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地球はファンタジーにアップデートしました  作者: けろりぬ
第1部:ダンジョン黎明期
26/36

第26話:熱狂のベースキャンプと、世界に現れし五人

霧島第一ダンジョン第六層の探索配信が終了した、土曜日の午後。

第六層最奥のポータルから転移ゲートへと帰還した私たちは、転移の眩い光が収まったコンマ一秒後、お約束となっていた「あの突風」の直撃を受けた。


「あかねちゃぁぁぁぁぁぁぁぁんっっっ!!!!」

「わわっ、やっぱり来たー!?」


白衣の裾をバサバサと蝙蝠のように羽ばたかせ、赤城燈主任が猛烈なロケットダイブを敢行してきた。

だが、今の私はレベル10に到達したばかり。新しく生えた二本目の尻尾がふわりと風を捉え、身のこなしは以前の倍近く俊敏になっていた。


トントン、とステップを踏んで軽く横へ跳躍。

……したはずだったのだが。


「逃がさないわよっ! 予測回避軌道(アンチ・ステップ)展開!!」

「ええっ!?」


なんと燈さんは空中で無理やり体幹をねじ曲げ、驚異的な執念で私の着地点へと軌道修正。

そのままガバッ! と私の胴体へ正面から抱きついてきた。

白衣の布地と柑橘系アロマの香りに包まれ、私の顔面が燈さんの胸元へぎゅうぎゅうと埋まる。


「ぐえっ……!? と、燈さん……息が……!」

「あああぁぁぁっ! 二本! 本当に二本生えてるわぁぁぁっ!!」


燈さんは私の抗議など耳に入らない様子で、私の腰の後ろで左右にパタパタと揺れる二本の黄金の尻尾を、両手で交互にわしわしと撫で回し始めた。

その細く冷たい指先が毛並みの奥の地肌をくすぐるたび、頭の上の狐耳がビクビクと激しく反応してしまう。


「ひゃんっ!? ちょ、そこ敏感なんですってば……!」

「毛密度が初期の二・四倍! 毛先から放たれる微細魔素の周波数が完全に並列同期(デュアルコア)してるわ! 素晴らしい、神話生物の細胞分裂の極致よ! ちょっと顕微鏡持ってくるからそのまま固定されててちょうだい!」

「主任! 即座に離隔を! 探索後の未成年民間人に何をセクハラ同然の拘束をしているのですか!」


見かねた橘一尉が眉根を寄せ、燈さんの白衣の襟首をガシッと掴んで強引に引き剥がした。

ぷはっと息を吸い込んだ私の隣で、熊倉二曹がタワーシールドをドスンと地面に突いて大爆笑している。


「がはははは! センセ、お嬢さんの尻尾を愛でるのもいいが、こいつを見たら失神するんじゃねえか?」


熊倉二曹が耐衝撃ケースを広げ、中央のテーブルへと無造作に置いた。

ケースのロックが外され、ゆっくりと蓋が開かれる。


夕暮れのベースキャンプの薄暗がりを切り裂いて放たれたのは、息を呑むほど神々しい、青銀色の澄み切った光条だった。

拳大の『ミスリル原石』。

そして、その隣に並べられた五本の銀色の巻物――【空間転移(テレポート)】のスキルスクロール。


「…………」


燈さんの動きが、ピタリと止まった。

眼鏡がツツ……と鼻梁を滑り落ち、琥珀色の瞳孔が限界まで見開かれる。


「……ミス……リル……?」

かすれた、喉の奥から絞り出すような呟き。

「そして……空間跳躍の……術式スクロール……?」


震える細い指先が、空中で彷徨うように原石の上を泳いだ。

恐る恐る触れた瞬間、燈さんの全身がビクンと跳ね上がった。


「嘘……質量が……鉄の三分の一以下……!? なのに原子結合強度が理論限界値を三倍オーバーしてる……!? それにこのスクロール、物質の三次元座標を歪曲させてゼロ距離移動を成立させる神の術式じゃないのよ……!!」


カッ、と目を見開いた燈さんは、突然天を仰ぎ、両手を広げて雄叫びを上げた。


「きたわぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」

ベースキャンプのプレハブがビリビリと震えるほどの絶叫。

「防衛省の技術開発費を全額突っ込みなさい! 内閣府の予備費も全部引っ張ってくるわ! このミスリルで超軽量魔導外骨格を試作して、スクロールを解析して緊急脱出装置を量子化するのよ! 日本が、日本が世界の頂点に立つわぁぁぁっ!!」


