怪物を愛した怪物
ひゅうっと冷たい風が吹き抜ける。
ノア達が進むにつれて、周囲には古びた建物の残骸が多くなってくる。
昔、ここはノニウスという町だったと思われるが、今はその面影もなく、建物も風化していき、まるで周囲が少しずつ終わりに向かっているような場所だった。
──ノニウス雪原。
レイルのアルカナロッドでソリを引き、ノア達はフィーニス手前にある雪原まで到達することが出来た。
レイルはアルカナロッドで飛んでいる最中、上空にあるものを発見する。
それを再確認するように、ゴーグルをずらした。
「皆!あれ!」
レイルはソリの勢いを殺すことなく上空を指差した。
そこには絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜたような門が出現しており、ノア達は、その門に見覚えがあった。
あれはクィーントゥスで見た法獣が出現する前兆の門だった。
「レイルさん!止めてください!」
ノアの言葉と共にソリは停止する。
アルカナロッドは少しずつ高度を落とし、レイルは雪に足をつけた。
門の中から法獣が現れる。
それはグレンデルが騎乗用に使う法獣で、翼の紫色の濃淡の美しい、グリフォンの姿をしていた。
ゆっくりと、少しずつ降りてくる。
大きな翼を広げ、ノア達を見据えた。
『汝──。ハコブネの巫女よ……』
「法獣が、喋るだなんて……!」
ノアは思わず呆気に取られる。
法獣は滞空したまま、低く威厳のある声で言葉を繋ぎ始めた。




