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覚悟せよ、邪悪なミルフ!それではリンパマッサージの方はじめさせていただきます

 もみもみもみもみもみ


「凝ってるな。かなり滞っている」


「そうかしら?…でも…すごく気持ち良い………。

というか…気持ち良すぎて…逆に気持ち悪い…何がどうなってるの?」


「それはリンパだ」


「リンパ…?」


 そう、リンパだ!!



 尻子バーガーショップから戻った、黒ギャルエルフのエクストラバージン。

 トラックのラグジュアリールームに上がり…そして絶句。危うくフライド尻子とダイエットコークを落とすところであった。

 横たわる裸の女を、ノリヒロがいやらしい手つきで揉みほぐしている…?

 アロマオイルで艶めく身体が官能的な…三つ目の、エルフ?


「ノリヒロ?この人だれ…?ていうか何してんの??」


「リンパマッサージだ。

そしてこの者こそが我々が探していた人物。尻子玉窃盗犯のミルフというわけだ」


「あら、エクストラバージンさん。あなたの配信…良かったわよ…んんっ。

私も昔…いっぱい撮影してもらったけれど…今の機材じゃ…再生できない。残念だわ」


「あ、どうもっす…ミルフ?

ごめん、なんかエッチなことしてるのかと思った。そっか、マッサージかあ」


「これ…めちゃくちゃエッチよ。ヤバい。相当ヤバい」


「リンパマッサージだ、何もエッチではない。みなさんやってますから…」


 さっぱりわからないが、とにかくただならぬものを感じるエクストラバージン。

 コアラのカメラは回っている。サメ殺しチャンネルとは方向性が違うが、貴重なミルフ映像を撮っておくに越したことはない。


 さすさすさすさすさすさすさす


「あーヤバいヤバい!なにこれ…んんんん!!!」


「ここを刺激すると体内森林が活性化するんですよ〜」


「ノリヒロ?さっきから口調がおかしいよ?」

 突っ込むエクストラバージン。彼女は軽いRMCリンパ・メンタル・クライシスに陥っている。


「ああ、すまん。いつも師匠にやってる癖で」


「師匠に?それにしたっておかしくない??ていうか、なんでこんなことしてんのよ」


「インタビューの一貫だ。

この女はサメ殺し同好会の会長よりも格上だ。まともにやり合ってはこの星が保たん。都市なぞ一瞬で消し飛ぶぞ」


 そう。決してふざけているわけでも、わいせつな目的でやっているわけでもない。

 ノリヒロの繊細な森林操作を併用したマッサージ術。体内森林の葉を千枚同時になぜつけるような圧倒的快感に、ミルフの動きは封じ込められている。師より乱用を禁じられたほどの、対エルフ闘法だ。

 これは極めて高度なインタビューバトル…惑星規模の甚大な戦い、その濃縮!速すぎる動きがかえって遅く見えたり、高度な駆け引きが傍目からは何もしていないように見える、そういう類の健全バトル!あくまで施術の一環ですから!!



 もみもみもみもみもみもみもみ


「んっんっんっんっ……あっあっあっあああ……ああああああ!!!!

スウウウウウハアアア………あっあっあっあっ…ヤバい!!!ヤバいいいい!!!!」


「マジ?そんなに気持ち良いの?…あ、あたしもやってもらおうかな…肩、凝っちゃってさあ」


「死ぬぞ」


「へ?」


「未熟なエルフがリンパマッサージを受けると、快楽に耐えきれずに死ぬ」


「………こわっ」


「じゃ、中からほぐしていきますからね〜……森林浸透勁!!」


 ズン!!


「ぐう゛う゛う゛っ!!!」

 ドスの効いた低い声を吐き、激しく痙攣するミルフ!

 ノリヒロの浸透勁は、身体的ダメージを目的としたものではない。

 ボディタッチ・アセスメントにより見出したミルフの弱点、下腹の内臓を狙った超強力デトックス!!

 そのデトックス効果によりもたらされる快楽量は、熟練エルフの自我すら崩壊せしめるほどに大きい。

 死の苦痛を与えることと、強烈過ぎる快楽を与えることとは、平衡状態からの絶対値として同一だ!


 そして浸透勁連打!!

 ズン!!ズン!!ズン!!ズン!!


 陸に打ち上げられたサメのように跳ね、三つの白目を向いて泡を吹くミルフ!

