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銀河ギリギリ危険なヤツら!帰ってきたサメ殺し同好会

 多元宇宙の様々なエルフたちが憩う秘境次元、エルブンスペース。

 非戦領域であり、戦闘における火器の使用は総じて厳禁。争いの際は最寄りのデュエルスペースをご利用ください…しかしこの慣習も用いられなくなって久しい。今時はエルフ同士で争うことさえほとんど無いのだ。


 不要となったデュエルスペースの多くは別の形で再利用されることとなった。

 そのひとつ、ラブシャークランドは一般エルフ客も多いアミューズメント施設。エルブンカップルやメスエルフたちの思い出作りの場として親しまれており…その中心地、ダークシンデレラ城では会員限定の闇の婚活パーティが行われているという。



 ネオンに彩られたラブシャークランド噴水広場。金のサメモニュメント周囲にカフェスペースが配置されており、一般エルフ客らが休憩中だ。

 スタッフから受け取ったサメ婚カタログを手に、若いメスエルフのメリンは言った。

「サメって…よく見るとイイよね。形とか、カッコイイ…」


「でも…サメだぜ?食べられちゃうんだぜ?」

 ボーイフレンドのマサール。メリンとは幼馴染だが、あくまで友人の間柄。


「…私、やっぱり、サメサークルに入る。サメと結婚する」


「だ、ダメだ…よく考えてよ。そもそもサメとエルフがどうやって結婚するの?」

 正論だ!しかし愚かなメスエルフの説得としては、悪手でもある。


「スリルがないと心は動かないのよ。それに、もう決めたの」


「ぼくは……」


「なに?」


「…ぼくは…心配なんだ。君のことが」


 メリンはため息をついた。

「最後まで、あなたはそうなのね。もしあなたがコアラじゃなかったら…」


 …コアラじゃなかったら、サメに私をしっかり捕まえてくれたかもしれない。昔流行ったスペースダッコサン人形のように、左上腕部にしがみつくような形ではなく。


「ううん、何でもない。私行くね。もう降りてくれる?爪が痛いし」


「まっ、待ってくれ!」


 キイイイイイイ……

 ジェット機が飛ぶような…空気を切り裂く音。


「…何だろう?この音」


「見て、空よ!…流れ星……?」


 エルブンスペースの空にまたたく光。花火か?その数10…20?…上空の光が…こちらへ向かって…

 墜ちて来る!!?



 ズボオオオーーー!!!!



 光のひとつがラブシャークランド広場噴水に着弾!!噴水中央のサメのモニュメント粉砕!!


「うわああああ!!!」

「キャアアアア!!!」


 悲鳴を上げ、逃げ惑う一般エルフ客!そして他の光も順次墜落!!


 ゴゴゴゴゴゴオオオオ……


 事故か?テロか?戸惑うメリンとマサール。あまりの出来事に、言葉を失っている。




 若年エルフたちは知らなかったのだ。このエルブンスペースにおいて、サメより恐ろしい者たちの存在を。

 丸太ミサイルに乗ってやって来る、深き森の守護者…エルフの中のエルフたち。


 彼らにサメを見せてはいけない。

 彼らにサメを語ってはいけない。

 彼らの前ではサメを思うことさえ危うい。


 彼らが、長い眠りから目覚めたのだ。

 その名が伝説となり、そして忘れ去られようとしていた彼らが、エルブンスペースに帰ってきた!


 そう、彼らの名は……サメ殺し同好会!!

 哭け、喚け、サメに組する堕落エルフたち。お前たちの春は終わりだ。いい子は歯を磨いてさっさと寝ろ、R-15の残虐ショーが始まる前に!サメ殺し同好会の狂エルフが乗る丸太ミサイル、全てラブシャークランドに配送完了!!




「ブブウウ……ブブウウ……」

 爆発による煙が晴れ、その中心に立っていたのは…一人のメスエルフ。泡を吹きながら白目を向いた…全裸の、メスエルフ!?


 逃げ惑う一般客をかきわけ、ラブアンドシャーク会員のダークエルフたちが着弾地点に集まる!普段はスタッフや客に紛れてサメ勧誘活動を行っている、いずれも手練れの者たちだ。


 ダークエルフ10名が敵エルフの存在を察知し、破壊された噴水を取り囲む。

「変態テロリストめ!!神妙に縄に付くがいい!!」


 全裸エルフは噴水に突き刺さった巨大な丸太を、まるでパフェのウェハースを取るかのごとく軽々引き抜いた。

 丸太は淡い紫に発光し…そして薙ぎ払う!!


 ボッ


「「「んほおおっ!!」」」

 一瞬でダークエルフ10名撲殺!!


 サメ殺し同好会所属、魔法少女エルフ・ストラングル!かわいい顔をしているが、趣味はハードな首吊りオナニー。

 表の顔は星系のアイドル。そしてその正体は…恒星系オキナワを支配せんと目論む悪の組織と戦う正義のエルブン魔法少女・ティンクルストラングル……だった!!


 サメ部屋帰りのストラングルは、かつての武器である魔法のステッキを同僚エルフ・アスホールの尻に突き立てて、撲殺に特化したマジカル丸太に持ち替えた!フリフリのドレスは見る影もなく朽ち果て、そのふとももや控えめな乳が露わ。実質全裸!

 しかしその首には唯一の衣類、麻縄が巻かれている。自殺志願か?いや違う。これは彼女が、常時酸欠の甘イキ状態を保つための闘衣なのだ!!