「主任、落ち着きなさい! 警備班、周囲の通信遮断ラインを再確認!」

狂喜乱舞して踊り狂う燈さんを橘一尉が必死に羽交い締めにし、広場は完全なお祭り騒ぎと化していた。


そんなドタバタ劇を横目に、私はアイテムボックスから兄の特製ハーブティーを取り出し、熊倉二曹と乾杯しながら、スマホの画面へと目を落とした。

案の定、ネットの海は、今日の第六層攻略と、世界各地から届き始めた「巨大なニュース」によって、かつてない激震に見舞われていたのだ。


---


【霧島第6層】笹貫あかねちゃん応援スレ Part.58【二尾進化&ミスリル】


1 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:05:22.14 ID:MofuDuall01

日本唯一の神話級進化者・笹貫あかねちゃん(16)と、護衛の橘一尉・熊倉二曹を見守るスレッドです。

本日の第六層(工業都市廃墟)攻略、および二尾への種族進化を全力で祝うスレ。


■本日のハイライトまとめ

・あかねちゃん、戦闘中にレベル10到達! 一尾から『二尾の霊狐』へと真の種族進化を果たす!

・進化の瞬間、もふもふの尻尾がポフッと二本に増えて全世界が尊死。

・水龍二頭による拘束+地脈雷撃の即死コンボで中ボス【フォートレス・ゴーレム】を完全粉砕。

・神話の金属『ミスリル原石』の採掘に成功(鉄の三分の一の軽さで不壊)。

・銀宝箱から【空間転移(テレポート)】のスクロール×5本を獲得。あかねちゃんがその場で習得。


前スレ:【霧島第6層】笹貫あかねちゃん応援スレ Part.57

[http://to〇ho.net/dan/57/](https://www.g〇gle.com/search?q=http://to〇ho.net/dan/57/)


15 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:07:45.33 ID:TailGachiZei

スレ立て乙!

おいおいおいおい、二本目の尻尾が生えた瞬間見たか!?

光の粒子がブワッて舞い上がって、黄金の尻尾が二本になって左右にパタパタ揺れた瞬間、俺の部屋のサーバーが俺の絶叫で落ちたわ。


28 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:09:12.89 ID:AnimeOta99


> > 15

> > リアルタイムで見てて鳥肌どころか涙出たわ。

> > レベル10で進化って設定、完全に王道ファンタジーのそれじゃん。

> > しかも二本になった途端、索敵の解像度が跳ね上がってゴーレムの内部構造丸見えになってたのヤバすぎ。

>

>


42 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:11:30.45 ID:GachiMage

妖術の燃費と威力も明らかに別次元になってたよな。

今までの水華双掌は「高圧放水」って感じだったのに、今日の水龍二頭は完全に生きてる龍の動きだった。

水流で関節固めてからの、地脈からの大電流ショートサーキット。

あんなのどんなロボットでも耐えられるわけねえだろwww


56 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:13:55.12 ID:MithrilShock

そしてサラッと掘り出される『ミスリル原石』。

金属工学系の大学教授やってる親父が、画面に青銀色の石が映った瞬間「あり得ん……比重と結晶格子が物理法則を無視している……」って頭抱えて呻いてたぞ。

防弾チョッキも戦車の装甲も、全部ミスリル合金に置き換わったら自衛隊の防御力どうなっちまうんだ。


71 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:16:20.78 ID:TeleportGod

極めつけは銀宝箱の【テレポート】な。

あかねちゃんが「えいっ」って念じた瞬間、五メートル先の瓦礫の上にシュンッて消えて現れたシーン。

物流業界に続いて、今度は全交通機関と軍事戦略がひっくり返った瞬間でした。


88 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:18:40.01 ID:SekaiNoShinwa

てかさ、今日のあかねちゃんの進化でネットが沸いてる裏で、

海外メディアから【世界の進化者】の情報がドバッと解禁されたの知ってるか?


103 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:21:05.67 ID:InfoHunter


> > 88

> > 見た見た! 国連のダンジョン監視委員会が公式発表したやつだろ!

> > 世界に五人しかいない神話級進化者、全員の内訳が判明したらしいな。

>

>


119 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:23:30.89 ID:SekaiMatome

誰か海外勢の情報まとめてくれ!


