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「……あの、ここは結局どこなのでしょう」
ノアは諦め、辺りをぐるりと見回す。
確か自分は薄暗い灰色の古城で、グレンデルと戦っていたはずなのだ。
それが今やグレンデルの姿はおろか、場所すらも知らぬ場所に変わっていた。
「ここはあなたの夢の中ですわ。あなた、あの子に刺されてしまったではありませんか」
「私は、死んだのですか」
ノアは直前に自分の身に起こったことを思いだし、震える声でそう言った。
自分が死んだのなら、目の前に彼女がいることも納得がいく。
「それはわたくしにもわかりません。
わたくしは所詮あなたの記憶の再現ですもの」
女性は立ち上がって、陽気そうにくるくると回って見せた。
目の前の女性は足はきちんと有り、不思議な夢だとノアに呟かせる。
「結局、ハコブネの能力もわからず。使命も全うできず。
何のために戦っていたのか……。
死んでしまったのならこのまま貴方と──」
「許しませんわよ」
穏やかに振る舞っていた女性はぴりりと怒気を含んだ声音で、ノアをしかりつけるかのようにずい、と顔を寄せた。
「生きている者が、死者と暮らそうなどと考えるものではありません。あなたは生きなくてはならないの」
女性はノアの手を握りしめる。その手は確かに暖かかった。
「生きて、生きて、生きて。
それから、あぁ良い人生だったなぁって思って、こちらにいらっしゃい。
その後に、お話をいっぱい聞かせて欲しいですわ」




