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──あの戦いから、どれだけの時間が経ったのだろう。
少女の長い長い戦いは幕を閉じ、平穏な時間が訪れる。
ノアはあれからイニティウムにあるハクとコクの家へ訪れた。
そこにはレイルも来ており、少女は一人でいた時間を埋めるように誰かと笑いあう。
今日は五人で集まる日だ。
カインはあれから自分のしたことを償うかのように、自分が失った何かを取り戻すかのように、自分が手を下した街に訪れ、復興の手助けをしているそうだ。
今度は彼が誰かに手をさしのべる。
自分が罪のない人の命を奪った元凶であると、わかっていながら──。
「お、レンレンもきたぜー!」
レイルは遠くにいる人影に手を振る。
そこには長く赤い髪を三つ編みに結った青年が照れたように笑顔を見せていた。
その首から下げられたペンダントは、今はもう人の心を悪意で飲み込む能力など失ったグレンデルがあった。
「おせーぞカイン」
「予定よりずっと遅れているぞ」
ハクとコク、レイルの三人は家の前でカインを出迎える。
カインは優しそうな笑顔で三人に笑う。
「ごめんね、レイル君。ハク君、クロスケ君」
「レイルみてーな呼び方しやがって」
冗談を交わし、再びくすくすと笑い声が上がった。
三人の後ろにはノアもいる。
それに気づいたカインは微笑みかけた。
「……ただいま、ノア」
「おかえりなさい、お兄ちゃん!」
彼女の切り揃えられた短い髪がふわりと揺れた。
彼女の物語は終わりを告げて、新しい平穏な物語が幕を開ける。
これは、一人の少女が紡いだハコブネの物語。
方舟物語最終章「ハコブネ物語」完結




