第十二話「圧倒的な不利を知ったとしても」
第十二話「圧倒的な不利を知ったとしても」
ステラは森の一角に野営地点を発見する。
「……パーティが1つ、か」
戦士と魔法使い、それに僧侶の3人のパーティが座って食事を摂っていた。
「うぬぅ……オードソックスな面子じゃのう」
「ですが、今の戦力だと勝てませんよ?」
スライム1匹と豚の貯金箱、それに戦闘に参加できないサキュバス。正面から戦えば速攻で負ける。
ステラの額に冷や汗が浮かぶ。本来、このような事態はあるはずがない。魔王はまがりなりにも魔王なので、悪魔と同等かそれ以上の力を持つ。新米魔王はほとんど自分で戦闘に勝利し徐々に力を付けていくのだ。
「そうじゃのう……何か良いアイディアはないかの?」
加えて特別な何かを持っているというわけでもなさそうだ。それがステラの焦りを加速させる。
「えぇと……そうですね……うぅん……」
パーティの装備を見る限り、ステラが戦えば間違いなく勝利できる。しかし代理人の掟でそれはできない。そのむず痒さも相まってか、ステラは良い案が思い付かないのだろう。
「……え?」
スラミーがステラの額の汗を吸い取る。その色は水色に染まっていた。
「スラミー……うん、そうだね。焦ってもどうしようもないよね」
ステラは一つ深呼吸すると、反転して掘立小屋に戻る。
「して……どうするのじゃ?」
「アルさん、思い出して下さい。私たちが平地型のダンジョンに賭けたものを」
「自然の要塞……とでも言えば良いのかのう?」
「はい。それを利用しない手はありません」
しかし探索した時に判明した通り、あの森には害となりうるものが一切ない。
「害がない普通の森。それが命取りとなります」
「どういう意味じゃ?」
「それは後でわかりますよ。ただ念のため、魔物を増やす作業も並行して行いましょう」
「よくわからぬが……我はステラを信じる!」




