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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・第十九章
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155/167

2


グレンデルは本をぱたりと閉じ、本を玉座においてゆっくりと立ち上がった。


「そう、そうして選ばれたのがノア、キミだよ」


「グレンデル……」


ノアは玉座の間に入る。

重い扉は一人でに閉じられた。


「意外と早かったね。お友達でも囮にしてきた?」


「違……、私は……!」


「じゃあどうしてキミはここにいるの?

あの子、イーラに三人で勝てると思ってるの?」


どうして、どうしてとグレンデルは静かに呟く。

その言葉はじわりじわりと心に侵食し、不安を掻き立てるようだった。


「……ですが、私は信じています。あの方々ならきっと勝つと、私はそう信じています」


不安を振り払うように、ノアは凛とした態度でそう述べた。

グレンデルはさも面白くなさそうにふんと鼻で笑う。


「信じる者は救われる?キミも馬鹿な事考えるね」


「グレンデル、私からも質問です。

どうして法具……、グレンデルに手を出したんですか」


「んー?そうだね」


ノアはずっとその事が気になっていた。

以前のグレンデル、カイン・レヴァリエは優しい人間で、一族には彼を慕う者もいた。


そんな優しい人間が悪魔の法具に手を出すはずがないのだ。


「ボクはね、一人になりたかったんだ。周りにだーれもいない静けさ。

それがただ欲しかっただけ」


「どういう、意味ですか」


ノアは意味が理解出来ず、もう一度グレンデルに問いかける。



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