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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・第十九章
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156/167

3


「ボクはさ、アオンに憧れていたんだよ。

一族の使命にも誇りを持っていたし、ハコブネを継ぎ、グレンデルの封印が一族として生まれた自分の使命……」


グレンデルはノアの言葉に答えることなく、そう語り出す。


「周りからはボクが次の巫子だろうと、期待もされた。

それがボクの使命だと、そう思っていた。

でも今となってはどうでもいい」


グレンデルは諦めた風に静かに目を閉じた。


「だけどね、ハコブネがノアを選んでから、自分のしてきた事は無駄になって、まるで自分が空っぽになったように思えた」


「まさか、そんな理由で……。

私がハコブネを継承したからと言うそんな理由で!

そんな理由で一族は……!

まるで、まるで意味が……!」


「わからなくていいよ。

キミは、何もわからないまま死ぬんだ」


グレンデルは自らの首から下げられた法具を手にする。

それは炎と共に一本の細剣へと変わった。


「グレンデル……ッ!」


グレンデルは一瞬でノアとの距離を詰め、ノアの首もとに細剣の切っ先を突きつけた。

その剣は薄く炎をまとっており、じり、と少しだけ髪が焼かれ、落ちる。


「さぁ、始めよっか。兄妹喧嘩を」


グレンデルは静かに呟き、細剣を横凪ぎに振るった。

ノアはそれをしゃがんで避けるものの、グレンデルはそれを読んでいたかのように鋭い蹴りを放つ。

ノアはそれを腕で防ぎ、グレンデルから距離を取る。


「待ってください!私は貴方と戦いたくなんて……!」



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