弱き者は去れ!サメ殺し同好会・恐怖のサメマラソン
アォォォォン……
エルブン・スペースに響き渡る甲高い獣声。
惑星シズオカから帰還したデスアクメ老師が、その弟子ドゥームビッチに、エルブン城執務室で仕置をしているのだ。
「……はっ…はっ…はいりなさい」
入室を許可された二人のエルフが執務室へ入る。
腰を抜かしたドゥームビッチは、冷や汗をかきながら二人に言った。
「…ノリヒロ、ポンティ。ご苦労様でした。あっ…あなたがたのミッション達成の褒賞として、サメ殺しナイトの称号を、与えます」
サメ殺しナイト!!
エルフにとって大変な名誉であるだけでなく、宇宙旅行の割引など、各種サービスが受けられる!
そして…サメ殺しナイトとなった二人のエルフは、シャーク・パンチング・ステーション帰りだ。そこらのエルフとは顔つきが違う!
ノリヒロとポンティはおもむろに缶ビールを取り出し…カシュッ!同時に開けた!
「「チィーーズ!!」」
そして一気に飲む。
やはり違う!今までの彼らとは、明らかに違っている!!
時間の速さの異なる閉鎖空間で、不死身のサメをひたすら殴って殴って殴って……風呂飯寝る以外のほとんど全てをサメ殴りに費やし、途方もない時間をひたすら殴りに殴り抜き、ついにはサメナイズドされたサメしぐさ!
体躯も以前よりふた回りほど大きくなり、サメを殴るのに特化したたくましい肉体だ。アメコミ・ヒーローのように隆起した、カットの深い筋肉。そしてサメが吐く炎により褐色に焼けた肌は、サメの牙や爪による無数の傷痕が刻まれている!
今の彼らを例えるなら、不死身のサメを粉砕するロケットランチャー。サメ吸血鬼を殺す銀の弾丸。サメ魔王を殺す、二振りの聖剣・エルブンチェーンソー!
「…よ、より一層、サメ殺しに励むように」
「オーケー!ノリヒロ。もっとビールを?」
「ああ!たらふく飲まにゃコトだ」
その口調までもがサメナイズドされている!
二人は何十年何百年とも思える時間を共に戦い、親子兄弟よりも深い絆を結んだと言えよう。そして彼らは男女である。雰囲気的にかなり良い感じになることは度々あった。
…しかしそれでもなお、ノリヒロはプッシー知らず、つまりは童貞だ!なぜなら、彼らの心には常に一人のふんどし幼女のエルフがあったからだ!
「師匠お゛お゛お゛お゛!!」「おひいさまあ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「おお…おお、お前たち。お帰り」
熱いハグを交わす3人の師弟!!二人の弟子は幼女体型の師に合わせて、膝を付く格好!!
「よしよし、よく頑張ったな。…お前たち、デカくなったか?それになんか熱苦しいのう…ええい、そんなに泣くな!」
エルブン城円卓の間で、師弟は再開を果たした。師にとっては半年に満たない時間でも、弟子たちにとっては前述の通り、途方もない時間が経過している!
そして再開を果たしたのは師弟だけではない。
「姫ちゃ〜ん、久しぶりだねえ」
「おおアクメちゃん。ちゃんと生きておったか」
「んで、なあにこれ?サメ殺し同好会?これが?」
「…うむ。アクメちゃんよ、言いたいことは分かるぞ」
デスアクメ老師にとって、約千年ぶりのサメ殺し同好会。総数十八名の円卓のグレーターエルフが揃い踏みである。その三分の一はコアラだ。
そしてシャーク・パンチング・センター帰りの二人に比べ…今の円卓の顔ぶれはあまりに軟弱。個性的な装いも、コスプレめいた虚仮でしかない。
バッチリメイクやフリフリのドレス、カタナや魔法のステッキは、サメを殺るのにふさわしいと言えるだろうか?いや、言えまい。
「ノリヒロ、ポンティ。適当な椅子に座るがいい」
「良いのです?師匠。やっちまっても」
「うむ?…うむ、やっちまえ」
円卓の椅子はすでに埋まっている。つまりは、そういうことだ。
コツ、コツ、コツ、コツ。
円卓の周囲をゆっくりと練り歩く、二人の新人。
やがてひとつの椅子の後ろに立ち止まり、ノリヒロはスパンキングを押しのけて椅子に座った。
「ちょっと…ノリヒロ!ここはあたしの席よ!?」
「本当にすまん、スパンキング。ここはたった今私の席になった」
こういうことである!
