サメの話はもう結構!〇〇〇の〇〇が〇〇まで〇らないと出られない部屋
順調に思えた惑星シズオカのサメ殺し任務。しかし突如としてデスアクメ老師の脳天が割られて即死!敵襲だ!!
痴態を晒すサンダーボルトは宙を見ながら呟く。お許しください、サメロード様(意訳)。
エルブン・サメ狩り・イン・惑星シズオカ編、クライマックス!!
サメロード!!
サメロード。
……サメロード?
それはサメなのか?ノリヒロとポンティは共に眉根を寄せる。
宙に浮かんだサメタワーがぐにょぐにょと形を変えたもの。遠目には、雷雲をまとう空飛ぶ巨大なミートボールのように見える。
十万の頭と尾を持つ、蠢くフライング・シャーク・オブジェクト。
頭のひとつひとつがサメビームやサメ毒液やサメミサイルを吐いている。
人間はおろか下位エルフでさえも、目視するだけで意識を失う強力なサメ存在!
サメロード!!??
…そのあまりに超越的な光景を前に、ノリヒロはひとつの奇妙なアイディアを思い至った。神話の神々とは、サメの一種だったのではないか、と。
古エルフ神話や物語におけるエルフたちは、多種多様なモンスターと戦ってきた。モンスターは殺せば死ぬ。仮にサメの不死性を完全性というのであれば…モンスターとは、"不完全なサメ"なのではないか、と。
ゴブリン、オーク、ドラゴン、名前と姿形を変えたサメたちとの戦い…それは黙示録なのだ。
そして毎年執拗に発表されるサメ映画。不自然である。しかし…それらが同一のものと考えれば、すべての辻褄が合う。
「ノリヒロッ!しっかりしなさい!」
ポンティの気付け拳打!
「ゲホォッ!…すまん、ポンティ。危なかった」
正気への強い揺さぶりによって、ノリヒロは一瞬の自失に陥っていた。元々正気の低いポンティには影響も低い。
ノリヒロは自らに言い聞かせる。
サメはエルフの敵だ!今はそれだけ分かれば良い!考えろ!どうにかして、奴を封じる方法を!
サメロードから発せられる、全方位へのサメビーム!
ドドドドドドドドドドー!!!
エルブン・コンテナ爆破!
湯治地のアタミスパ爆破!
スペースイルカやスペースペンギンが多数生息するシーパラダイス爆破!
サファリパーク爆破!スペースイールパイファクトリー爆破!
次々爆破されていく惑星シズオカの名所!!
二人のエルフがビームをかいくぐりながら放つ、森林拳・ファイアボルト&ソニックブレード!!
しかし切り刻まれ爆破した箇所からみるみる回復!やはりサメは不死!!
ドドドドドドドドドドー!!!
「くっ…やめろー!!」
当然会話が通じる相手ではない!しかしよく見ると、サメの中に老人の顔が混じっている!?
「クッキーは好きかい?ククククッキーは好き好きクッキーは」
老人ザメだ!意味の分からなさが恐怖!!
「…こんな大きいの、真空パックなんてできない!冷凍庫もない!どうやったら封印できるの!?」
「亡きデスアクメ老師の言葉を思い出せ!どうやったら殺せるかではない、どうやって殺すかだ!!」
ポンティはすっかり成長した弟弟子を前に、その腹を括った。
「……そうね、ノリヒロ。
こいつをぶっ殺して、おひいさまに褒めてもらわなくっちゃ」
森林拳・スカイラブ煉獄殺!!!
まず中年童貞砲弾!かつてゴブリンに放った100倍のキロジュールによりサメボールを空高く打ち上げる!!
そして……成層圏近くまで飛び上がったポンティの…急降下大樹大震脚!!
冒涜的スパゲッティ・サメボールをフジマウンテンへシュート!!
カップイン!!
しかしまだ火口にハマっただけだ!目指すは深部の火山活動はさらに奥!!
姉弟ダブル震脚により、火山深部へシュート!!シュート!!シュート!!!
マントルの奥深くまで蹴り落とす!!!
──タヌキレイクから、フジマウンテンを眺める二人。
溶岩と黒煙を撒き散らし…激しく噴火するフジマウンテン。
1000℃を超えるマグマに焼かれながらも、サメは活動を停止していない。フジマウンテン深部のマグマ溜まりから、触腕を伸ばし…這い出そうとしている。
「……こりゃ無理だわ。勝てっこない」
「いや…まだ何か…取れる策があるはずだ。考えろ…」
ヒーヒヒヒ……
何者かが、ぴたりぴたりと歩き寄って来る。
振り返った二人が見たものは……四つん這いで歩くサンダーボルト。口には枷がつけられている。
そしてその背にまたがる…脳みそが溢れたままの、ふんどし老エルフ、デスアクメ老師。…サメの影響で、エルフババアゾンビになってしまったのか!?
