紅谷みゆき
私は、ずっと、一人でいがちな性格だった。
一人で、落ち着いたところで本を読むのが好きな女の子だった。
一人でも本を読んでると別にぼっちだろうと恥ずかしいという感じもしないし、何より自分だけ、夢のような世界にワープできた。
そうして、自分の中に、いろいろな想像が広がった。
私自身で物語を生み出してみたい。
そう初めて思ったのも、かなり小さい頃だったと思う。
最初に私が物語を創り出した方法は、ぬいぐるみを使ったごっこ遊びだった。
一人で家でやっていても、自分が創ったストーリーに合わせてぬいぐるみを動かせば、あっという間にそこが楽しい空間になる。
でも、ごっこ遊びは子供っぽいもの。
そう思った私は、小学校中学年ごろから、小説を書き始めている。
そして今も文芸部に所属している。
文芸部ではお互いの小説を見せ合えるし、外に発表する場もあるし、楽しい。
けど、私は教室にいる時、やっぱり自分が嫌になってしまうのだ。
クラスの中心で楽しそうにしている人。
決してあそこの中に自分がいたとして、楽しいと思える自信はないけど。
それでも、うらやましいと思ってしまうのだ。
結局、魅力的な人の周りに人が集まるに決まっている。
すごくバレーボールもうまくて、スタイルもすごくよくて、魅力的な雰囲気を振りまきつつ、明るい。
そんな人とか。
茶道部ではすごく真面目といううわさで、いざという時は上品。でも普段はノリが良く、きっと誰もが一緒にいて楽しい。
そんな人とか。
そう。結局そんなもんなんだと思う。
小説だって、面白い小説は人気が出て、そうでない小説は人々から瞬時に忘れ去れられる。
それと似たようなものだ。
けど。
三ヶ月くらい前から、私は、一人の男子が気になっていた。
丸野成輝。
いつも一人で黙々と、何か縫い物をしている。
すごいなあ、と思っていた。
私みたいに、ちまちま人のことうらやましがってたりしないんだろうなあ、いやもしかしたらしてるのかなあ、と考えたりしていた。
丸野くんはぬいぐるみ部に入っているらしかった。
私はどんなぬいぐるみを丸野くんが作っているかが、気になった。
だから、私はぬいぐるみ部の文化祭で、丸野くんが作ったぬいぐるみを全部買ってみた。
それらを家でながめて見ると。
もう高校生なのに、ごっこ遊びを始めたくなるくらい、魅力的だった。
すごい。
単純に、こんなぬいぐるみを自分で作ってみたいと思った。
それに、どちらにしろ、話しかけたいと思っていたのだ。
なんか、丸野くんは、私とクラスでのポジションが似ている気がしたから。
しかし、それは間違いだった。
丸野くんと関わるようになって初めて私が気づいたのか、それとも今頃丸野くんの魅力が周囲に伝わったのか。
丸野くんはすごくいろんな人に話しかけられていた。
しかも、ぬいぐるみ作りを教えて欲しいと言ってきた全員に教えるって言うし。
やっぱり、全然私と違う。
私は、丸野くんと親しくなったつもりだった。
丸野くんに頑張ってフレンドリーに接しようとして、空回りしたりした。
けど、もうそういうこともないだろう。
私は、たくさんの女子相手に教室で楽しそうにぬいぐるみ作り講座を開いている丸野くんを遠くから見て、教室の扉を開けた。




