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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第六話 特注品

ーーーセレスの《ギールチェーン》により、リブネはその動きを封じられている。


「くっ…この程度で私の動きを封じれるとでも?」

「もちろん、念には念を入れるわ?」

そう言い、セレスは奪烈剣スティルの剣先をリブネに向ける。


「…その力…奪わせてもらうわ。」

そう言うと、奪烈剣が黒く光り出した。

そして、リブネに向かって接近した。


「…甘い!」

だが、リブネは体にオーラを纏い、

「《ブラックドレス》!」

その体を防御魔法で防ぐ。

「…《裂傷(れっしょう)》!」


リブネの魔法とセレスの武技が衝突する。

そして、激しい音を立てながら先に動いたのはリブネだった。

無傷とまではいかないが、防御魔法により軽傷で済んでいた。

軽傷で止められたことに驚いたのか、一瞬動きが止まる。そこへーーー…

「…!!」

リブネの槍が先程よりも深く刺さっていた。それは…


「…う、嘘…?」

皆が驚くほどの光景だ。それもそのはず……リブネの槍はセレスの腹に刺さり、背中から突き抜けていたのだ。


「…私を甘く見すぎなのよ!…いい気味だわ。」

リブネは勝ち誇ったような顔で、その槍を抜く。

ガクンッと、セレスの体から力が抜けたように、その場に倒れ込んだ。


そして、リブネはこちらを振り返り、

「さてと…これで邪魔はいなくなったわ。早くその噂を食べさせなさい?」

セレスから標的を切り替えた。







「…嘘…セレスが負けたんじゃ…」

竜那が後ずさりをしながら言う。

確かに、セレスを倒したとなると俺たちにも勝ち目はないかもしれない。

そもそも…


「…くっ…」

セレスが危険になれば手助けをすると言っていながら、あの戦いの中に入っていくことができなかった。


「…人間どもは後で相手してあげるわ。」

そう言い、リブネは槍を構える。


「…戦いの途中で背を向けるなんて、いけない精霊ちゃんね。」

「…なにっ!?」

リブネの背後から、先程まで聞いていた声がする。

「「…!?」」

「…がはっ…!?」

そして、リブネの胸の谷間から奪烈剣が突き出した。

「…ふふっ。この力は頂くわ?」

そう言い、その奪烈剣を腹まで振り下ろす。


「…ぐっ!?…このっ…!」

槍を反転して持ち、自分の後ろにいる敵に向かって突き刺す。が、すでにセレスはリブネから離れていた。

「くっ…」

リブネは倒れかけたのを、片膝をついてなんとか支える。


「…はぁ…今のをまともにくらったはずじゃ…?」

リブネは決定的な攻撃を入れたはずなのに何故動くことができるのだ、という疑問を持ちながらセレスの方を向く。そして、


「……は…?」

リブネから気の抜けた声が漏れる。

セレスの確実に空いたはずの穴が、すっかり塞がっていたのだ。出血も止まっている。


「…種も仕掛けもないわよ?あるのは『異能』の存在よ。」

と、セレスは不気味な笑みを浮かべながら言う。


「…今のは、『異能』の力なのか…?」

俺も不思議に思う。だが、『異能』だと言われれば納得してしまう。


「…さあ?続きをしましょう?」






「…精霊には、この程度の傷、なんともないわ!」

そう言い、リブネは再びオーラを纏うために力を入れる。…が、

「…オーラが…!?」

いつまで経ってもオーラが立ち込めない。

「気づくのに時間が掛かったわね。…あなたのオーラ、この奪烈剣で奪い去ってもらったわ?」

そう言い、セレスは奪烈剣を見せびらかすように手に持つ。


「…くっ。…こうなれば!」

リブネは左手に持つ槍の先を自分の腹に向ける。


「…まさか!?」

自害…?いや、そんなことはないだろう。となれば…

「…解放せよ!」

リブネはその槍を思い切り自分に突き刺す。

すると、尋常ではないオーラが立ち込め、瞬く間にリブネの姿を飲み込んだ。


「…な、何よ、この力…」

溢れ出るその力に俺たちは驚きの表情をする。


そして、立ち込めたオーラが収まり、そこに一人の姿が現れる。

その姿はリブネの面影を残しつつ、全体的に黒い力が立ち込めており、体には何かの紋章が浮かび上がっているように見える。


「…私がこの姿になれば、お前など赤子同然よ。」

と、リブネが言いながら再び、先程よりも長く黒い槍を生成する。

「…終わりにさせてもらう!」

そう言い、リブネはセレスへと接近する。先程をはるかに超える速さだ。


「…良いわねっ、楽しませてくれるじゃないの?」

セレスはそれを真っ向から迎え撃つために、奪烈剣を伸ばす。

「…!?」

が、奪烈剣は突き出された槍を(はじ)き、虚空(こくう)を斬り裂いただけであった。


「まともに戦うほど、こちらは勝負に飢えていないのよ!」

槍を囮にして、リブネはセレスの背後にまわっている。


「《グライデ》!」

リブネが、重力を操る魔法の応用で、弾かれたはずの槍を手元に回収していた。


「…くらいなさいっ!《オーバーレイン》!」

槍の先から、無数にわたって闇色のオーラを飛ばしてくる。

それはまるで、セレスに向かって豪雨が降るかのようだった。


