法具の山。先人(異世界人)の知恵の数々。
扇風機もどきは風の魔法石で、ヒーターもどきは火の魔法石、文明開化しすぎだろ。
鉄の箱の前で、店主がニコニコと笑っている。
ヤバイな。見て帰るつもりが買わされそうだ。
重い足取りで、ゆっくりと前へ進んでいると、なにやら外が探しい。
何かあったのだろうか?
これ幸いと、踵を返し外へと歩いていく。
「泥棒! 泥棒だー!」
あちこちで、叫び声がして数名が一方の方向へ走っていく。
これは追うしかない。
嬉々として、店を脱出。家人が呼ぶのをしり目に走り出す。
タイミングがよくて助かった。追い付けないけど、行くだけ行ってみるか。
時折「緑の」や「子供」など、犯人の特徴が聞こえてくる。
大人達の足は早く、そのうち私は追いつけなくなった。だいぶ、離されている。
仕方ないか。五歳だもんね。
家人も追い付いて来たのか「お嬢様ー!」と探す声がする。観念して、私の方は捕まるとしよう。




