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シル・ストア~第0部 風の生まれるところ  作者:
第2章 佳澄:8歳 小学校3年

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課題と対策の見える化

佳澄が班の課題として挙げたのは課題と対策の見える化だった。

「見える化?なにそれ?」

アイは首を傾げている。

「ここに怒りっぽい人が居るとするね。」

そう言って佳澄はケイに視線を向ける。

「怒っている、何か怒りを感じている訳だけど、それが何か分かっている人って少数なんだよ。」

そう言って佳澄は新聞を出し、突然怒り出す高齢者の記事を指した。

その記事を覗き込むタロウとアイ、ケイは既に話し合い済みなのでそっぽを向いている。


「この記事を読めば分かると思うけど、この男性が怒っているのは店員の態度じゃないの。

だって、店員は当たり前のことしか言ってないから。

そして問題のある行動しているのは男性の方。」

その言葉にタロウもアイも頷く。

「じゃあこの男性は何に怒っているのか?

記事に書いてあるけど定年退職して居場所が無くなり不満をため込んだ・・・

定年まで職場で頑張って働いてきた人が何故?って思うでしょ?」

うんうんと頷く二人。

「男性は考えれば分かることを問題のある行動を取って、その行動を宥めた店員に怒り、暴行を加えている。

その結果、事件となって新聞記事になった。」

そこまではOK?と二人の顔を見て、頷いたので続きを話す。

「この男性のするべきことは問題行動をしたり、店員の態度に腹を立てて怒ることじゃなく、自分の居場所を家庭や他に作ることなんだけどそれが見えてない。

そうやって本来の望みと違うことをするから余計状況が悪くなっていく。」

「だから見える化?」

「そう課題がきちんと見えれば対策も見えてくる。

男性の望みは自分が認められ居場所が出来ること。

間違っても傷害事件を起こして新聞沙汰になることじゃない。」

その為の見える化だと佳澄は言った。


「精神科の医師やこの手の問題のカウンセラーは患者が自分の問題、望みを意識できるようにすることに力を注ぐの。

それが出来れば後は解決するだけだから、

逆に出来なければ何時まで経っても状況は変わらない。」

そう言って佳澄が首を横に振った。

「患者は自分の弱さを認めたくなくてそれから目を逸らす人が多い。

でもそれを認めないと先に勧めない。」

だから医者やカウンセラーは患者に寄り添って自分自身を見詰め直す手伝いをすると佳澄は続ける。

「手伝い?治療じゃないの?」

「この問題は自分で気づいて認めないと意味が無いの。

薬を出すこともあるけどあくまでも落ち込んだりハイになったりするのを押さえ、自分自身を見詰められるようにするだけ。

落ち込み過ぎると自殺とか悪い方に行くから。」

閲覧、有難うございます。

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