表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使のフットボール  作者: リリー
PR
17/39

17、プレゼント

リーグ戦が終了し1ヶ月が経ち、街はクリスマス一色に染まっていた。

来シーズンの開幕までほど遠い・・・

長老のトークを聞きたい、なんて思ったりもしていた…


12月は稼ぎ時で平日でも忙しい。

ただでさえクソ忙しいのに、『あいつ』はイベントで大忙しのクリスマスイブの日にやってきた。

「勇気、お客さんだぞ。あの人は一回見たことあるな…」

支配人から声が掛かり俺はテーブルへ向かった。


「ヤッホー!」

ニコニコ笑ってる八神綾香だった・・・

(あっ…八神かよ。)

「ヤッホーじゃねえよ。こんなとこ来るなって言っただろ…」

「言った。でも私、来ないとは言ってないもん!」

「まぁ、それはそうだけど…クリスマスイブに来るとか寂しい女だと思われるぞ!」

「い~もん。」

「彼氏とか一緒に遊ぶ男友達とかいねーのかよ?」

「ふん!」

「もう、さっさと男でも作れ!」

「うるさい!せっかく来てやったんだからありがたく思え!」

「あ~、ありがとう。ヒマ人…」

「わ…私だっていろいろ忙しいし!

そ…それに今日は重大発表をしようと思って来たんだから。」

「重大発表?どうせ俺のこと好きとか言い出すんだろ!ははは。」

「な…なに言ってんの?このエロホスト!調子に乗るな!バカ!」

(まだまだ、ウブなんだな。この手の話になると顔真っ赤じゃねぇか…)


「冗談だよ。で、重大発表って?」

「聞きたい?」

「おう!」

「それでは発表します!ジャガ♪ジャガ♪ジャガ♪ジャガ♪ジャガ♪ジャガ♪」

「もう、いちいち長い…レコード大賞かよ。」




「私、八神綾香は浅草エンジェルスに移籍いたします!!」



予想外の言葉に俺は耳を疑った

「えっ!嘘だろ!?」

「ホントだよ。もうクラブと話が決まったもん。」

「本当だな?ホントに本当なんだな?」

「え!?」

「あ、いや…そりゃスゲーな!エリーザで現役バリバリのレギュラー様がエンジェルスに移籍って!」

「みんなからは冗談でしょ?とかヤメな!とかさんざん言われた…」

「そうだよな…あの厳しい監督からも怒られただろ?」

「うん。第一声はオマエはバカか?だった…

絶対、後悔するぞ!とか逃げたいだけだろ!って罵倒された。」

「でも、なんでそんな思い切ったことをしたんだ?」


「あのね、理由は3つあったんだ。

1つ目は祝勝会のときに先輩がホストクラブに通ってるヤツがいるようなチームに負けてたまるかよ!って言っててさ…」

「ちさちゃんのこと?」

「うん。私、ついカーッとなって。ちさはそんなとこに行くような子じゃないって大ゲンカしちゃったの…」

「それで居づらくなったわけか。でもケンカしてる本人が通ってりゃ世話ねーわな!はは。」

「うるさい!もう真剣に聞いて!!」



「あ、ゴメン。ゴメン。で、2つ目は?」

「エリーザのサッカーに魅力を感じなくなってたの。なんかさ、怒られたりブーイングされてばっかりだし…

辛くて辛くて…全く楽しくなかったし精神的に参ってた!

私、妄想に逃げるようになって、ちさと一緒にサッカーしてた頃のことを思い出してると楽しくて楽しくて…」

「そういや、この前も言ってたよな?」

「うん。子供の頃、監督にスポーツは楽しくやるもんだよって教わったから…

それに、優勝が決まった日のスポーツニュースでエンジェルスの試合も見たんだけど

試合後のちさの固まった表情を見たら悲しくなって。私、優勝したのになんで悲しいんだろうって…」


「あっ…あの凍りついた顔だよな?あんな表情よくするのか?」

「いや、私が見たのは2回目。前に見たのは小学6年生のときだった。

夏休みに大きな大会があって私達のチームは優勝候補だったんだけど

2回戦がPK戦までもつれこんで、最後ちさがPKを外して負けちゃったんだ…」

「そのときか・・・」

「ちさ、サッカーヤメるとか言い出して。2週間くらい練習にも来なくて…

ちさの家にみんなで行って必死に説得してようやく復帰してくれたんだ。」

「え、なんか意外だな。」

「だから、またサッカーをヤメるとか言い出すんじゃないっかって心配なんだ。」



「それなら八神が一緒にいてやらないとな!で、3つ目は?」

「私、浅草エンジェルスで優勝したいって思いが強くなったの!」

「エンジェルスでの優勝か。」

「子供の頃、私もちさに負けないくらい応援してたんだから!

そんな憧れのチームの初優勝に自分が貢献できるって、こんなやりがいはないでしょ?」

「そりゃ、カッコイイな!絶対に優勝してくれよ!

ところで、ちさちゃんには連絡したのか?」

「それがまだなんだ…突然行って驚かしてやろう思って。」

「サプライズか。来シーズンが楽しみだな!」

「おう!私、後悔なんてしていない。自分で決断したことだから!!」

「寺本を見返してやれ!」

「まあ、寺本さんにも感謝してるよ。こんな私を代表に選ばれるような選手に育ててくれたんだから…

エリーザに勝ってもっと成長した姿を見せてやる!」


「偉い!偉いぞ!八神!よし!今日も俺がオゴってやるよ。」

「やったー!じゃあ、あのシャンパンタワーていうのやりたーい。」

「あ…あー残念!あれは今日、予約でいっぱいだからダメだ。」

「じゃあ、ドンペリのプラチナを飲みたい。」

(オゴリと言った途端、こいつ・・・)

「それは高い…いや予約でいっぱいだから却下!」

「えー!なんだよ、ケチ!」


そんなことを言ってるうちに八神は眠りだした。

「八神!そろそろ限界だろ?」

「ん~あっ、じゃあ帰る。」

「よし、じゃあ階段…」

「おんぶ」

「またかよ!」

また八神をおんぶするハメに・・・


「お兄さん、ご馳走様!!ありがとう!」

「いいってことよ。こっちこそクリスマスプレゼントありがとうな!」

「え?」

「エンジェルスへの移籍だよ!」

「いいってことよ。あはは!」

「気をつけて帰れよ!」


「お兄さん!浅草エンジェルスは私が優勝させてやるよ!」



八神はそう言って帰っていった。

八神綾香の加入・・・

これは来シーズンが本当に楽しみだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