王女の勇気
フィオに連れられ、町へでる。時刻はまだ昼下がり。
青い空の下、広場の噴水前では吟遊詩人が歌い、あちこちには露店が出ていた。
フィオは楽しそうにノア達の手を引いて歩く。
周囲には城下町に突然王女が訪れたと言うこともあってちょっとした騒ぎになっていた。
「楽しいですの~」
フィオは鼻歌まじりに呟いた。
町を案内と言うよりも、半ばフィオの娯楽に付き合わされているようだった。
「あっ!あちらのアイスクリームのお店、とっても美味しいんですの!お一つ下さいですの~!」
フィオは繋いでいた手を離してアイスクリームを売る男性のもとへ楽しそうにかけていく。
「ああっ、待ってくださいフィオさん!」
ノアが慌ててその後を追う。
「こりゃまた誘拐されても文句言えねぇぞ」
コクが呆れたように呟いた。
それもそのはずで、ノア達のもとを離れたフィオの周りには、フィオの帰還を喜ぶ大勢の民衆達で溢れかえっていた。
「王女さま!お帰りなさい!」
「王女さま!悪い人の手から逃げられたのね!」
王女様、王女様と辺りの人々は騒ぐ。
その一つ一つにフィオは律儀に受け答えし、にこりと手をふれば周囲はわあっと騒がしいものとなった。
「フィオさん、大人気ですね」
人込みに割り込んでフィオのもとへ行こうとしたノアは、そのあまりの人の多さに皆のところへと戻る。
「大人気なのは良いことなんだぜ。
でもでもまた誘拐なんてよろしくないから、オイラ達でしっかり見守るんだぜ」




