第三十七話「これがステラの戦い方」
第三十七話「これがステラの戦い方」
ダンジョンが更にひび割れ崩落していく。その先は闇よりも深い闇。どこでもない世界。そう、ステラは自身が創造した世界を崩しながらクルトと戦っていた。
「くそ……っ!?」
飲み込まれれば最後。どの世界でもないそこは外界からいかなる魔法も届かないし、同じ場所に辿り着くことも難しい。救出なんて不可能な世界の狭間。
ステラはダンジョン経営管理人だ。ダンジョンが攻め落とされそうになっても、直接戦闘に加わることは許されていない。今は、自身が作ったダンジョンを壊しているだけ。それにたまたま人間が巻き込まれそうになっている、ただそれだけ。
「私は……このダンジョンに協力しているだけだから。直接戦闘は許されていないの」
「黙れ……こんな小細工で……俺を倒せると思っているのか!?」
「思ってないよ。けれど、皆が来てくれれば話は別」
「あくまでも……時間稼ぎかよ!」
「言ったでしょ? 私はまだやることがあるって。クルトこそ、こんな所でやられてもいいの? 皆強い悪魔ばっかりだよ?」
「……悲しいかな、俺は王国親衛隊隊長だ。隊長なんだ。こんなところで逃げるなんて、できない」
「そっか……なら、仕方ないね」
ステラは空間の崩壊を一度止める。
「最後のチャンスだよ。クルトはこのダンジョンをここまで破壊した。復興するにはかなりの時間が必要。この戦果で帰還する気はない?」
「……無理だ、よ!」
クルトは好機と見たのか一気に駆け出す。狙いはステラの首、ただそれだけ。
「……そっか。……バイバイ」
ステラが魔法陣に魔力を流し込むと、二人がいる空間自体が全て崩落を始める。逃げ場なんてどこにもない。無事な場所は足場が不安定で、無理に飛び乗ったら崩れてしまうだろう。
「ステラ……ッ!」
クルトは逃げなかった。落ちて行く空間の破片を台にして、ステラへ向かって走り続ける。
「俺は……お前に……っ!」
ステラは飛んでクルトから距離を取る。もはや届かない、そう思ったのだろう。クルトは自分の首から下げているペンダントを外すと、ステラに向かって放り投げた。
「それが……答えだ! 俺は……っ!」
声は小さく消えていき、最後の方はステラの耳に届かなかった。
「……これは?」
クルトが放り投げたペンダントをキャッチして、ステラは首を傾げる。
「どこかで……見たことが……」