「…やばいっ!?」

あの至近距離から逃げ場を無くす攻撃をされては、避けきれるはずがない。


「…仕方ないわ。」

セレスは避けれないと察し、迎え撃つための構えを取る。


「それは流石に無茶じゃ…!?」


「…「与導剣インフィール」、「解放」!!」

セレスは奪烈剣を持つ手と反対側から、新しい短剣を取り出した。

形はやや奪烈剣に似ているが、微妙に持ち手と刃の位置が違う。また、奪烈剣とは真逆の、服装と一致する真っ黒な色が基調となっている。


そして、その短剣を降ってくる豪雨の剣撃に対して、一振する。


「…《オーバーレイン》!」


「……なんだとっ!?」

それは、リブネだけでなく俺たち全員も愕然とした。

リブネが放つ武技と同じ武技を使い、全ての攻撃を消滅させた。







「…ど、どういうことだ…今の武技は…槍でないと扱えないはず…」

リブネは驚きの眼差しをセレスに向ける。


「…別に大したものではないわ?今の武技は、間違いなく精霊ちゃんが使ったものよ?」

と、何も不思議ではないとセレスは言う。

「ただ、隠し玉を一つ使っちゃって勿体なかったけどね…」

「今のが、私の武技だと…?それは、どういう…ッ!?」

問おうとした瞬間、リブネは横に大きく回避する。


セレスがリブネのいた位置に攻撃を仕掛けたのだ。


「…私が素直に答えるとでも思ったのかしら?」

「ッ…いいわ、すぐに倒してやる。」


リブネがセレスに肉弾戦を仕掛ける。

「いつまで躱せる!?」

リブネの攻撃をセレスは上手く躱し続け、反撃に両手に持つそれぞれの短剣を扱うが、リブネもそれを少ない挙動で躱していく。


「…す、すごい動きね。」

七香が感想を口にする。

「あの中には、入っていけないな…」

今の自分の力と、あの2人の力の差を歴然と実感してしまった。


「…なんか、様子がおかしくないですか?」

シーラが2人の様子を見て、そう口にした。


「……」

「ふふっ…あと少しであなたも終わりねっ!」

徐々にだが、セレスの反撃が少なくなっており、反対にリブネの攻撃は勢いを増している。


「…やばくないですか?」

シーラもそう不安に思っている。


「…ここよっ!」

「…っ!?」

一瞬できた隙にリブネは正拳を叩き込む。

まともにくらってしまい、体勢が崩れたセレス。そこに向かって、リブネは今まで以上の魔力を両手に集中させる。


「…お終いよ!《アポカリプスソウル》!」

「あれはっ…!?」

あの魔法…闇属性の最上級魔法を超える…究極魔法の1つである。

その威力は今までの比にならない。

そして、その超高火力の魔法はセレスだけでなく、俺たちにまで降り注いできた。


「やばい!?《アイアンウォール》!!」

俺は咄嗟に、皆を覆い囲む防御魔法を張る。

「…私も!《ヘブンズフィール》!」

シーラも、俺の防御魔法に重ねがけするように魔法を張る。


「…やられなさいっ!!」

勢いよく放たれた魔法は、セレスへと飛んでいった。

先の攻撃で体勢を崩していたセレスは防御魔法を張る時間が足りず、それをまともにくらってしまう。


「……ッ!?」

激しい爆発音と余波を立てて、ダイトラントの大樹が大きく揺れ動いた。







俺たちは間一髪、2つの防御魔法によりなんとか防ぎきることができた。だが、

「さすがにやばいわね。今の魔法…」

ほぼ体力がある状態での防御魔法を、たった1発で2つとも破壊されてしまった。


「…セレス…やばいよね…?」

誰もがそう思う。例え、先ほど使用したような『異能』が再生能力だとしよう。それでいても、1発で吹き飛んでしまえば、再生など意味を成さない。

もし、耐えきれたとしても、それを再生するのには長い時間を要するだろう。


「…やっと終わったわ。全く、手間を掛けさせて。」

今の魔法を放ち、大幅に魔力が下がっているが、それでも戦えるだけの力を残している。


「…さあ、やっとこ本命よ。」


「うっ…」

シーラが身構える。

こうなってしまえば、俺たちがリブネを倒さなくては。

「好きにさせてたまるか!」

俺は前へ出る。

「…見ているだけしかできない者など、敵にはならないわ?」

リブネはオーラを立ち込めて、槍を生成しようとする。

「くっ…」


「……忘れないでもらえるかしら?精霊ちゃん。」


「…ッ!?ーーーぐはぁ…!?」

不意に、リブネの首元から短剣…奪烈剣が突き出された。


「…なっ!?」

俺たちは2度目となる…セレスの蘇りに驚愕した。


「…奪わせてもらうわ!」

「ぐっ…がぁぁああーー!!!?」

リブネの体から力の根幹が抜き取られていくように、魔力量が減少していく。


「ど…どういう…ことだぁぁ!!?」

リブネはセレスを振り向き、そして異変に気がつく。

「なっ…!?」

セレスの体を纏っていた、黒く長いマントが消滅していたのだ。そして、少し露出の多い格好となる。


「…特注品よ?「消滅の闇外套」よ。…どんな魔法でも一度のみ吸収して、消滅させるのよ?」

と、セレスはリブネの疑問に対して答えた。

つまり、セレスは先の魔法を受けず、無傷だったということだ。



「…一発目が究極魔法だなんて、良くなかったわね?」

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