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吸血彼女のお願い  作者: ひろゆき


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23/57

 三 ~  血を吸われることを考えれば……  ~ (5)

 待ってくれてるんだよね、やっぱり。

 

            3



 姫香らに偶然会った日から、三日後の夜。

 僕はあるコンビニの前にいた。

 駅前には小さなバスロータリーがあり、時間では十時十分を回ったところ。この時間になると、バスもすでに終わっており、タクシーがロータリーに数台入っているだけで、閑散としていた。

 そのため人通りも少ない。

 ロータリーの奥はコンビニやスーパーなどが建ち並んでおり、まだ明かりが灯されているので、人通りもあった。

 僕はコンビニの前の歩道で、ガードレールに腰を下ろし、後ろのロータリーをなんとなく眺めていた。

 ちょうど、電車が到着したらしく、駅のホームが一段と明るくなった。

 何人かの人が降りてくるだろうと考えていたときのことである。

「待った、古川くん」

 僕を呼ぶ声がして、歩道の方へと振り向いた。

 すると、歩道に嬉しそうに頬をを緩めた姫香がいた。

「バイト、終わったか?」

「うん。待っててくれてありがとね」

 僕は今、姫香のバイトが終わり、帰るところを迎えに来ていたのである。

 断っておくが、決して僕らがつき合って、こいつを待っていたわけではない。

 これには深い事情があるのである。



 今田姉妹に偶然出会い、二日が経っていた昨日のこと。

 依然として学校で見る姫香は猫を被っている。

 確かにあの姿だけを見ているのならば、二人が姉妹であるのは納得できる雰囲気を漂わせていた。

 ただ、ふと姫香と目が合ったときに、あの不敵な笑みを見せられると、背筋が凍ることは続いている。

 恐らく、姫香はわざとそうしているのである。だから憎らしい。

 いつか吸血鬼だとバラしてやろうと恨みつつ、できるだけ距離を置いていた日の夜のことである。

 また聡から連絡があったのは。

 大親友という登録していることにイラつきながらも、通話に出た。

「よう。人間栄養ドリンク。もう姫ちゃんに血を吸われたか?」

 第一声から癇に障る話し方をする聡。すぐさまスマホを捨てたくなるが、こいつの番号を削除していなかった。

 これには自分にも非があり、「うるさい」と牽制するだけに留めた。

「なんだよ、いきなり連絡してきて」

「いやぁ、姫ちゃんに血を吸われた感想を聞いてみたいもんだと思ってさ、つい」

「だから、それは絶対にないっ」

「まぁ、そんなに遠慮するなよ。血を吸わせてあげれば、姫ちゃんは喜ぶぞ」

「ーー切るぞ」

 まったく、人をバカにしているのか茶化しているのか。まあま、こいつも昔からこんな陽気な奴であったが、ここまで憎らしくなかったはずなのに。

「まぁ、待て待て。今日はちょっと、頼みがあったんだ」

「お前の頼みなんて聞くか」

 深い理由?

 そんなに考えないでいいのに。

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