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「これで怖くないッスね」
目の前の狼は人間の姿となった。
最も腕は人の頭など容易に包んでしまえるほど大きく、動物の毛に覆われている。
頭には狼の耳がぴくぴくと動き、尻尾もそれにあわせてゆらりと動いた。
銀髪を迷彩のバンダナでまとめ、肌に張り付くような黒いノースリーブ。
迷彩のズボンに、足の爪が邪魔にならないよう細工の施されたブーツをはき、満月のようにかがやく金眼という容姿をしていた。
「ねーちゃん、ソファイアのにーちゃんの知り合いッスね。少し待つッス。多分もうすぐ帰ってくるッスよ」
ソファイアのにーちゃん、恐らくレイルのことだ。
ベスティアの青年の言う通り、少し待っていると民家のドアは開かれる。
「ただいまー、ガッちゃん薪こんな感じで……」
彼のいった通り数分もしないうちにレイルが戻ってくる。
レイルはノアは見るなり、持っていた薪をからんと床に落としてしまった。
「レイルさん!ご無事で何よりです」
ノアはほっと安堵の息を漏らす。
レイルはばたばたとノアの前にしゃがみこんだ。
「良かった、紫ちゃんだけでも起きて。ごめん、ごめんだぜ、紫ちゃんの手、取れなかったんだぜ」
レイルはしょんぼりと顔に影を落として、あのときはとることができなかったノアの手を取る。
レイルはノア達よりもずっと歳上だが、こうしているとまるで子供のようだった。




