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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・第十五章
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12


「よい、直ぐにでも出発出来るよう手を回そう。そなたらはすぐにでも船着き場へ迎え。町の事はフィオ、お前に指揮を任せる」


「わかりましたの!」


フィオは大きく頷いた。

それからは王の言う通り船着き場へ足を運ぶ。


そこにはセクストゥス海を越える大きな船も用意されており、馬車も船に乗せられていた。

五人は船に乗り込み、出発まで少し待つ。


クィーントゥスを発つ、それはフィオとの別れを意味しており、フィオは名残惜しいのか船着き場までついてきた。


「皆さん、もう行ってしまいますのね」


フィオの瞳がまた潤む、別れとは物悲しいもので、ノアも鼻の奥がつんと痛んだ。


「フィオさん……。また、会えますよ」


ノアがにこりと微笑む。

フィオは涙をこらえているが、すぐにでもまた泣き出してしまいそうだった。

船が発つ時間は刻一刻と迫る。


「また、遊びに来て欲しいですの、絶対ですの!

レイルお兄ちゃんも、助けてくれてありがとうですの。

また来てくださいの!レイルお兄ちゃんはやっぱりフィオの王子様ですの!」


フィオが頬をほんのり赤く染めて笑うと、レイルは困った様な笑みを浮かべた。


「レイルだけ特別かよ、気に入られてんな」


「きっと愛されキャラなんだぜ」


フィオが笑って大きく手をふる。

それと同時に船は動き出した。

船はどんどん船着き場から離れて行き、ついにはフィオの姿も見えなくなった──。


──


「──この海を越えれば、旅もいよいよ終盤……」


ノアはまだ先の見えぬ海を見て、呟く。


「一族のためにも、グレンデルを止めなくてはならない。

それが、それこそが、私の使命」


ノアはマフラーを強く握りしめる。

ノアの行く先々で戦いが起きる。

そのグレンデルの残した言葉がぐるぐるとノアの中に渦巻いた。


ノアは身を翻し、その場をさる。

海は静かに彼女の言葉を飲み込んだ──。





第十五章「王女の勇気」終了



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