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天使のフットボール  作者: リリー
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19/39

19、祭り

年が明けると、あっという間に季節は移り変わり春の足音が近づいていた。

3月末にはリーグ戦がいよいよ開幕する。

試合に飢えている俺は開幕が近づきウキウキした気持ちになっていた!


そしてリーグ開幕の一週間前の週末、隅田川近くの公園で桜祭りがあり

その祭りに浅草エンジェルスの選手達が参加するとの情報を得た…

人ごみ、いや、人間が嫌いな俺が祭りに行きたいなどと思ったことは生まれて初めてだ。

自分でもこの変わりように驚いていた・・・


そして祭りの日がやってきた!

会場に着くなり俺はちさちゃんを探していた。

(明らかに不審者だよな…)

などと思いながら血眼になり必死になって探していた…


いた!


だが、恥ずかしくて近づけない…

女を手玉に取るなど、ちょろいはずの百戦錬磨の俺様が明らかに緊張している。

(なにやってんだ俺は・・・)

情けない気持ちになりながら一旦、心を落ち着かせるためベンチに座りコーヒーを飲んでいた。


「おい!このエロホスト、テメーこんなとこでなにやってんだ?」

(ギクッ!)

俺の後ろに八神が立っていた・・・

「や…八神!シーッ!騒ぐな、静かにしろ!」

「あっ!テメーはストーカーか?ちさのストーカーか?」

「バカ!そんなんじゃねーよ!ただ、エンジェルスの選手を見たいなと思ってさ…

あと、サイン会があるってネットで見たから。」

「なに?じゃあ私がサインしてやるよ!ほらマジック貸しな!」

「つうか、酒くせーし!酔っぱらってるだろ?」

「なんだと!このエロホスト!」

(なんで祭りに来てまでもこいつの相手なんだよ…)

そんなことを思っていたときだった。


「あやー!どこ行ったのー?」

ちさの八神を探している声が聞こえてきた。

(ヤバイ、逃げなきゃ!)

俺がベンチを離れようとした瞬間だった!


「あ…あや、いた。」

武藤ちさが俺の目の前に現れた・・・

(逃げきれなかった)

「あ…武藤さん!こ、こんにちは。」

「こんにちは。祭りに来てたんですねー?」

「そうなんですよ。なんか八神さん酔っぱらってるみたいですよ!」

「で…ですよね。」


「ちさ!このエロホストは危ないぞ!」

「あや、ダメでしょ!そんな言い方したら。いつも応援してもらってるんだから!」

「なんか、八神さんに絡まれちゃって…」

「すみません。その人、バカなんですよ。ははは。」

「ははは。バカなんですね?」

「なんだと!テメーら人をバカバカ言いやがって!」

「バカでしょ!こんなに酔っぱらって…もぉーありえない!」

説教され出した八神はウトウトしている様子だった


「なんで、八神さんは酔っぱらってるんっすか?」

「地元の人達が激励に来てくれてて、みんなからお祝いだ!って言われて

調子に乗ってお酒飲み出して…気づいたらいなくなってたんですよ。」

「マジっすか…とんでもない不良女子サッカー選手ですね。」

「あや、本当に嬉しかったんですよ!このアットホームな感じが大好きって言ってたから。」

「なるほどー。」


「あっ!ちさ!」

「なに?急に大声出して。」

「このエロホスト、案外いいヤツだぞ・・・」

「えっ?知ってる人なの?」

「知らねーよ!このエロホスト、あんたのサイン欲しいらしいからしてやりなよ。

きっと喜ぶよ!はっはっは!!」

八神から思わぬチャンスがやってきた!

「あの、武藤さんサインいいですか?」

「あっはい。いいですよ!」

俺は持参したユニフォームをそっと差し出した。


「いつも、これを着て応援してくれてるんですね?ありがとうございます!」

そう言うと、ちさは丁寧にサインをしてくれた!

「ありがとうございます!一生の宝物にします!!」

「いえ、これからも応援に来てくださいね!」

「はい!!もちろんです。本当にありがとうございます!」

人からサインをしてもらうなど生まれて初めて体験だった。

俺は本当に嬉しかった!今年もまた応援に行くぞって気合が入った!!


「ちさ、私さ。気分悪くなってきたから少し休んでから戻る…」

「も~!じゃあ、みんなに言っとくから。

すみません。じゃあ、私戻るんで・・・」

そう言い残し、ちさは祭りの会場へと戻った。


「エロホスト、私からのパスをありがたく思えよ。」

「おう!ありがとな!なかなかいいパスだったぞ!」

「ちさと話すとき緊張してただろ?マジウケる!ははははは。」

「しょうがねーだろ!この酔っ払い!」

「カワイイとこあるじゃん!ははは。」

「じゃあ、もう帰るからな!飲み過ぎんなよ!来週は開幕だろ?頑張れよ!」

「うぃーーーす」


ちさとの思わぬ対面にドキドキだった。

まあ、八神のお陰と言えばお陰か?

と思いながらまだまだ、つぼみ桜の祭り会場をあとにした。

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