「んん〜、ちょっぴり感じちゃったよね」
「老師…?まさか。そんな怪我で、生きていられるはずが…?」
「ハハハ。あたしゃわりかし、ハードな責めが好きなんだよねえ。ガチ逝きするくらいじゃないとイケないんだよねえ」
デスアクメ老師の発言は、ノリヒロにはいまひとつ要領を得なかった。
しかし老師はふんどしの古エルフである。どんな術で生き延びたとしても、不思議なことではない。
「あんたたちの森林拳は、姫ちゃんに教わったのかな?なんだか、そんな感じがするよ」
「姫ちゃん…確かに私たちの師は、皆にお姫さまと呼ばれております」
「うんうん、じゃあそうだ。エルフの姫なんてのは、あの子の他にありえないよね。
でも弟子を取るなんて丸くなったねえ。昔はヤバかったよお…ほんとに。万年単位の年中無休でキレ散らかしてたからね…」
「デスアクメ老師!非常に気になるお話ですが、いまはそれよりサメです」
「はあ?サメの話なんて、いつでもできるっしょ。姫ちゃんとサメちゃん、どっちがヤバいかって言えば姫ちゃんの方だよねえ?」
「…サメについてはまだ詳しく存じ上げませんが、確かにそうかも知れません」
「納得してんじゃないわよ、ノリヒロ…」
ウオオオオオオーーーーーン……!
ついにフジマウンテンから這い出たサメロード!一層勢いを増す火山噴出物!黒煙とマグマが火砕流となって迫る!
「悠長に話している場合じゃ…あのサメ、こっちに向かって来てる!」
「へええ、そんなにサメの話がしたいんだねえ?じゃあひとつだけしてあげようか。何が聞きたい?サメちゃんの殺し方かな?」
ノリヒロはその場に正座した。
「……いいえ。サメの話は結構!我々の師匠…エルフの姫のお話をお聞かせください」
「ちょっと、ノリヒロ!?何言ってんのよ!」
「……聞け、ポンティ!!
このデスアクメ老師にあのデカザメ、サメロードの殺し方をお尋ねするなら…あるいはその方法を教えてくださるかもしれん!
便利なエルブン・グッズなども、ご貸与くださるかもしれん!ともすれば老師ご自身が、お隠しになってるエルブン・パワーで始末して下さるかもしれん!!
サメは倒せるだろう」
「ポンティ…それが我々の取るべき方法か?」
ポンティはノリヒロの顔をまじまじと見た。完全にスイッチが入ってしまっている時の表情である!
「どんだけ童貞こじらせてんのよ、あんたは…分かったわよ!」
この状態の弟弟子が、言い出したら聞かないことは十分に知っている!
ポンティも正座!その乳が縦にぶるんと揺れる。
そう。彼らが求めるものとは、単にこの場でサメを殺すという結果ではない。彼らが求めるものとは…森林拳の継承者として、やがてふんどし幼女の古エルフの師に並び立つことだ!
奥多摩の古民家を出るとき、なぜ師が念入りな別れを告げたか、その理由が分かった。
サメが脅威なのではない。サメと戦う己のあり方こそが脅威なのだ!
「ハハハ、そうだよねえ。森林拳ってそういうことだよねえ。本当にイかれてる。頭悪くて、大好きだよねえ」
「じゃあ教えてあげるよ。姫ちゃんがあんたたちくらいの頃…たった一人でサメと戦ってた時のやり方は…
サメが死ぬまで殴り続ける」
「はい」
「サメが死ぬまで、殴り続ける」
「……サメは殴れば死ぬのでしょうか?」
「いや、死なないよ。サメちゃんは不死身だから」
「死ななけど、死ぬまで殴れば死ぬよね。姫ちゃんはそうやってた」
「……なるほど!サメが死ななくとも…死ぬまで殴れば死ぬ!!そういうことですね」
「まあ、死なないけどね。死なないものを死ぬまで殴り続けるってことだよね。
昔、姫ちゃんたちが使ってた空間があるから…貸してあげようね」
……白くだだっ広い空間に、文字が表示される。
──シャーク・パンチング・ステーションへようこそ!!
ここでは時間を気にせず心ゆくまでサメ殴りを楽しめます。
食事・トイレ・スパ・プール・ビデオ・コスチューム・数々のアダルト・エルブン・グッズなどを無料でご利用いただけます。
そう、ここがかの有名な…"不死身のサメが死ぬまで殴らないと出られない部屋"だ!!!
パンチング広場に降り立つサメロードを見つめながら、ノリヒロとポンティは言った。
「煮しめの鍋は…ひとつでは足りなかった。冷凍した米もだ」
「そうね。おひいさまのためにも、なるはやで済ませて帰りましょ」
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