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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・第十七章
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2


『我が名はスペルビア、現主──カイン・レヴァリエが持つ法具、グレンデルより産み出されし法獣……』


スペルビア、そう名乗った法獣は静かな眼差しをノア達に注ぐ。

氷のように冷たい、そんな眼差しだった。


『我が主の意向に従い、ハコブネの巫女よ。

貴様の命、ここで刈り取らせて貰うぞ!』


法獣は勢い良く翼を広げる。その翼からは得体の知れない、刃物の様な物が撃ち出された。

雨のように数えきれない刃物は雪へと突き刺さっていき、やがてノア達へと向けられた。


「っ、ルーメン・サンクタム!」


「シロガネ!」


不味いと判断したレイルが、ソリとアルカナロッドを繋いでいたロープを外し、杖を地面に突き刺す。

それと同時にコクがシロガネを出し、刀の防御壁を展開する。


アルカナロッドを突き刺した場所からはドーム状の防御壁が現れ、ソリとノア達をすっぽりと包んだ。

その外側をコクのシロガネの壁が守る。


二重の防御壁を、翼から撃ち出された刃物が襲う。


「ぐ、ぐぬぬ!」


レイルが短く呻いた。刃物は嵐のようにノア達を襲い、ビリビリとした衝撃は壁の中にまで伝わる。

ようやく嵐が去ると、レイルは杖を引き抜き、コクはシロガネの壁を消した。


「これは、羽根……?」


刃物の正体は薄紫色をした、スペルビアの羽根だった。

羽根は雪に突き刺さり、また絨毯のように雪の上を埋め尽くしていた。


ノア達はそれぞれ戦う準備をして、ソリを降りる。



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