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【凍結中】シル・ストア~第0部 風の生まれるところ  作者:
第2章 佳澄:8歳 小学校3年

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07_アイの場合、お受験

アイの場合は、家族のすれ違い

あれから1ヶ月、アイは時々スミと一緒にタロウの家に行っている。

壁に貼られた見える化のワークシートには始めた頃は殆どなかった妹、弟のマークが彼方此方に貼られている。

褒めてと胸を張る二人の頭を撫でる。

「今はここを頑張っているんだ。」

具体的にワークシートをなぞるスミに弟が答える。

「うん、ケイお兄ちゃんに教わっている!」

「凄いな。でもここから先はまだ早いな。」

うんと悔しそうな弟。

身長が足らないのは仕方がない。

「牛乳飲んで大きくなるんだ!」

タロウによると弟は少し前まで牛乳嫌いで偏食気味だったそうだ。

今はスミに煽られて何でも食べるようになり身長も少し伸びたそうだ。


部屋で楽しかった出来事を振り返っていると

「分かっている!!!」

階下から扉が乱暴に開かれる音、そして階段を駆け上がる足音が響く。

下から姉を呼ぶ母の声。

近くで扉が開く音がして閉じる音、鍵を掛ける音がする。

また姉と母が言い争って平行線で終わったようだ。

「はあ・・・」

アイはため息を吐く。

二人の争いの争点は姉の進路。

中学受験をさせたい母と普通に進学したい姉。

少し前なら母の味方だったが今は姉の言い分に気持ちが寄っている。


事の起こりは姉が小学校の受験に落ちたことだった。。

名門私立小学校に入れたかった母は、姉に幼稚園から色々習い事とかをさせていた。

そうやって万全を期して臨んだ受験に不合格となり、二人して相当落ち込んでいたのを覚えている。

渋々通うことになった今の小学校だったが良い出会いがあったらしい。

姉に笑顔が戻り家の中も明るくなった。

そうして自分の時も母はお受験をさせようとしたが姉が反対した。

アイ自身、習い事は嫌いではなかったが姉の時にようにそれだけに全てを掛ける気になれず受験せずに姉と同じ小学校に通うことにした。

アイは引っ込み思案の性格もあって学校に馴染めなかった。

運悪く乱暴な男の子やずるい子に目を付けられて1,2年の時は学校が楽しいとは思えなかった。

母の言う受験をして私立小学校に行っていればこういう思いはせずに済んだのではないかと思って姉を恨んだりもした。

それが変わったのは今の班になってから。

入学時に姉の言っていた良き友達との出会いを得て今は学校が楽しくて仕方ない。

1,2年時に嫌だった相手の大半は別のクラスになり、同じタイプの様な子は別の班。

そしてそういう子達はスミに睨まれて近付いてこない。

また、苦手だと思っていた子の中にも話してみれば実は気が合うと分かって、今では他の班の同級生達とも楽しくおしゃべりが出来るようになった。

姉の言う幼い内に色々な人と接することが財産になると言う言葉にその通りだと心から思える。

なのでそうしようと思ったものの独りよがりは不味いかもしれないとも思う。

「次の総合学習の時間に相談してみよう。」


「中学受験!?」

「お姉さんと言うことは藤ノ森か。」

「うん。」

藤ノ森は幼稚園から大学までの地元でも有名な私立学園である。

共学なのは小学校と中学校で、幼稚園、高校、大学は女子のみである。

「ケイは考えなかったの?」

結構良いところの育ちであることを知っている佳澄の言葉にケイは首を横に振った。

「男なら竜ヶ峰だろ。」

「そうだね。ケイはそこを目指すの?」

「目指してはいるけどあそこ偏差値滅茶苦茶高いだろ。

内申も結構きつめって聞いているし。」

そう言って肩を竦める。

それを見て佳澄は言葉を続けた。

「家も兄さん、塾三昧になりたくないから校風の良い公立に狙うって言ってる。」

先日寛と顔合わせしたケイとタロウは何かあると寛に相談に乗って貰っている。

「寛さんでもか。まあ頑張ってみるよ、今はアイの話を聞かないと。」

「そうだね。」


「なるほどね。」

アイから状況を聞いた3人はタロウの時と同じように大きな紙を前に付箋紙を手に取った。

「まずは現状と問題点。」

そう言って皆で付箋紙に思いつくままに書き連ねる。

二度目なので皆慣れもの、端的に書かれた付箋紙がある程度溜まったところで仕訳を始めた。

「これは現状、これは問題点、こっちは確認、対策は・・・後回し。」

そうやって振り分けられた付箋紙から現状を見る。

「アイ、ここで間違っているものはある?」

「大丈夫。無い、ここに書いてある通り。」

現状としてまとめられた付箋紙

・母:姉に中学受験をして欲しい

・姉:このまま地元の中学に進学したい。

・母:姉に中学受験をして欲しい

・姉:このまま地元の中学に進学したい。

・母と姉は進路でもめる前は仲が良かった。

「そして今は進路絡みで冷戦状態、時々口論勃発で家の中の雰囲気が良くないと。」

内容をまとめた佳澄にアイは頷いた。

「アイとしてどうしたい。どうなって欲しいと思っている。」

ケイの言葉にアイは言う。

「受験をするしないは姉が決めることだからどちらを選ぶにしてもちゃんとお互い納得して欲しい。

私が望むのは家で穏やかに過ごせるようになること。

今のお母さんとお姉さんは見たくない・・・」

閲覧、有難うございます。

竜ヶ峰はこの5年後に共学になり旧版の佳澄はそこに進学します。

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