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「──うるさい」
グレンデルはノアを目の前にして、消えるような声で呟く。
「何が強い意思だ、そんなものただ縛られるだけだ。
強い意思があったって、結局全部無駄なんだ」
グレンデルは下を向く。
その顔はどこか泣きそうで、涙を堪えている様にも見えた。
「無駄なんかじゃない、意思がなければ何も始まらない。
縛られてなんかない!強い意思は、自分の力になるんだ!」
ノアは自分に言い聞かせるよう、グレンデルに言い聞かせる様に強くいった。
「黙れ、黙れ……」
グレンデルは頭を抱えて、よろりと足をふらつかせる。
「黙れ!!」
グレンデルは眉間にシワを寄せ、獲物に噛みつかんとする猛獣のように鋭い突きをノアに放つ。
「私は、私の意思で戦う!」
だがノアは臆することも避けることもしなかった。
炎を纏う細剣を素手で掴み、グレンデルを驚かせる。
手からじゅっと自分の肉が焦げる臭いと血が滴り落ち、焼ける痛みにノアは顔をしかめさせた。
「貴方を、救うんだ!!」
ノアは痛みに屈することなくハコブネを振りかざす。
ハコブネはノアの強い意思に呼応するようにナイフは目映い光を帯びる。
ノアは光の刃をグレンデルへと突き立てた。
「う、あ……あぁぁぁぁっ!!」
グレンデルに光の刃が突き立てられたと思うと、グレンデルは苦しそうに声をあげる。
細剣はペンダントの姿に戻り、グレンデルはよろよろと後ずさったかと思えば力なくその場に倒れた。
静寂が辺りを包む。
ノアの荒い息づかいだけが、その部屋を満たした。
「ハコブネの能力。それはきっと、悪意その物を斬る能力だったのですね……」
ノアは呟く。
永かったグレンデルとの戦いは、こうして幕を閉じた──。




