一番
それからは地獄だった。
何処にいるかも分からないのに。
私は、彼とよく行った場所に足を向けるようになった。
正人は私の一番初めの彼氏だった。
彼は私は三番目だっていってたけど。
だから、この感情をどう対処すればいいのか見当もつかない。
なんで、無性に彼と行った場所なんかに行きたくなったのかも。
なんで、彼が私から一旦離れることを決めたのかも。
なんで、私はそんなことに気づかなかったのかも。
全部全部分からなかった。
会社の人には、彼が出て行った次の日に無断欠勤したことを怒られた。
後輩には凄く心配された。
私はそれに適当に挨拶して。
また、家に帰る。
どうしてかな。
いないって、いない確率の方が高いって。
それくらい分かってるのに。
もしかしたら、今日は帰ってきてるかも。
そんな淡い期待を抱いて。
「ただいまー」
その声は寂しく、部屋に小さく響くだけで。
分かってたのに、落ち込んでる自分がいて。
何処にいるのかな。
何してるのかな。
この部屋にある荷物を取りに戻ってきたよ、なんて突然帰ってきて言ったりするのかな。
この私の空っぽの気持ちを理解してくれないのかな。
これが、現実逃避ばっかりの私の罰だったなら。
青春なんて、本当にロクなものじゃない。
早く帰ってきてよ。
思いっきり抱きしめて、ごめんねって言ってよ。
それだけで許してあげるから。
そんなことないよ、でも待ってたんだからね、そう言ってあげるから。
それで、キスしてよ。
やっぱり、正人がいないとダメだよ。




