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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・第十六章
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129/167

6


「これで怖くないッスね」


目の前の狼は人間の姿となった。

最も腕は人の頭など容易に包んでしまえるほど大きく、動物の毛に覆われている。


頭には狼の耳がぴくぴくと動き、尻尾もそれにあわせてゆらりと動いた。

銀髪を迷彩のバンダナでまとめ、肌に張り付くような黒いノースリーブ。


迷彩のズボンに、足の爪が邪魔にならないよう細工の施されたブーツをはき、満月のようにかがやく金眼という容姿をしていた。


「ねーちゃん、ソファイアのにーちゃんの知り合いッスね。少し待つッス。多分もうすぐ帰ってくるッスよ」


ソファイアのにーちゃん、恐らくレイルのことだ。

ベスティアの青年の言う通り、少し待っていると民家のドアは開かれる。


「ただいまー、ガッちゃん薪こんな感じで……」


彼のいった通り数分もしないうちにレイルが戻ってくる。

レイルはノアは見るなり、持っていた薪をからんと床に落としてしまった。


「レイルさん!ご無事で何よりです」


ノアはほっと安堵の息を漏らす。

レイルはばたばたとノアの前にしゃがみこんだ。


「良かった、紫ちゃんだけでも起きて。ごめん、ごめんだぜ、紫ちゃんの手、取れなかったんだぜ」


レイルはしょんぼりと顔に影を落として、あのときはとることができなかったノアの手を取る。

レイルはノア達よりもずっと歳上だが、こうしているとまるで子供のようだった。



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