 心室細動を起こしたのか、細かく痙攣し…ぱたりと動かなくなる。



「えっ…?し、死んだ?」


「これで死んでくれるのなら話は早い」


「いや、殺すなよ!!?インタビューはどうしたんだよ!!」


「フォレスト・セッション。

言葉を交わすよりも、こうして森に直に問い合わせた方が多くの情報を得られる」


「な、なるほど??」


「このミルフは黒だった…。

そこらの末端サメより、はるかにサメだ。おそらく戦艦級のサメよりも…本当に危険なサメだ」


「…三つ目のエルフはミルフでサメってこと??」


「そういうことだ。念の為、首をはねておこう」



 エクストラバージンは思った。

 この男は狂っている。サメに固執するあまり、サメとエルフの区別がつかなくなったのだ!


 心肺停止状態のミルフへ振り下ろされる、森林拳・手刀大木断!

 狂人の腕を抑え込むエクストラバージン!しかしノリヒロのエルブン膂力はエクストラバージンの体重をものともせずに…その腕は振り下ろされる!!



 ──ミルフの喉元で、手刀は止められた。


 止めたのはエクストラバージンではなく…ミルフ本人。

 整ったネイルの指が、ノリヒロの手に絡みついている。


「かひゅっ」


「なにっ!?」


 息を吹き返し、開ききった瞳孔がすぼみ、ゆっくり起き上がるミルフ。

「…すうううううう……ふううううう。

お疲れ様でした。

とっても良かったわあ。ああ〜…生き返ったみたい。

お世辞抜きで過去一…と言っても、昔のことはよく覚えてないけれど」


「馬鹿な……浸透勁で、貴様の弱点を徹底的に突いたはず」


「すうううう…はああああ……あら…弱点?いかにも私はポルチオエステという名だけれど…

まさか、エルフの名前が…ただ弱点を表しているとでも?だったら馬鹿と性癖が丸出しじゃないの」

 違うのか!?まさかエルフは、馬鹿と性癖丸出しの生き物ではないというのか!


「…やはり一筋縄には行かないようだな。

それでも、貴様の体内森林はしばらく使い物になるまい。こちらに分がある」


「ふふふ、森なんて…どうでもいい。

そう、私くらい長く生きてるとね、新しいことなんて何もないの。退屈過ぎて、何もかもがどうでもよくなる。

別にあなたに殺されても良かったんだけど、私にも夫がいるから。ごめんなさいね」


 大きく伸びをしながらミルフは言った。まるでピロートークのように落ち着いた声だ。

「んん〜…でもノリヒロさん、あなたのマッサージは久しぶりに良かったわ。本当に良かった。

…十年くらい生かしてあげるから、毎日お願いするわね。飽きちゃったら死んでもらうけど」



 空気が変わった。

 アロマオイルの香りは吹き飛び…海水混じりの鉄火場の匂いが立ち込める!


 身構えるノリヒロ。これから始まる戦いに備え、深く森呼吸を整える。

「あいにくだが、私のあんまは未来永劫予約が埋まっている。

お前にするのはこれが最初で最後だ…どうやら通じなかったようだがな」


「待ってよ、ノリヒロ!…話せば分かるんじゃない?この…ミルフ?大人の女感すごいし」


「ふふふ、おぼこね。あなたってとってもカワイイ…

尻子玉引っこ抜いたら、どんな声で鳴くのかしらね?ま、だいたい予想はついちゃうんだけど」


 ミルフの三つ目がエクストラバージンを一瞥(いちべつ)する。

 そして状況をよく飲み込めていない彼女にも、目の前のミルフがどのような存在であるかがやっと分かった。まるで昆虫を見るような…?いや、ミルフ自身が昆虫であるかのような、一切の感情が失われた三つの瞳!サメが獲物を見る瞳だ!!


「ひっ」



 ゴゴゴゴゴゴー!!


 ラグジュアリールームがぐらりと揺れる!よろめくノリヒロとエクストラバージン!

 地震か?いや、マジックミラー・デストロイザシャーク号が…浮いている!?巨大なサメの触腕によって、宙に持ち上げられているのだ!!


 そしてカメラは捉えた。マジックミラー越しに見える、見てはならないものの姿を!!


「紹介するわ。これが私の夫のハイパーシャークオブジェクト、コールドプレイくん。

サメロードとか、スペースコロニー級と言った方があなたたちには馴染みがいいかしら?」

お読みいただきありがとうございます。

気になりましたらご評価orブックマークをよろしくお願いいたします。

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