「……あたしの…席なのに」
スパンキングはその身をわなわなと震わせ…ああ、とうとう泣き出してしまった!
「…グスッ……アアーーン!ノリヒロがいじめたあ〜!」
メスガキエルフを泣かせたノリヒロは悪びれもせず、ビールを飲みながら…ソリティアをはじめた!ゲームアプリではなく、本物のカードでだ!!なんたる憮然なサメしぐさ!!
そしてポンティも同様にアスホールの席に座り、本物のマインスイーパーをしている!!
その傍で、恥辱と興奮のあまり失禁するアスホール!
「バッドガールね。ウェイター!」
ポンティが親指でチップを弾くと…ウェイターの乳の間に収まった!
「オーキー・ドーキー!」
サメエルフのサンダーボルトだ!ローラースケートとミニスカートを履いている!!そして軽やかにモップをかけた。
「あとねえ、あんたとあんたとあんた…あとコアラ。全員立て。尻を火傷したくなかったらね」
「えーと、あたしは座っててもいいのかい?じゃあビールもらって良いかな」
グロウリィホールは千年以上前からグレーターエルフである。
着席を許されたのは…会長ドゥームビッチ、副会長ペンタプッシャー、グロウリィホール、ドラゴンディルドー、パフィニップル、エクストラバージン、そしてノリヒロとポンティ。
他の椅子は全て爆破!!
弱卒と、コアラに席はない!!!
「つまり…私たちは力不足ということですか?」
席を破壊されたエルフの一人、ディープスロートが尋ねる。
「そういうことだよねえ。文句あるなら、新入り二人をどかして座りなよ」
デスアクメ老師の発言に、席を失ったエルフたちはたじろぐ。サメナイズドされた新人二人の、ただならぬオーラが闘争心を折った!しかも彼らはナッツを食べている!一粒ずつではなく、鷲掴みで!!
「はああ〜…情けないねえ。お友達感覚でやるからこうなるんだよねえ。ねえ、ドゥームビッチちゃんや」
「ヒッ……おっ…お許しをっ……デスアクメ様…」
ドゥームビッチは死にかけのセミのように震えながら言った。
「あーあ、サメ殺しはただの健康サークル活動じゃあないんだよね。このじゃりんこども、みんなサメ部屋に送ってやろうかねえ?」
ため息混じりのデスアクメ老師に、ふんどし幼女の師は同意する。
「おお、それは良い考えじゃのう!そうしよう!封印してるサメどもと一緒にな。
半分以上死ぬかもしれんが、まあ一人でも残れば御の字じゃろ」
「もう、なんなのよ!?サメ部屋って!!」
「また会おう!スパンキング…死ぬなよ」
ノリヒロはグッドサインを作って言った。
「んああああ!!その上から目線、超ムカつく!!覚えてろよノリヒロ!!」
グレーターエルフ計12名!内コアラ6名!シャーク・パンチング・ステーション送り!!
「え〜と…お尋ねしてもよろしいでしょうか。なんでクソ弱い私が残されたんですか?ひょっとして…これからみなさんに、がっつりレイプされちゃう感じですか?」
グレーターエルフの中では若輩の、パフィニップルが尋ねた。毛量の多い、メガネをかけたギーグのエルフだ。
サメ研究の第一人者である副会長と共に、サメ殺しレーザー銃や、エルブンスペースシップの開発者でもある。
「元来であれば円卓に座る条件は、戦艦級のサメを殺したかどうかじゃ。結果ありきで、手段は問わん。
お前さん自身は弱くとも、お前さんの発明品は多くのサメを屠っておるからのう」
「んじゃあたしは?あたし馬鹿だし、倒したこともないっす。ねっとりレイプされちゃうんすか?」
黒ギャルエルフ、エクストラバージン。エルブンハイスクールを百年以上留年している!
「その説明はまた今度してやる。とりあえずこれを見るが良い」
ポータブル・トークン起動!
…ブウーン…
「……Ooooh!! Noo! Yes! Yes!! I'm cominnnng!! nggggghaaaaaaおっ死ぬ!!!」
空中大スクリーンに映し出されるサメエルフ・サンダーボルトの痴態!バチバチと音を立てるほどの通電プレイ…しかもセルフ・サービスである!
「ヒエッ…」
ドン引きするパフィニップル!ウェイターの変態大公開だ!
「間違った。これじゃないわい」
そして映し出されたのはエルフ。エルフの集団が、大小の旗を掲げている。エルブン・デモだ!
旗にはエルフの言葉で、こう記されていた。
"サメと和解せよ"。
「ちょっとこいつら全員殴ってこい」
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