134 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:26:12.34 ID:InfoHunter

ほい、国連発表と各国の公式リリースまとめな。


【世界五大・神話級種族進化者リスト】

(構成:男性3名、女性2名)


① 【日本】笹貫あかね(16歳/女性)

・種族:霊狐(二尾)/ジョブ:風水士・採取サポーター

・所属:日本政府・特務探索小隊(霧島第一ダンジョン担当)

・特徴:神がかり的な索敵、地脈操作、アイテムボックス&テレポート保持。世界最年少。


② 【北欧(スウェーデン)】ビョルン・リンドクヴィスト(34歳/男性)

・種族:【霜の巨人(ヨトゥン)】/ジョブ:重破壊闘士

・所属:北欧連合防衛軍・特務大隊

・特徴:身長が覚醒後に2.5メートルまで巨大化。素手で岩山を粉砕し、周囲の大気を絶対零度に凍結させる軍事パレードの主役。


③ 【北米(アメリカ)】アーサー・ヴァレンタイン(28歳/男性)

・種族:【高位妖精(ハイエルフ)】/ジョブ:大魔導士

・所属:メガコングロマリット「タイタン・エナジー社」専属

・特徴:金髪碧眼の超絶美青年。広域殲滅魔法を操り、ニューヨーク証券取引所の株価を一人で動かす資本主義の申し子。


④ 【中東(エジプト)】ハサン・アル=マンスール(42歳/男性)

・種族:【砂塵の魔神(ジン)】/ジョブ:風水呪術師

・所属:中東諸国連合・資源防衛機構

・特徴:肉体を砂嵐へと変化させる能力を持つ元傭兵。油田地帯に出現した砂漠ダンジョンの守護神として君臨。


⑤ 【東欧(ルーマニア)】エレナ・ドラクレア(22歳/女性)

・種族:【真祖吸血鬼(ノーブル・ヴァンパイア)】/ジョブ:血統術師

・所属:独立医療財団「深紅の十字架」

・特徴:夜間活動特化。血液を介した超常の再生医療と使魔操作を行い、ヨーロッパ裏社会と表社会の調停者として恐れられている。


152 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:29:00.45 ID:GachiKoen

うわぁ……メンツが濃すぎる……。

男性3人、女性2人か。

巨人に、エルフに、魔神に、吸血鬼……完全に神話大戦じゃん。


168 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:31:25.89 ID:NihonPeace

その並びの中に、

「園芸用スコップで薬草を掘り、干し肉と砂糖のドロップで喜ぶ女子高生(キツネ耳二尾)」

が混ざってるの、改めて見ると日本だけ平和時空すぎて草生える。


184 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:33:50.12 ID:MageNerd


> > 168

> > いや、笑い事じゃないぞ。

> > 海外の進化者たち、能力はド派手だけど全員「軍事兵器」か「巨大資本の広告塔」としてガチガチに政治利用されてて、探索の現場を純粋に楽しんでる奴なんて一人もいない。

> > ハイエルフのアーサーなんて専属の弁護士軍団に囲まれて笑顔が完全に引きつってるし、霜の巨人のビョルンは軍の命令で山壊させられてばっかりで目が死んでる。

>

>


201 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:36:15.78 ID:GlobalWatch

そう考えると、日本の防衛省と内閣府の采配はマジで有能だったな。

あかねちゃんを変に政治利用せず、本人の「探検したい、素材を掘りたい」っていうオタク的好奇心を最大限に尊重して、プロの自衛官二人にガッチリ守らせて自由にやらせてる。

海外の掲示板(R〇dit)でも「日本のフォックスガールが一番精神的に安定してて幸せそうだ」「私たちのエルフにもあんな風に笑ってほしい」って羨望の嵐だぞ。


218 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:38:40.23 ID:KagoshimaBoy

あかねちゃんには、あのまま純粋にダンジョンを楽しんでほしいよな。

美味しいもの食べて、綺麗な石見つけて、友達と装備作って、危なくなったら熊倉さんの盾の後ろに隠れる。

それが一番強いし、見てるこっちも安心する。


235 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:41:05.67 ID:DanKousatsu

ところでさ、今日の配信のラスト見たか?

ゴーレム倒した後の、第七層へ続く下り階段。

あそこから吹き上がってきた風の音……砂埃と、乾いた風の唸り声が聞こえなかったか?


250 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:43:30.90 ID:NextSeventh


> > 235

> > 聞こえた!

> > なんかゴオオオッて突風と一緒に、ガラスが擦れ合うみたいな乾いた音がしてた!

> > 第七層の環境、一体どうなってんだ?

> > 洞窟(1層)→樹海(2層)→溶岩(3層)→草原(4層)→氷雪(5層)→廃墟都市(6層)……。

> > 自然環境も無機物も一周した感あるぞ。

>

>


268 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:46:12.45 ID:GeoGeek

あの風と音から推測するに……『大峡谷(キャニオン)』か『結晶荒野』じゃねえかな?

グランドキャニオンみたいな赤茶けた断崖絶壁に、砂嵐が吹き荒れる乾燥帯。

風食された水晶やガラス質の奇岩が林立してる地形。

砂漠ほど平坦じゃなくて、高低差がエグい立体的荒地。


285 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:48:40.12 ID:WindFoxWait

大峡谷……!

