第17話:ネットの海は大騒ぎ
霧島第一ダンジョン第四層の探索配信が終了した、土曜日の夜。
全世界で同時接続者数二千万人を叩き出した『日本政府公式・ダンジョン特務チャンネル』の余波は、日本のネットコミュニティを完全に呑み込んでいた。
大手ネット掲示板のサーバーは一時的に負荷で悲鳴を上げ、国内最大の総合スレッド群には秒速数十レスの勢いで関連スレッドが乱立。
その中でも特に勢いを保っていたのは、かつて「進化者特定スレ」として立ち上がり、いまや完全にファンコミュニティと化しつつある本スレだった。
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【霧島ダンジョン】笹貫あかねちゃん応援スレ Part.42【霊狐JK】
1 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:15:23.45 ID:AkaneFan01
日本唯一の種族進化者・笹貫あかねちゃん(16)と、護衛の橘一尉・熊倉二曹をまったり見守り応援するスレッドです。
荒らし・誹謗中傷は徹底スルーで。
■閣僚・防衛省合同発表まとめ
・名前:笹貫あかね(ささぬき あかね)
・年齢:16歳(高校一年生/鹿児島県在住)
・種族:霊狐(霊狐系・尾1本)
・所属:内閣府特務探索班(特級探索者ライセンス保持)
前スレ:【霧島ダンジョン】笹貫あかねちゃん応援スレ Part.41
[http://to〇ho.net/dan/41/](https://www.g〇gle.com/search?q=http://to〇ho.net/dan/41/)
8 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:17:02.11 ID:MofuMofu99
スレ立て乙。
今日の配信、マジで神回すぎたんだが。
今も録画アーカイブ見返してる。
14 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:18:45.32 ID:KumaShield
同接2000万超えは草。
海外のミラー配信でも「Japanese Fox Girl is Real Angel」とか言われてスパチャ飛び交ってたぞ(政府公式だから投げ銭オフだったけど)
23 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:20:11.89 ID:VisualGachi
てかさ、冷静にあかねちゃんのビジュアルやばくない?
絶世の美少女ってほど作られた感じじゃなくて、クラスにいたら10人中7〜8人は「普通にめっちゃ可愛い」ってガチ恋するタイプのリアルな可愛さ。
黒髪セミロングにあの白い狐耳と尻尾は反則すぎる。
31 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:22:04.56 ID:AniOta007
> > 23
> > わかる。
> > なんか親近感ある顔立ちなのに、表情がころころ変わるから目が離せない。
> > あと耳の付け根の赤い和風リボン! あれ誰がデザインしたんだよ、天才か?
45 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:25:33.12 ID:KagoshimaBoy
鹿児島ローカル情報だけど、あかねちゃんのお兄さんが超絶イケメンらしいぞ。
駅前でスカウトされまくってるレベルの顔が良いオタクらしい。
そりゃ妹も整ってるわな。遺伝子の勝利。
56 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:27:18.90 ID:GameZuki
ビジュアルも最高なんだけど、中身が完全に「熟練のゲーマー」で笑ったわ。
大草原に着いた瞬間、真っ先に駆け寄って「わぁ! 風鈴草だ! スコップスコップ!」って採取し始めたところ腹抱えて笑った。
海外の進化者が山砕いたりビーム撃ったりしてる裏で、日本の至宝が園芸用スコップで雑草むしってるの平和すぎて泣いた。
68 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:29:45.67 ID:CraftMan
> > 56
> > しかもあのスコップ捌き、ガチの手慣れ感だったよな。
> > 根っこ傷つけないようにちゃんと周囲から掘るやつ。
> > あかねちゃんの持ち帰った素材で、防衛省の特命研究所が新しいポーションと耐熱繊維の実用化に漕ぎ着けたらしいからな。
> > あのスコップの一振り一振りに国家予算数十億の価値があるという事実。
82 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:32:10.43 ID:LogiGod
それより中盤の【アイテムボックス】お披露目が一番ヤバいだろ。
花と鉱石がシュッと空間に吸い込まれた瞬間、俺の物流関係の親父が「は???」って叫んで椅子から転げ落ちてたぞ。
95 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:34:55.78 ID:MilitaryNerd
> > 82
> > 自衛隊目線で見てもあれは革命どころじゃない。
> > 弾薬も食料も重量ゼロで携行可能、しかも時間停止で腐らない。
> > あかねちゃんが一人いれば、一個中隊の兵站が完結する。
> > そりゃ政府も最優先で特級ライセンス出すわ。
112 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:38:22.01 ID:WolfFear
でもさ、正直グラスウルフリーダー戦は心臓止まるかと思ったわ……。
光学迷彩の狼の群れとか、初見殺しにも程があるだろ。
カマイタチ飛んできた瞬間「あかん全滅する」ってマジで青ざめた。
128 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:41:05.67 ID:TachibanaOshi
橘一尉の冷静さも化け物だったけど、あかねちゃんの索敵がマジで神がかってた。
「十一点の方向、距離十五メートル! リーダーが低空を這ってます!」
からの、一切の迷いなく虚空を撃ち抜く橘一尉の精密射撃よ。
あの一瞬で風晶角を折って迷彩強制解除させたの、映画のワンシーンより鳥肌立った。
140 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:43:30.89 ID:KumaLove
熊倉の兄貴の「オラァッ!!」も最高だったぞwww
あかねちゃんが泥濘化で足止めて、熊倉の兄貴が盾でぶっ飛ばして、橘一尉がトドメ。
あの三人、役割分担が完璧すぎる。
タンク・アタッカー・サポーターのお手本だよ。全国の学校のダンジョン共生授業で教材として流すべき。
165 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:47:12.34 ID:GrassTea
戦闘終わったあと、アイテムボックスから淹れたての温かいお茶出して三人で乾杯してたの和んだわ〜。
あかねちゃんが尻尾パタパタさせながらお茶すすって、耳がホッとして垂れるところ。
あそこスクショ撮って壁紙にしたやつ絶対俺だけじゃないはず。
189 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:51:40.12 ID:GifBoy
美濃ダンジョン周辺の住民だけど、霧島の探索見て勇気もらったわ。
ダンジョンってテレビのニュース見てると「人類滅亡の前兆」みたいに煽られて怖かったけど、あかねちゃんたちがちゃんとルール理解して慎重に開拓してるの見て、共生できるかもって思えた。
204 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:54:05.78 ID:NextHope
最後のシーン見たか?
