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天使のフットボール  作者: リリー
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12/39

12、接客②

1杯だけで帰るはずが2杯、3杯となり…

酒乱の気があるのか?八神は酒がすすむと人が変わったように絡んできた…


「たまにはオフとかあるんだね。エリーザは厳しそうだから大変なんじゃない?」

「毎日毎日、監督に怒鳴られてさ。そりゃストレスもたまるよ!」

「寺本監督はめっちゃ怖そうだもんな。この前も試合後に大声出してたし…」

「選手への要求が凄いんだよ。じゃあ自分でやってみろって言いたくなる。

監督と同い年の本郷さんはまだ現役なんだしさ。」

「寺本監督と本郷ねえさんはタメ?何歳なの?」

「40歳。」

「どっちもスゲぇーな…」


「私、もう足とかボロボロなんだよ。傷だらけだし…ほら」

八神が立ち上がって脱ぎ始めた・・・

「あー、コラ!脱がなくていいから!」

「なんだと!このエロホスト。

テメー、女を食い物にしてんだろ?貢がせたりしてるんだろ?

そういうのテレビで見たことあるぞ!」


「そりゃ、たまには常連さんからプレゼントもらったりはするけど

そんなテレビみたいに貢がせたりとかはねーよ」

「ホントか?じゃあ、なんで女子サッカーなんか見に来てんだ?常連客の中に

選手がいてそいつに貢がせるために応援してるフリをしてるんだろ?」

「いやいや、あのな…」

「テメー、武藤ちさのユニフォーム着てるだろ。

ここの常連なのか?」

「違うよ。俺はあの子のひたむきなプレーを見て感動したんだよ。

そして実際にスタジアムに行ったら本当に面白くて

感動するし癒されるし勇気を分けてもらえるし…

また仕事を頑張ろうってなるし、とにかく楽しいんだよ。

なんかさ、アスリートが人に与える力って凄いんだなって思ったよ。」


「本当だな?ホントに本当なんだな?ちさはホストクラブ通いとかしてないんだな?」

「おう!俺が勝手に応援してるだけだよ。」

「よかった…実は私、ちさと幼なじみなんだ。

小学生の頃は姉妹のように仲良くてさ、夏休みとかお互いの家に泊っことかしたりしてたし。サッカーもちさが一緒にしようって誘ってくれたの。」

「そうだったの?」


「私、エリーザに入ってから練習について行くのがやっとでさ。

ちさとの約束を何回もすっぽかしちゃって…

連絡も取らなくなって、だんだん疎遠になったんだ…」

「そうだったんだ…でも試合のときに顔合わせるじゃん。」

「エリーザは厳しいから!相手チームの選手とヘラヘラ話してたりしたら

また怒鳴られちゃうよ。ははは。」

「そうだよな!やっぱ、ちさちゃんのこと心配だったの?」


「うん…ちさのユニフォームを着たホストみたいなのがいたから

あの子、まさかホストに狂ってるんじゃないかって心配したんだ。」

「そのホストみたいなのが俺かよ。」

「テメーだよ!あはは。安心したからもう帰る。お会計は?」

「いいよ。今日は俺が出しとくよ。」

「えっ?いいの?やったー!」

「その代わりもうこんなとこ来るんじゃないぞ。」

「おんぶ」

「マジかよ・・・」

俺は八神を見送りするために店の外に出た。


「あんな飲み方してたらそれこそ借金して風俗行きだぞ!」

「そのときは指名してね。あはは。」

「何が指名だよ。筋肉でガッチガチだし胸なんかペッタンコじゃねえか。」

「あー、触った!この人痴漢でーす。お巡りさーん!」

「コ…コラ、本当に警察来たらどうすんだよ。」



「そういやさっき、アスリートが人に与えるチカラって凄いとか言ってたじゃん。」

「あぁ…」

「ホストも同じだよ!店にいたお客さんはみんな楽しそうだったよ。

日々の生活に疲れ果てた女性たちを癒してあげてるじゃん。」

「そうか?そんなこと考えたこともなかったな…」


「ねえ、お兄さん。エンジェルス優勝出来たらいいね…」


「えっ!?」

「なんか、エンジェルスのサポーターってあったかいじゃん。

どんだけ負けても次、頑張れって笑顔で迎えてくれるしさ。

勝ったら勝ったでそれこそお祭り騒ぎじゃん。」

「エリーザは?」

「うちは勝って当たり前だから…疲れちゃった。

最近、ちさと一緒にサッカーやってた頃のことをよく思い出すんだ。

あの頃は楽しかったなーって・・・」


「ライバルがそんなんでどうすんだよ!」

「ライバル?エンジェルスは格下だから!!!ははは。」

「そうだったな。エリート様から見れば格下だったな。」

「エンジェルスが優勝したら格上の私から特別サービスで

ちさに直接おめでとうって言って御馳走でもしてやるよ。」

「そうしてやりなよ!じゃあ絶対に優勝しなきゃな。」


「お兄さん!私、今日来てよかった。本当に楽しかった!ありがとう。」

そう言い残して八神綾香は帰って行った。


接客というよりも妹の相手をしている感じだった…

(エリートとかサッカーマシーンと言われてる子でも普通の人間なんだな)





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