足場が狭くて砂嵐が舞う過酷な荒野か!

でも今のあかねちゃんなら、二尾になって索敵範囲も精度も倍増してるし、何より【テレポート】がある!

崖から崖へ瞬間移動しながら、谷底に眠る未知の結晶鉱石を掘り出すあかねちゃんが容易に想像できるんだがwww


302 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:51:15.34 ID:SakiCraftWait

例の神細工師ちゃん(サキちゃん)が、今度は砂嵐対策のゴーグルとか防塵ローブを作る流れだな!

兄貴のほうは喉を潤す乾燥対策ポーションか?

バックアップ陣営の動きも楽しみすぎる。


320 :名無しさん@探索中:203X/03/21(土) 18:54:00.00 ID:MofuDuall01

二本の尻尾を手に入れて、いよいよ深層の核心へと近づいていくあかねちゃん。

海外の進化者たちの動向も気になるけど、まずは我らが日本の至宝の無事と活躍を祈ろう!

次の土曜日、第七層・結晶峡谷の探索配信も全力で待機だ!!


---


スマホを閉じ、私はふうっと息を吐き出した。

手元には、兄の晃が持たせてくれた温かいハーブティーのマグカップ。

向かいのベンチでは、ようやく落ち着きを取り戻した赤城燈主任が、ピンセットでミスリル原石の削り粉を慎重に採取し、電子顕微鏡のプレパラートに載せて恍惚の表情を浮かべていた。


「……世界の、進化者。」


私がぽつりと呟くと、小銃のメンテナンスを終えた橘一尉が、私の隣へと静かに腰を下ろした。


「スレッドの記事を読みましたか、あかねさん。」

「はい。……男の人三人、女の人二人。みんな、すごく強そうで……巨人とか、エルフとか、魔神とか。それに比べて私なんて、キツネの耳が生えてスコップ持ってるだけですから。」


苦笑いする私に、橘一尉は首を横に振った。

その切れ長の瞳には、どこまでも深く、温かい信頼の色が宿っていた。


「そんなことはありません。先ほど防衛省の情報分析班からも報告が入りましたが……海外の四名の進化者たちは、強大すぎる力ゆえに周囲の大人たちから恐怖され、あるいは兵器として囲い込まれ、孤独な重圧に苦しんでいます。」


橘一尉は私の頭の上、ピクピクと動く白い狐耳へ、そっと優しい手を伸ばして撫でてくれた。


「ですが、貴女は違います。貴女は自分の力に驕ることなく、大地の声を聞き、仲間を信じ、日常を愛している。だからこそ、貴女の周囲には自然と人が集まり、支え合いの輪が生まれるのです。……私は、日本の進化者が貴女で本当によかったと、心から誇りに思っていますよ。」


「橘さん……。」

胸の奥がじんわりと熱くなる。

二本に増えた尻尾が、嬉しそうに橘一尉の背中をポンポンと優しく叩いた。


「がはは! 橘の言う通りだぜ!」

熊倉二曹が豪快に笑いながら、熱い缶コーヒーを私の前にトンと置いた。

「巨人が山を砕こうが、エルフがビーム撃とうが知ったこっちゃねえ! 俺たちはお前と一緒に、次の第七層で美味いもん見つけて、珍しい石っころ掘り出すだけだ! なあ、お嬢さん?」


「……はいっ!」

私は力強く頷いた。

他国の事情がどうであれ、私のやるべきことは変わらない。

大切な仲間たちと一緒に、安全第一で、一歩ずつ未知の扉を開けていくだけだ。


「さて、あかねちゃん!」

顕微鏡から目を離した燈さんが、ニヤリと眼鏡を光らせて手招きした。

「第七層の初期地脈スキャン、完了したわよ。……貴女たちの予想通り、環境は『結晶と黄砂の大峡谷(クリスタル・キャニオン)』。足場は狭く、激しい砂嵐が吹き荒れる過酷な乾燥荒野よ。」


プロジェクターに映し出されたのは、赤茶けた巨大な断崖絶壁と、谷底でギラギラと乱反射する無数の結晶群の立体映像。


「けれど、あかねちゃん。二尾になった貴女の索敵能力と、手に入れたばかりの【テレポート】……そして、このミスリルを組み込んでサキちゃんが仕立てるであろう新装備があれば、どんな砂嵐も切り裂いて進めるはずよ。……来週も、最高の大冒険を見せてちょうだいね!」


「お任せください、燈さん!」


夕暮れの霧島山麓。

冷たい夜風が吹き抜ける中、新しく生えた二本の尻尾を誇らしげになびかせながら、私の心はすでに、未知なる結晶の谷――第七層の荒野へと、力強く駆け出していた。


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