第十一話「侵入者とは突然に」
第十一話「侵入者とは突然に」
偶然にもかなりの価値があるお宝を持っていたアルのお蔭で、魔界銀行から金貨二十枚が支給された。
「こ、こんなに来るとは……」
「はわわ……お、大金持ちじゃないですか!」
ちなみに人間界の価値に換算すると、金貨五枚もあれば豪邸が建つ。それくらいの資金が突然降って湧いてきたような状況だ。二人が取り乱すのは仕方のないことだろう。ただし、スラミーを除いて。
「スラミー、ほら金貨じゃぞ!」
「アルさん! スラミーは価値がわかりませんよ!」
スラミーの色が水色になる。恐らく金貨の価値がわかったのではなく、二人が嬉しそうだからそれに反応したのだろう。
「さて、と。それじゃあ早速ダンジョンの設計に入りましょうか」
「そうじゃのう……やはり地下ダンジョンかの?」
「この金額だと城を建てることもできますよ」
「何じゃと!? う……うぬぅ……」
二人は頭を悩ませる。
「そうですね……それじゃあ……っ!?」
突然ステラが身構える。
「ど、どうしたのじゃ?」
「今……足音がしませんでしたか?」
「そうかの? 我には何も……スラミー?」
スラミーが深い青色に染まっていく。これは闘争本能がかきたてられている反応だった。
「……もしかして、この前に一度幻惑魔法を使ったから人間たちが反応した?」
「な、何じゃとっ!? まだ迎撃する準備も整っておらぬというのに」
ステラは悩んだ。アル側の戦力はスライム一匹と豚の貯金箱。仮にもステラは魔物よりも強い悪魔であるものの、代理人は戦闘に参加してはいけないという掟があるのだ。
「……偵察くらいなら、いいかな?」
ステラは黒い翼を広げる。サキュバス特有の艶やかな翼だ。
「ちょっと様子を見に行ってきます。アルさん、上空以外に幻惑魔法をかけてもらえませんか?」
「うぬ! 任せるがいい!」
アルが魔法をかけたのを確認し、ステラはアルとスラミーを連れて飛翔する。
「おぉっ!? と、飛んでおる!?」
「これでもサキュバスですから! さぁ、行きましょう!」




