二 ~ 吸血鬼? 吸血鬼って普通なのか? ~ (8)
薬を服用することは避けられない?
そんなことを言われたって……。
やはり、あの薬の成分を話すのは気分が悪くなる。どう考えても、やっぱり自主規制にしたいぐらいだ。
それでも、口にするのもおこがましい内容を伝えた。姫香から聞いた成分を。
すると、聡に笑い飛ばされてしまう。
「お前、意外と素直なんだな。そんなの信じるなんて。あれはただのサプリだよ、サプリメント。主に血液をよくするね」
話が理解できない。眉をひそめ、頭の上に“?”が飛び交ってしまう。はぁ?
「でも、それで発作を抑えてるんだろ」
「まぁね。でも、それは薬の効果ってより、“暗示”かな。この薬を飲めば、大丈夫って。一つの抑止力ってやつだよ。姫ちゃんもそれは理解してると思うよ」
「でも、サプリって昔からあるわけじゃないし」
姫香の冗談? まだ僕は信じられず、問い詰める。
「そうだね。だから、形はいろいろと変わってるみたいなんだ。昔は漢方薬を使っていたって話もあるし」
発作? 薬? 漢方薬?
ダメだ。
話について行く気になれず、壁に頭を押しつけ、天井を仰いだ。
声も出ない。
耳元ではケタケタと僕を嘲笑う聡の笑い声。耳障りではあるが、反論もできない。
「ーーでも」
一度怒鳴って、聡の声を消してやろうかと思っていると、聡がまた、重たい口調で一拍置いた。
「姫ちゃんが苦しんでいるのは事実だよ」
「苦しむ?」
「そう。いくら薬で抑えていたって限界はある。発作が起きて、本当に人を襲って最悪の場合、人を殺すことだってあるだろうし。それを必死で堪えてるんだよ。よく考えてみな。姫ちゃん、僕らと同じ高校生だぞ。それでいて、人殺しになるかもしれない十字架を背負っているんだから、つらいと思うよ」
人殺しと聞いて、急に息苦しくなる雰囲気に、息が詰まってしまう。
「その発作を抑える方法、薬以外でないのか?」
つい聞いてしまった。
「そんなの簡単じゃん。お前が血を吸わせてあげればいいんだよ。姫ちゃんもそれを望んでいるんだし」
……やっぱり、そうくるのかよ……。
「ふざけるなっ。それじゃぁ、僕は殺されてもいいのか。そもも、なんで僕だけは血を求められるんだよ」
「さぁ。姫ちゃんの好みなんじゃない?」
なんだよ、それっ。
なんだよ、それっ。
ったく、ホントにそうとしか言えない。