「ブブブウウウウ!!ブブブウウウウ!!」

 白目を向きながら泡を吐く、今現在のストラングル。哀れにも…言葉を発することすら叶わない。なお首の麻縄を緩めればば普通に発話はできる!


 その異様な姿に怯む追加のダークエルフたち!

 グレーター級のダークエルフ・センチリビドーが進み出た。

「ゾンビ・エルフか。下がっていろ、お前たちには荷がおもんほおっ!!!」


 ティンクル・ストローク!!

 超音速紫発光丸太の一突きでグレーターエルフ・センチリビドー撃沈!

 一方ストラングルは…ほぼ逝きかけている!?力むほどに首の麻縄が食い込むためだ!!食い込み逝きかけるほどに力が増す仕組み!

 ちなみにストラングルがサメ部屋監禁中に、恒星系オキナワは組織の手に落ちた。それもつかの間のことだろう。星系の問題児ストラングルが戻った暁には、おそらく全員死ぬまで殴られる!!




「に……逃げるんだ、メリン!!」


「あ、あんたも自分で走りなさいよ!…きゃあっ!」

 メリン転倒!床が濡れていて走りにくい。


「な、なにこれ??血!?」

 ……床が血で濡れている!?

 辺りに転がるエルフの四肢!ダークエルフたちの血だ!!?


「ひいいいいいいいいいい!!!」


 …かちゃ。


 かちゃかちゃかちゃかちゃ


 多脚の機械が歩み寄ってくる。カニのような異形フォルムの頂にあるのは…メカエルフ?



 サメ殺し同好会所属、人形エルフ・ラブドール。

 ある種の愛玩人形が色々あってエルフになった。自己存在に思い悩む、多感な無機物エルフだった。

 本当に自分はエルフなのか?どうやって自我を証明するのか?この心は本物なのか?記憶を満たす森はどこにあるのか?

 …そして今では全身サイバネ処理を施した、自動サメ(とその他)殺戮装置!!


「あ…あ…」

 メンタルショックにより、尻餅をついたまま硬直するメリンとコアラ。


「スキャン開始…サメ汚染0%。許容範囲です」

 コアラは許された。


「スキャン開始…サメ汚染0.000002%。殺処分します」

 キュイーーン!!ドリルアーム展開!!


「危ない!!」

 コアラはとっさにサメカタログを投げつける!!ギュワアッ!!ドリルがサメカタログを一瞬で分解!!



 命からがら、路地裏へ這って逃げるメリン。殺戮機械は追ってこない。

 すでにラブドールの殺戮対象は変わっていた。

 それは異常事態に駆けつけた、レーザー銃を抱えたダークエルフ・ガードマンの列。何らかの軍隊的トレーニングを積んだ動き!


 デストロイ・ホイール展開!!サメショニャッガーモード!!


 ギュアアアア!!!


「「「グワアアア!!!!」」」

 するどいトゲのついた四輪駆動で、四列に並んだダークエルフ・ガードマン計64名轢殺!!脳髄サメ汚染済のダークエルフ相手にスキャンは不要!!見敵即殺!!


 ところで結局のところ、ラブドールに自我は、心はあったのだろうか?

 彼女の心はきっとこう答えるだろう。

 そんな悩みはスペースウォンバットに食わせておけ。たとえ自我があったとしても、グレーターエルフ・ラブドールは…サメ(とその他)を滅ぼす、心持たぬ兵器で良い!彼女自身がそれを選んだのだ!!




「ひいっ…ひいっ…ひいっ…」

 涙と血と泥と小便にまみれて匍匐前進するメリン。メンタルショックにより痙攣する手足が、まるで夢の中で走るかのように、うまく動かない。まさに彼女は悪夢の中にいる!!


「しっかりしろ!!メリン!!もうすぐゲート……な、なんだあれは…」

 

 ガン…ガン…ガアン…


 エルフがゲートを殴っている…?

 そう、ラブシャークランドのゲートは…不運にも、サメの形をしていた。


 ガアン!!ドガーン!!


 エルブンゲート破壊!!ただいまを持ちまして、出入場の方は締め切らせていただきました!!


 サメ殺し同好会・クリームパイ!!

 今の彼女の頭の中にはサメ殴り…いや、殴打に先鋭化した脳が殴るためのサメ幻覚を見せる、歩くエルブン隔離病棟!

「ははは、そこのサメカップル。ちょっとおいで?おいでえええ!!!?」


「うっ……オエエエエエエ!!!」

 度重なるメンタルショックにより激しく嘔吐!!そしてとうとう意識消失!!





 ……


「…リン、…起きてくれ、メリン。」


「……マ、マサール?」


「気が付いたか。良かった…」


「…ここは?真っ暗で、何も見えない」


「僕たちは…飲み込まれてしまったんだ」


「飲み込まれた?どういうこと?」


「あの恐ろしいエルフたちの一人だ…これから僕らはどうなってしまうんだろう」


「……ごめんなさい。マサール。私、あなたに冷たかったかも」


「いいんだ。僕の方こそ…力があれば、君を救えたのに。もし生まれ変わったら、ゴリラになりたいな」


「…ここ、暖かくて…なんだかお腹の中にいるみたい。ほんとに生まれ変われるかも」


「そう…そうだね。きっとそうだ」



 サメ殺し同好会所属、謎に包まれた目隠しエルフ・アスホール。

 今の彼女はサメ・非サメに関係なく、ひたすら尻に色々な物をしまい込む狂人。そう、コアラやエルフでさえも…。

お読みいただきありがとうございます。

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