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天使のフットボール  作者: リリー
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28/39

28、先輩①

強豪2チームを撃破し星を五分に戻したエンジェルス。

さあ、浅草エンジェルスの開幕はこれからだ!

第5節は名古屋ゴールデンオルカとの対戦。


俺は新幹線に乗り名古屋へと向かった。

スタジアムに着いたころには軽いウォーミングアップをしている選手が数人いた…

いつものように長老に挨拶をしていると

名古屋の選手の一人がこっちの方をジーっと見ていた。

(キレイな女だな…)


「長老、名古屋の7番って、昨年もいましたか?」

「ん!?あいつはケガで2年程出てなかったな。」

「なんか美女って感じで他の選手と雰囲気が違いますね。

長老の好きなタイプなんじゃないっすか?はは。」

「バカ言っちゃいけねーよ!俺はあの野郎は大嫌いなんだ。」

「えっ!?選手を嫌うって長老にしては珍しいですね。」

「あいつは元々エンジェルスのユースにいたんだ。

ま、途中でヤメちまったけどよ。

2年前の大ケガで引退するかと思ってたんだけど…

また復帰してきやがった!胸くそ悪い!」

(なにか事情があるんだろうか…)


俺はその選手が気になり調べてみた。

7番・西村樹里奈(25歳)

大卒で名古屋に入団し3年目か…

過去2年は3試合に出場しただけで大ケガし今シーズンようやく復帰か。

(なんか感動的なエピソードだけどな…)


名古屋の西村に少し同情した俺だったが試合が始まるとその同情は一変した!

美しい容姿とは裏腹に荒っぽいプレーを繰り返す西村。

ちさに対しては特にヒドイように見えた。


試合の方はエンジェルスの圧倒的な展開!

前半6分と17分にちさが2ゴールを決める。

その後も追加点を重ね4対0とエンジェルスがリードしていた!

試合とは関係なしで

ちさに執拗にラフプレーを繰り返す西本!

そして前半終了間際…

ちさが倒れ込み動けなくなった…

トレーナーの必死の処置も及ばず

ちさはタンカに乗せられ負傷退場を余儀なくされる…


「おい!西村!なんてことしやがるんだ!

この野郎、ふざけた真似しやがって!」

長老の怒鳴り声が響き渡った‼

普段は試合中に敵味方関係なく拍手を送る温厚な長老の激怒っぷりが意外だった…


西村は長老の方を睨み付けるように見ていた。


後半もエンジェルスのゴールラッシュが続き終わってみれば7対0の圧勝!

しかし俺はピッチに武藤ちさがいないという絶望感で後半の戦いはほとんど記憶に残っていなかった。

ケガの具合は大丈夫なんだろうか…

次の試合は出場できるのだろうか…

そんなことばかり考えていた。


長老の怒りは試合後も収まっていなかった。

「畜生!西村の野郎は絶対許さねえぞ!」

「長老、武藤さんは大丈夫ですかね?」

「分からねぇ…」

「しかし、何なんですかあの西本のプレーは?」

「うん…

まあ、西村って女はちさが乗り越えなくちゃならない壁の一つだな!

先輩だからって遠慮なんかしなくていいんだよ!」

「先輩…」

「ちさが向かって行かないから容赦なくやられるんだ!

せっかく勝ったのに腹立つな!」

「そうですね!なんかモヤモヤします…」

「ちさのケガが大したことなけりゃいいがな…」

「そうですね!俺もお祈りしますよ!」


そう言って名古屋をあとにした。


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