第9話
古賀氏のターン!!
「秋穂さん、さぁ、はやくはやく。」
「はい・・・」
義母に言われ秋穂はフィッティングルームへと入れられた。
「祐一さんはここまでです」
「私は見させてもらえないのですか、母さん」
「もちろんです。当日まで駄目です」
「分かりました。では、終わったら連絡してください」
楽しみは取っておけということなのだろう。
古賀は母の言葉に苦笑し部屋を出た。
「兄さん」
「悪いな霧斗」
「かまないよ。義姉さんのためだからね」
そう言って弟はくすりと笑った。
「今回は仕事、代わりにしておいたから」という言葉に古賀は霧斗と目を合わせて笑った。
「先ほどはあわただしくして、さらにこのようなところにまでおよびたてしてしまい申し訳ありません」
「・・・いえ」
古賀の目の前には困惑気味の秋穂家族がいた。
「古賀さんでしたか。」
「はい」
「秋穂と結婚したんですよね」
「えぇ」
それっきり黙ってしまった男女に古賀はため息を付きたくなるのをこらえる。
「秋穂とはいつからの知り合いなのですか」
問いかけてきたのは秋穂の実家で古賀を値踏みするように見ていた男だった。
(余計なのをつれてきましたね)
(好きで連れて来たんじゃないよ、ほとんど無理やりに近い形でついてきたんだ)
目の前の男を見て、古賀は心底面倒だと思う。
逃がした獲物が大きかったからか、はたまた隣の芝生は青く見えるというからか、今更敵対心をこちらに向けられても困る。
もうすでに秋穂は古賀のもので古賀は秋穂のものだ。
どちらにせよ後々面倒の元になる前に積んでおくに限る。
「結婚までにどのくらい付き合ったかという質問でしたら、三ヶ月というところでしょうか。ただ、知り合ってからは一年ほど経ちます」
「早いですね・・・」
自分の言葉に優越感に浸っているように見える男が癪に障る。
「早いですか。時間などたいした問題ではないと私は思いますよ。第一、長く付き合いが続いたからといって必ずしも結婚に結びつくわけではないでしょう。逆に付き合った期間が短いからといって結婚に結びつかないというわけでもない。私は秋穂さんを愛しているから結婚を申し込みましたし、彼女も受け入れてくれました。確かにお互いに十分な付き合いをしてはいないかもしれませんが、それをおぎなっても余りある想いはあります。時間など些細な問題だと私も彼女も思っていますよ。
それに、長く想い続けたからといって必ずしも想いが成就するわけではないということを彼女は知っていますから」
そういうと思い当たることでもあったのか男は古賀から視線を逸らした。
(おや、自分から振ってきたくせになんと気概の無い)
(僕は兄さんの砂糖よりも甘ったるいのろけ話に吐きそうだよ)
(おや?)
(お腹一杯・・・義姉さんのところに行って来る)
そう言って霧斗は席を立ち、出て行った。
「籍だけ先に入れられたのには何かわけが」
「わけというほどのことではありません。私も彼女も会社が新たに立ち上げた事業に忙しく落ち着くまで式は待とうということにしただけです」
「そうですか・・・娘からお聞きになっているかもしれませんが、恥ずかしい話、あの子とはもう十年ほど疎遠になっていまして。妹とはときどき会っていることは知っていましたが、私たちが娘にあったのは本当に久々で、その上、結婚したと言われて、動転していたとはいえおめでとうのひとつも言ってやれないなんて親失格ですね。・・・あの時と私は何も変わっていない」
どうやら両親は秋穂が家を出て行った理由を理解しているようだった。
「では、式に出てはいかがですか。家族なのですから、関係が修復できないということはないと思いますよ。大人気ないことに私の父と叔父が彼女のエスコート役を争っていましてね。私としてはあなたが彼女と歩いてくれるのがベストだと思っています」
「・・・私にはその資格がありません」
「私はあなた方と秋穂さんが歩み寄るまたとない機会だと思いますが」
笑顔で促すと、頑なだった義父は小さく頷いた。
「では、今週末よろしくお願いしますね」
「はい」
「日程などはまた、ご連絡します」
側にいた秘書に彼らを送るように頼み古賀は秋穂たちのいる部屋へと向かった。
「お帰りなさい、祐一さん」
「義姉さん、とっても綺麗だったよ」
「そうですか」
自分よりも先に秋穂のウエディング姿を弟が見たと思うとなんだか複雑だ。
「僕に嫉妬しないでよ」
「してない」
「あら。噂には聞いていたけれどほんと秋穂さんと結婚してからびっくりするくらい表情豊かになったわね祐一さん」
「鈴葉さん」
叔母はそれはそれは微笑ましそうに言ってくる。
「当日を楽しみにしていて。私、腕によりを掛けて最高のドレスを作ったから」
それまで楽しみにしておきます、と古賀は恥ずかしそうにフィッテングルームから顔を出した秋穂に言い、笑いかけた。
そして、楽しみにしていてください、と控えめに言った秋穂の真っ赤に染まった頬に口付けた。
というわけで秋穂ちゃんのために影で奮闘する古賀氏の巻でした。
いやぁ、想われてますね秋穂ちゃん。
霧斗くんではありませんが、作者も書いていて砂吐きそうでした・・・
甘っ、激甘!
初期設定では古賀氏こんなキャラではなかったはず・・・(いや、どうだったかな)
まぁ、いいや。(適当)
甘いのは秋穂ちゃん限定だし。
秋穂ちゃんが幸せならそれでいいのです。(いいのか?いいんです)
終わりよければ全てよしと言うではありませんか。(言葉ってすばらしい)
それにしても続いていますねぇ・・・(遠い目)
見捨てずに読んでくださっている皆様には作者、感激で涙が出ます。(号泣)
さらにお気に入り登録してくださっている方にはもう、土下座せんばかりに感謝です。
気長にお付き合いいただけると幸いです。