大草原の果て、第四層ポータルの奥にあった階段。
吹き上がってくる冷気と吹雪の音……。
218 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:56:44.23 ID:SnowHype
> > 204
> > 見た見た!!
> > 第五層はガチの氷雪エリア確定だな!
> > 洞窟(1層)→樹海(2層)→溶岩(3層)→草原(4層)からの、氷の世界!
> > 次はどんなモンスターが出るんだ?
> > てか、氷雪ならあかねちゃんの防寒装備どうなるんだろ? もこもこコート着るのか?
235 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 20:59:15.90 ID:MofuMofu99
もこもこコートの狐耳あかねちゃん……!?
おいおい、全人類が尊死しちまうぞ。
250 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 21:02:30.45 ID:ChoukanAkagi
赤城主任(白衣のやべー美人研究員)が今頃ウキウキで防寒装備開発してそうww
あの人の「私のミューズ!」って叫びながらスライディングして躱されたシーンもアーカイブに残してくれ頼むから。
278 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 21:06:12.01 ID:DanWatcher
次回の配信予定、防衛省の公式ツイッターで告知出るかな?
第五層の探索も生中継してほしい!
あかねちゃん、橘さん、熊倉さん、マジで怪我だけは気をつけて頑張ってくれ!
295 :名無しさん@探索中:203X/03/XX(土) 21:09:45.67 ID:AkaneFan01
次の土曜日まで待てないんだが……。
とりあえずアーカイブ三周目行ってくるわ。
あかねちゃんの「やたー! 薬草ゲットです!」ボイスを無限ループで聴く作業に戻る。
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自室のベッドの上で、私はスマートフォンを両手で握りしめながら、画面のスクロールを見つめていた。
顔から火が出るほど恥ずかしい。
耳がカッと赤くなり、シーツの上で丸まった尻尾が落ち着きなくバタバタと跳ねる。
「……な、なにこれ……! 応援スレって何!? ていうか、Part42って進みすぎでしょ……!」
「おいあかね、何ジタバタしてんだよ。」
ノックもなしにドアを開けて入ってきたのは、噂の兄・晃だった。
手には、湯気の立つマグカップが二つ。
中に入っているのは、今日採取してきたばかりの『風鈴草』を乾燥させ、晃が【薬理配合】で毒気ゼロの清涼ハーブティーに仕立てたものだ。
「兄ちゃん、ノックくらいしてよ! もう……ネットですごいことになってるんだけど!」
「見たぞ。まとめサイトもTotter(現Z)のトレンドも、全部お前のキツネ耳で埋め尽くされてるな。」
晃はニヤリと整った顔を歪め、デスクの椅子を引いて腰掛けた。
「だが、上出来だ。お前が変に気取らず、いつも通りの採取オタク全開で潜ったおかげで、世間の不安が一気に吹き飛んだ。『未知の恐怖』を『未知の探求』に塗り替えたんだよ、お前は。」
「……そう、なのかな。」
手渡されたハーブティーを一口すする。
ミントのような爽やかな香りと、大草原の風を思わせる優しい甘みが、喉から胸へとじんわり広がっていく。
スマホの画面には、今この瞬間も、見ず知らずの人たちからの温かい応援と、次の冒険を心待ちにする声が途切れることなく流れ続けていた。
「第五層は、氷雪エリアだ。」
晃がマグカップを傾けながら、真剣な目で言った。
「サキとさっき連絡取ったが、あいつもう美術準備室で防寒用の特殊インナーの試作に入ってるぞ。俺も、身体を芯から温める耐寒ポーションの調合レシピを組む。……次の土曜も、世界中がお前の探索を待ってるぞ。」
「……うん!」
私はマグカップを両手で包み込み、窓の外を見上げた。
街の明かりの向こう、夜の闇に沈む霧島連山の稜線。
その地下深くに眠る、極寒の第五層。
怖さは、もうどこにもなかった。
画面の向こうで待っていてくれる何千万人もの人々の声援を胸に、私は次の配信――未知の銀世界への一歩を、今から待ち遠しく思っていた。




