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シル・ストア~第0部 風の生まれるところ  作者:
第2章 佳澄:8歳 小学校3年

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06_タロウの場合、実践編

お掃除大作戦

賃貸なのでリフォームは出来ない・・・

話し合いから最初の土曜日の午後、佳澄はケイやアイの他に、兄と弟の5人でタロウの家に向かっている。

「片付けに手が回ってないで良いんだな。」

寛の言葉に佳澄は頷く。

「具合の良くないお母さんの側で掃除機は使いづらかったみたい。」

「そうなると掃除機は使わない方が良いか。」

5人の手には掃除道具一式、汚れてもいい様に動きやすいジャージ系の格好をしている。

「あっ、ここだ。」

マンションの廊下から手を振るタロウの姿が見えた。


「よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします。」

タロウの両親は草臥れているものの表情は明るい。

様々な家事が見える化され、分担したり割り切ったりしたことで余裕が出来たらしい。

入学前の妹弟に家事を教えるのは大変だが自身が手伝う様になって不満が大幅に減ったとのこと。

特に妹は積極的に手伝って出来ることを増やし、それに釣られて弟もおもちゃの片付けとかをやるようになったそうだ。

やったこと出来たことをきちんと褒めるようにしているというタロウの言葉通り、下の子二人はこれだけ頑張ったんだと胸を張ってケイやアイと話している。

寛と両親の挨拶が終わったことに全部の部屋をタロウと一緒に見て回った佳澄が戻ってきた。

「どうだった?」

「思ったよりも片付いている。」

そう言ってタロウの母親の方に顔を向けた。

「タロウから聞いていると思いますが暫く下の子達を連れて市民会館に行っていただけますか。」


今回のミッションは家の大掃除。

本来なら指揮は母親が取るべきだが体調がまだ戻っていない。

そこで指揮は父親と寛で分担し、まだ危なかっしい妹弟は母親と一緒に避難してもらうことした。

母親だけでは不安なので悟をサポートに付ける。

タロウとケイは溜まっている洗濯物を抱えて近くのコインランドリーに出掛け、

アイは床に散らばったものをリストを見ながら仕分けして袋に入れてゆく。

寛と佳澄は父親の指示のもと家具を移動させて叩きを掛け、掃除機でゴミを吸い取っていく。

そこへコインランドリーから戻った二人が加わり、再びコインランドリーに行く頃には粗方片付いた状態になっていた。

ベランダには大量に袋が積み上げられている。

これの分類は明日以降の作業だ。


寛と佳澄で軽食を作っていると父親が近付いてくる。

「有難う、助かったよ。」

「どういたしまして。これが私達の課題ですから気にしないでください。」

「寛君と悟君は違うだろう・・・しかし、君達は手馴れているね。」

その言葉に寛が笑う。

「通っている道場の大掃除とかやってますから。

それに我が家も油断するとこうなるんで時々家族総出で大掃除してます。」

「それに思ったよりも片付いていたので。」

「貰った手引きで事前に準備出来たからね。今朝は大変だったけど。

でも本当に有難う。

ここまで片付けば後は私達でやる。ここから先は家族の仕事だ。」

そう話しているとタロウと一緒に母親達も戻ってきた。

洗濯物を畳んで所定の場所に入れる作業は母親とアイ、妹の3人でやることにし、

タロウとケイは食事をする場所の準備だ。

人数が多いので食卓ではなく床にレジャーシートを置いていく。

悟と弟は紙皿や紙コップを運んでいく。


作った料理を寛と佳澄が並べていく横で父親が子供達の話を聞いて褒めていた。

「良いお父さんだね。」

そんな会話をしてお開きになった帰り道、寛は言った。

「これで僕達が手を出すのは終わりだね。」

「うん、年末は酷かったからね・・・」

悟の呟きにケイが反応した。

「スミ、年末何かあったのか?」

うん・・・と言って佳澄が年末から春休みまで母方の親戚に巻き込まれた出来事を語った。

「旦那さんの方は結婚まで実家暮らし、結婚後は家のこと全部母の従妹がやっていて・・・」

「奥さんが出産で入院、里帰りで1月ほど家を空けたらとんでもないことになっていたと。」

3人が語る家の様子に青ざめるケイとアイ。

「そういうこともあると警戒していたんだけど、そんなこと無かったから安心した。」

「前日、タロウも言っていたけどあれを見て家族で色々分担して良い方に向かっていたんだね。」

「僕達が手を出さない方が良かったのかな・・・」

ケイの言葉に寛は首を横に振った。

「それは無いよ。

何だかんだで結構ごちゃごちゃしていたから。」

ここで一度リセットしておけば後は何とかなるだろうと寛は笑う。

「それでスミの親戚はどうなったの?」

「僕達3人が掃除する横で、旦那さんとその両親は父が、奥さんとその両親は母がお説教していた。」

「説教・・・」

「うん、旦那さんの方は家事が全くできないのは両親の教育の問題で結婚後完璧主義の奥さんが全部してしまったのは奥さんの方の問題。」

「で、旦那さんの方は両親と僕達であれを使って家事を毎週教えていって今じゃかなり出来るようになったし赤ちゃんの面倒も良く見ている。」

「今は奥さんの方が問題で母さんがカウンセリング?している。」

「何が問題なの?」

興味津々と言ったアイに寛が答えた。

「さっき、佳澄が完璧主義だった言っていたけど、それが問題でね。

家の中が思った通りになっていないことで相当ストレスため込んでいるんだ。」

「旦那さんの方は頑張っているけど奥さんの望むレベルには達していないと言うか・・・」

「1か0の人でね、出来ていないと全部駄目になっちゃうんで、母が優先順位を付けろ、何が一番大事か考えろって話をしている。」

「最初に比べれば相当落ち着いてきているんだけど、思い通りにならないのがきついみたい。」

「今は自分達の見える化リストで役割を分担して話し合いをしているんだけど・・・

僕達も月に一二度顔を出して手伝うと同時に母さんが奥さんと話してガス抜きしている。」

「お酒が飲めれば楽なのにってぼやきながら・・・」


暫く会話してケイの家の近くに着いた。

「じゃあまた学校で。」

「僕が一番近いからタロウのところ、様子を見に行くよ。」

佳澄が視線を向けるとケイは神妙な顔で答えた。

「知らなかったとは言え、きついこと言ってあのままだったら多分いじめになっていたと思う。

償い?と行って良いのかどうか分からないけど手助けをしたいんだ。」

「そう、何かあったら相談に乗るから教えてね。」

そう言って佳澄はアイの家の方に向かって歩き出した。

閲覧、有難うございます。

タロウ編は一旦終了、次はアイの場合

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