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紫陽花  作者: 蓮実紫苑
永遠を君に
21/23

閑話休題~ハロウィン~


ちょっと息抜き(ハロウィンだから)

「いい歳した女の格好じゃないですよ、朧さん。絶対に引かれますって!」

「あら、そんな事ないわ、似合ってるじゃない」


何で、この歳になって魔女の仮装なんてせにゃならんのだ!!!

しかも、ふんわり可愛い系の仮装ではなく、何処で買ってきたのかという深いスリットの入った妖艶な衣装。

恥ずかしいわ、足がスースーするわで最悪だ。古賀にだけは絶対に見られたくない。

手伝って欲しい事があるの、と朧から連絡を貰った時に断っておくべきだったと秋穂はひどい後悔に襲われる。

何せ現在、秋穂は朧にエスコートされながらよくわからないパーティーに参加させられているのだから。

ちらりと隣を歩く男を盗み見る。

もともと中性的な顔立ちをしている朧は司祭様の格好をしているのだが、これが恐ろしいくらい似合っている。

てか、魔女と司祭って組み合わせとしてどうよ。


「ターゲットはっけーん!!」


そういった朧の視線を追うと、その先にいたのは老紳士だった。


「さぁ、行くわよ」

「は?」


ぐいっと、朧に腰を抱き寄せられ男性に近づいていく。


「ちょっと、朧さん」

「ほら、秋穂ちゃん、笑顔!」


無理だから、笑顔とかこの状況で出来るわけ無いから。

状況説明してよ、朧さん!

そう思いつつも言い出せる勇気もなければ雰囲気でもなく、秋穂は仕方なく頬の筋肉を無理矢理上げる。


「お久しぶりです、凰華さん」

「おや、朧くん。噂は聞いているよ」

「凰華さんのところまで噂が届いているとは光栄ですね」

「順調なようで嬉しいよ。ところでそちらのお嬢さんはどなたかな?私には紹介してはくれないのかい」


急に話を振られ、秋穂の体はこわばる。

しかし、秘書魂でどうにか笑顔を張り付け、そのまま挨拶をしようと口を開こうとした時だった。

不意に腕をひかれ唇が塞がれた。


「・・・んっ」


呼吸まで奪うような口づけと柔らかな唇の感触は慣れ親しんだもので、確認などせずとも相手が古賀であることを秋穂に知らせる。

それだけで秋穂は抵抗らしい抵抗をやめてしまった。


「朧、この茶番はなんだ」


機嫌が心底悪いらしく古賀の低い声が響く。


「仕事よん」


不意にぱちぱちと手を叩く音が聞こえ、視線を向けると老紳士がうれしそうに微笑んでいる。


「・・・」

「・・・ちっ」

「あの子たちから話は聞いていたが、お前、ずいぶんとまともな人間らしくなったもんじゃの」

「・・・いつ帰ってきたんです」

「昨日だぞ」


会話の内容から二人が顔見知りであることは伺えるがいったいどういった関係かはわからない。


「そうじゃ、挨拶がまだだったな。初めまして、お嬢さん、わしは古賀凰華という」

「祖父だ」

「・・・」


古賀の言葉に秋穂はぱちくりと瞬きする。

いわれてみれば目元など似ている。


「はじめまして、えっと、古賀秋穂です」

「うむ、可愛らしいお嬢さんじゃ」


目元に皺を寄せ凰華さんが微笑む。

そこで嫌われていないのだと秋穂も安心する。


「帰ってくるなんてどういった風の吹きまわしですか」


不機嫌さを隠しもせずに古賀が問う。


「いやな、お前が結婚したと言うではないか。いったいどんなお嬢さんか興味が湧いたのだよ。いやはやとても可愛らしくひ孫の顔が楽しみになったわい。それにしても、話を聞いたときは信じられんかったが納得じゃわ」

「・・・帰りますよ、秋穂」


言うと、古賀は秋穂の腕をとり歩き出す。


「ちょっ・・・祐一さん」


無言のまま、エレベーターに乗せられ、部屋へと押し込まれた。

そこでようやく古賀も仮装をしていることに気づく。


(ヴァンパイアって似合いすぎでしょ)


夜の王とも呼ぶべき格好がこれほどまでに似あう人間などそうそうお目にかかれないだろうと感じさせるほどの出来栄えだ。


「ちょっ・・・くすぐったい」


明確な意思を持った古賀の手が秋穂の体の線をなぞるように撫でていく。


「・・・やめっ」

「誰に着せられたんですか」

「・・・朧さん」


いったい何がそんなに気に入らないのか、素直に答えると古賀の機嫌はさらに悪くなった。


「危機感と言うものがまるでないですね、秋穂。まあ、こんな物を着せた朧も朧ですが」


微笑んでいるのにどうしてだろう、まったく微笑んでるように見えない。


「trick or treat?」

「えっ?」


この状況でそれを言うのか?

秋穂はあせる。状況から考えて秋穂が何も持っていないことを目の前の男は分かっていて言っている。


「はい、時間切れ。いたずら決定だね」

「理不尽な」

「理不尽ね。でもね、仕方がありませんよ。そんな格好を大勢の男に見せた秋穂が悪いんですよ」


見せたくて見せたわけじゃない!

そう言いたくて開いたはずの唇は古賀のそれに覆われ、その後、言いたくてもいえない状況へと持ち込まれた・・・




*****


「・・・」

「機嫌、直してくれませんか」

「・・・」


翌日、古賀のどの過ぎたいたずらに機嫌を損ねた秋穂は古賀と口を利かず。

妻のご機嫌取りをする古賀の姿が各所で見受けられたとか。(笑)




というわけでおじいちゃん現るでした。

一応、結婚式の少し前のお話です。


設定的には第1話は4月の予定です。(まだ夜は冷える時期ですからね・・・)

それから籍を入れたのが7月ごろ、それからまた三ヶ月ほどたち10月という計算です・・・

微妙にずれている気がしないでもありませんが、気にしてはいけません。


ちなみにおじいちゃんは各国を転々としています。(どっかのご隠居様みたい)

そこで孫が結婚したという話を聞き、「何それ、わし知らない」というノリで帰国。そして、この騒ぎ・・・


今回のことでおじいちゃんは秋穂ちゃんをいたく気に入り、それはそれは可愛がります。それはもう、目に入れても痛くないほどに。

そして、それが気に入らない古賀氏がおじいちゃんとバトル(張り合うなよ)

という現象がこの後起こります(笑)


というわけでハロウィンでした。

皆様のハロウィンはいかがだったでしょうか?


ちなみに作者はパンプキンケーキを顔に塗られました。(罰ゲーム)

ケーキって水じゃあ落ちないんですね・・・

生クリームは脂肪分、つまりは油だから当たり前か・・・

お湯で洗い流すか、またはクレンジング。




ハッピーハロウィン!!!



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