黒ギャルエルフの秘密の穴
サメの群体が、マジックミラーを、屋根を、壁をむしり取って行く。
無残にも床だけが残ったラグジュアリールームの足場で身構える、ノリヒロ!エクストラバージン!コアラ!コアラ!
そして…サメ群体を夫と言い放つ、狂ったミルフ!!
「カメラのコアラさん、特にそっちのおぼこちゃんが死ぬ様は、よく撮っておいてね。
それと…悪いんだけど、あとでVHSにダビングしてくれるかしら?最近の機械はよく分からないの。お願いね」
巨人を象るサメ群体。全体としてひとつの超越的意志を持つ、恐るべき超サメ存在!だがサメ殺し狂エルフのノリヒロにとっては、すでにマウンティングが済んでいる相手。
サメ部屋で殴りに殴ったサメロード。サメ次元の影として、とめどなく現出するサメ存在の通り道。群体のひとつひとつを死ぬまで殴って死なせて死なせ抜いた先で死ぬことはすでにQ.E.D!
問題は目の前の、三つ目のミルフだ。必殺のリンパマッサージでも仕留め損ねるほどの相手。
浸透勁により体内森林を封じている今殺しきらねば…死ぬのは確実にこちら!
「チェストオッ!!!」
ノリヒロの森林正拳突きを絡め取る、得体の知れぬ柔術!森林アドバンテージがあってなお、仕留めきれぬミルフ!やはり只者ではない!!
「ううん…こっちの方は、あんまり上手くないのね?」
「サメが夫だと?狂人め」
「あら、彼のことを誤解してるわ。ちゃんと3次元上での意思疎通も取れるのよ。
Coldplay! Self-introduction please.」
そしてノリヒロらの脳内に直に響くサメの声!!
「Hi. 私は紳士。
わたしたちはお友達になれると思いますよ。お友達になりましょう。たった今、あなたのSNSもフォローしました」
「えっ、そ、そう?ありがと」
チョロ過ぎるエクストラバージン!だがSMCによる自失状態、無理もない!おまけに失禁もしている!
「Pussy. 性根が穏やかなサメですから、原住民を食べるのは日に一度で良い。
エルフも週に一度食べるか食べないかです。実質安全ですよ」
はきはきと喋りながら、エクストラバージンの失禁を触腕で舐めとる!
これから黒ギャルエルフを食らおうが、後で"同意の上です"とのたまいかねない危険な精神構造の発露!
「ひいいいい!!やっぱ無理ぃ!!」
超サメ群体巨人が持ち上げる不安定な足場の中、ミルフは悠然と歩く!
何らかの拳法により鍛え抜かれた体幹バランスだ!
「エルブン尻子玉は、彼らとのコミュニケーションを安定させてくれるの。サメとエルフの共存。素晴らしいことでしょう?もっとも、弱いエルフはエルフに含まれないけれど…。
私が言って聞かせて、彼が海の底でじっとしていたおかげで、この星は今まで無事でいられたってわけ」
「そうか。ではお前たちの死をもってその仕事を引き継ぐとしよう」
「Hey!仲良くしましょう。今こそサメとエルフ、手とヒレを取り合う時なのです」
サメの声が脳内に響き、ノリヒロにマグロサイズのミニサメ弾が毎秒二十発襲いかかる!
ノリヒロはエクストラバージンとコアラたちをかばい、毎秒六十発のサメ弾をさばき続ける!
「ふざけるな!貴様のどこがヒレに当たる部分だ!!」
…ノリヒロはサメ殺しに特化矯正されたエルブン頭脳で考えた。
サメは殴れば死ぬ!しかし沢山殴る必要がある!ミルフが邪魔をする!エクストラバージンは死ぬ!コアラも死ぬ!河童も死ぬ!星も死ぬ!ノリヒロも死ぬ!師が飢える!!
…答えは出た!!
「エクストラバージン!!今こそ君の力を使うときだ!!」
「はあ!?あたしの力って何よ!!?」
「穴だ!!穴を出せ!!!」
「どゆこと!?またお尻の穴出すの!?!?」
────────
時は遡り、二人のエルフが尻子玉の楽園・ハチオウジシティに降り立つ前。
まだ生配信で尻穴を晒す前のエクストラバージン。ノリヒロとも遠慮が見られる間柄。
「尻子玉の反応が沢山…恐らくここで間違いありません…でも、反応が多すぎる。
まさかここが伝説の…ハチオウジシティ!?惑星カナガワに隠されていたなんて…」
通信のパフィニップルは驚く。しかし星系の地理と尻子玉事情に疎い二人にはよく分からない。
そんなことより着陸の準備だ。二人乗りの小型エルブンスペースシップは、ノリヒロが読み終わったエルブンコミックスで満載になっていた。
「んじゃ、片付けまーす」
「片付けるって、どうするんだ。捨てるのか?そもそもこの大量のコミックス、一体どこから出した?」
「体内森林?にしまうんすよ。ほら、最近のコミックスによくある、アイテムボックス的な。
エルフのみんな、似たようなことやってるじゃないっすか。ノリヒロさんだって丸太生やすっしょ」
乳の間にスルスルとコミックスをしまっていくエクストラバージン。
「…まるで四次元ポケットだな」
「便利っすよねえ。スペアもあればいいのに」
ブウーン…プシュー…ポーン。
録音のアナウンスが流れる。副会長の声。間も無く本機は着陸体制に入ります。快適なサメ殺しの旅をお送りする………
「…エクストラバージンよ。体内森林を用いた仮想エルブン物質形成は、森林由来のものしか出せん。それに一度作り出したらしまうこともできん。樹脂製品のような加工品を作り出すことさえ達人の技術だ」
「ふあ?なんの話っすか?」
「君が古エルフたちに認められた理由だ。
君のコミックスはコピー品ではなく、紛れもない本物。作者のサインが入っている物まである…君がやっていることは、他のエルフとは根本的に異なっているぞ」
「前も先輩たちに言われた気がするけど、よくわかんないっす。あたしビームも出せないし」
「エルブン・ボウなど比較にならん。
どこまでできるのか知らんが、恐らく…使い方次第で、銀河をまるごと破壊できる」
「ええ〜?はは、うそだあ〜…」
────────
ミルフと打ち合いつつも、飛び交うサメからエクストラバージンを守るノリヒロ。頭と肩にかじりつくサメ弾!!コアラの一匹が食われた!!残りの一匹は震えながらもカメラを回す!!
