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「よい、直ぐにでも出発出来るよう手を回そう。そなたらはすぐにでも船着き場へ迎え。町の事はフィオ、お前に指揮を任せる」
「わかりましたの!」
フィオは大きく頷いた。
それからは王の言う通り船着き場へ足を運ぶ。
そこにはセクストゥス海を越える大きな船も用意されており、馬車も船に乗せられていた。
五人は船に乗り込み、出発まで少し待つ。
クィーントゥスを発つ、それはフィオとの別れを意味しており、フィオは名残惜しいのか船着き場までついてきた。
「皆さん、もう行ってしまいますのね」
フィオの瞳がまた潤む、別れとは物悲しいもので、ノアも鼻の奥がつんと痛んだ。
「フィオさん……。また、会えますよ」
ノアがにこりと微笑む。
フィオは涙をこらえているが、すぐにでもまた泣き出してしまいそうだった。
船が発つ時間は刻一刻と迫る。
「また、遊びに来て欲しいですの、絶対ですの!
レイルお兄ちゃんも、助けてくれてありがとうですの。
また来てくださいの!レイルお兄ちゃんはやっぱりフィオの王子様ですの!」
フィオが頬をほんのり赤く染めて笑うと、レイルは困った様な笑みを浮かべた。
「レイルだけ特別かよ、気に入られてんな」
「きっと愛されキャラなんだぜ」
フィオが笑って大きく手をふる。
それと同時に船は動き出した。
船はどんどん船着き場から離れて行き、ついにはフィオの姿も見えなくなった──。
──
「──この海を越えれば、旅もいよいよ終盤……」
ノアはまだ先の見えぬ海を見て、呟く。
「一族のためにも、グレンデルを止めなくてはならない。
それが、それこそが、私の使命」
ノアはマフラーを強く握りしめる。
ノアの行く先々で戦いが起きる。
そのグレンデルの残した言葉がぐるぐるとノアの中に渦巻いた。
ノアは身を翻し、その場をさる。
海は静かに彼女の言葉を飲み込んだ──。
第十五章「王女の勇気」終了