「グウッ…"穴"をむき出しにして、その維持エネルギーを放出しろ!!」
「ぜんぜん分かんない!!?どうすりゃいいの!!」
「気合いだ!!!」
「漠然とし過ぎだろ!?」
「3日とはいえ森林拳を習得したのだ!
臆するな。甘えるな。尻に力を込めろ。そして己を示せ、エクストラバージン!!!」
パァン!
頭をサメに噛まれたままのノリヒロに尻を叩かれ、姿勢を正すエクストラバージン!!
行住座臥、正しい姿勢で過ごすこと。3日で習った森林拳の基本のき!!!
「……や、や、やったろうじゃん、ノリヒロ。…ちゃんと……あたしを、見ててよね!!」
腰を落とし、ゴム鉄砲の構えをとるエクストラバージン。
実のところ、彼女は感覚的に分かっていた。この"穴"の露出コントロールにしくじれば…ノリヒロたちを巻き込み星ごと自壊しかねない。それほど危険な穴なのだ。
しかし、やらねば死ぬ!今回ばかりは逃げられない!やり遂げなければならない!!
そう、生配信で宇宙に向けて尻穴をさらけ出したのだ。"穴"のひとつやふたつ、見せてあげないこともない!!
エクストラバージンの、指先の空間がぐにゃりと湾曲する!!!
「話あいまShow。話せばワカル、Everything」
「もう…話は…しないよ、クソザメ!」
エキゾチック・エルブン・ボウ!!
──ぶつん
黒ギャルエルフ・エクストラバージン。彼女は膨大なエルフ史の中でも稀に見る、体内森林操作の天才である。
百万を超えるコミックスと諸々のグッズをしまうために作られた、体内森林の"穴"。それは現代エルブン物理学を置き去りにし、彼女の黒ギャル的エルブン感性のみで編み上げた、アインシュタイン-ローゼン-黒ギャル-エルフ橋。
すなわち…ワームホール!!!
そして結論を言うと、サメは消えた。巨大なスペースコロニー級のサメ群が、丸ごと消えたのだ!!
サメは一体どこへ消えたのか!?
わかんない。たぶん原宿か、ブクロ方面だ!!
ノリヒロが倒れこむエクストラバージンを抱きかかえる。極度の集中と体内森林エネルギーの枯渇により、意識を失ったのだ。
「よくやった、エクストラバージン」
「あーあ、よく分からないけれど…やられちゃったみたいね、私の旦那さん。
これでバツ…いくつかしら。百は超えたのかしら?」
ミルフは全くの無感情だ。サメも夫も、彼女にとってどうでもいいものだろう。
「次は貴様の番だ。あの世でサメとよろしくやるがいい」
「サメねえ。
サメなんかよりも、退屈の方がよほど怖いのよ?私、エルフの天敵って、サメじゃなくて時間だと思うわ」
「インタビューは終わっている。貴様の下らん自分語りなぞカメラの無駄だ!」
自由落下する足場!なおも保たれる、二人の打ち合うエルフの体幹!回るコアラのカメラ!!
ノリヒロの、丸太による至近距離大木弾!!
「あんっ…昔、暇つぶしに色んな格闘技を極めたのよ。森林拳は、こうかしら」
ミルフは音速の手刀で受け止めた丸太を分解!ソニックブレードがそのままノリヒロを切り裂く!!切り裂かれつつも、ミルフの下腹に拳を打ち込む!!
「ああんっ…やっぱりダメね。私、今更こういうのは…あんまり楽しめないわ」
その瞬間、足場が尻子玉ボウリング場の屋根に激突!爆風により8レーン同時ストライク!!
エクストラバージンとコアラとカメラを抱え、巨大尻子串焼き看板の上に降り立つノリヒロ。激突の刹那に跳躍回避したのだ!
「ぐっ……ミルフは…!?」
同じく、巨大河童巻き看板の上に飛び移っている。
そしてノリヒロたちとは異なる…ダークエルフ専用のエルブンゲートを開いて言った。
「また会いましょう、ノリヒロさん。
次はちゃんとアポ取るから、マッサージの予定…開けてくださいね」
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