第九話:宮島へ
空は綺麗に晴れ渡りまさに五月晴れと言った感じであった。ちなみに五月晴れという言葉であるが、元は梅雨の時期のつかの間の晴れ間のことを言っていたらしい。現代では「5月の爽やかな晴天」という意味で広く使われるようになっている。
そんな空の下を赤いマツダ車(CX-5)が山陽道を三原から広島方面へと走っていた。ちなみにこのマツダ車の色は2017年に開発された新色で正式名称を「ソウルレッドクリスタルメタリック」というらしい。赤色をよりピュアに発色させて、瑞々しく艶やかな透明感を表現している。
「どれくらいで宮島には到着できるんですか?」
「ナビだと約1時間30分ってなってるね。途中渋滞なんかに捕まらなければだけどね。後、降りる前に宮島SAに寄って行こう。宮島が一望できるらしいんだ」
「そうなんですね。楽しみです。何食べるか考えておかないと」
スマホで宮島SAについて調べ始める美波であった。
(景色を見るのが目的なんだが……。まあ、彼女らしくていいかもな)
ーーー
渋滞に捕まることもなく、1時間ほどで無事に宮島SAに到着することが出来た。駐車場は混んでいたが、ちょうど目の前で一台車が出ていったためスムーズに停めることが出来た。
この宮島SAは大型のサービスエリアで、瀬戸内海と宮島を一望できる「展望台」や、宮島・厳島神社の「大鳥居」を再現した真っ赤なミニチュア鳥居、もみじ饅頭やしゃもじを健気に運ぶ任天堂のキャラクターのピクミンたちのフォトスポットなどがある。
またグルメも、焼き牡蠣、広島風お好み焼き、レモンソフトクリームなどのご当地グルメが販売されている。
「ちょうど車が出っていってくれてよかったですね。きっと私がさとしさんにとっての幸運の女神なんですね!」
「ならこの後もその幸運の女神さまにすがって、無事に旅行ができることを祈っておくかな」
わざとらしく美波を拝みながらさとしは言った。
サービスエリアの売店にやってきた二人。美波とさとしはさっそくレモンソフトが販売されているところにやってきていた。
「俺はサービスエリアではいつもソフトクリームを夏でも冬でも関係なく食べてるんだよ。だから今回も当然食べなくてはいけない」
良くわからない使命感に燃えるさとしであった。
「私もこのレモンソフトっていうのが気になってるんですよ。一緒に食べてみましょうよ。」
2人で仲良く並びレモンソフトを購入する。もちろんお金はさとしが2人分払っている。
「このソフトクリーム、レモンの酸味があるおかげで甘いだけじゃなくってとてもおいしいですね。あと2、3個はいけそうです。」
さとしが美波のお腹を軽くつまんで言った。
「太るぞ」
「セクハラですよ!乙女のお腹をつまむなんて。それに私太ってませんから。……たぶん」
顔を赤くして抗議する美波であった。
ーーー
展望台へとやってきた二人。
視界が開けた展望スペースからは瀬戸内海とそこに浮かぶ宮島(厳島神社のある島)をバッチリ見渡すことができた。
「私たちこれからあそこに行くんですよね。でも車で行けなくないですか?」
「そうだよ。宮島口に車を停めてフェリーで宮島にわたるんだ」
「また船に乗るんですね……」船のトラウマが抜けきっていない美波であった。
「今度の船は割と大きい船だから酔う心配はないと思うよ」
美波はそれを聞いて少し安心したようであった。
「宮島に着いたらアナゴ飯を食べないとな!」
「さとしさん、後は大鳥居で一緒に写真撮りましょうね!」
展望台で妄想をする二人であった。
ーーー
宮島SAを出発した二人は、大した渋滞もなく宮島口の有料駐車場に到着した。
島へ渡るためのチケットを購入し、船を待つ二人。
「船のお金まで出してもらっちゃってすいません」
「気にしなくていいよ。あとできればこういう時はありがとうって言ってほしいかな」
さとしはそう言って美波に笑いかけた。
「じゃあ、ありがとうございます。お礼は口づけでいいですか?」
「もう、大人をからかうんじゃないよ。そろそろ船が到着するよ」
「はーい!」
ーーー
今回の乗る船は行きはJR西日本宮島フェリー、帰りは宮島松大汽船を使う予定である。特に行きのJR西日本宮島フェリーは「大鳥居便」が運航されており、船の上から大鳥居と厳島神社が重なる美しい正面からの景色を写真に収めることができるため、観光客に人気である。
船の上から大鳥居と厳島神社を収めたのち、船は約10分で宮島に到着した。
「あっという間についちゃいましたね。」
「そうだね。でもここから結構歩くからね」
宮島のフェリー乗り場から厳島神社までの参道は右側に瀬戸内海、左側にはお店がずらっと並んでいた。
「さとしさん、おいしそうなものがたくさん売ってますよ!」
「お参りして御朱印もらったらアナゴ飯食べるんだからほどほどのしておきなよ」
苦笑しながら美波に注意を促した。
参道を歩いていると所々に鹿がいて、全く人を怖がっていなかった。
奈良の鹿も見たことはあるが、ここの鹿は割とおとなしい感じを受けた。
当然美波は鹿の写真も収めていた。
歩いているとひときわ行列ができているお店があり、列の先には紅葉堂の看板が見える。
「ここは揚げ紅葉で有名なお店だね。まだ食べたことないんだけど、食べていってみるかい?」
「絶対行く!」
そう言うとさとしの背中を力いっぱい押しながら最後尾に並んだ。
揚げ紅葉の中身は8種類あり、一番人気のこしあんや粒あん、その他にもほしぞら抹茶やチーズ、レアチーズ、クリーム、瀬戸内レモン、チョコレートがあった。
さとしは定番のこしあんを選び、美波はこしあんと女性の人気の高いㇾアチーズを選んだ。
複数を買っても持っている木串の根元に味の名前が刻印されており解るように工夫されているのはありがたい。
さとしがはこしあんの揚げ紅葉をかじってみた。
「うん、これはなかなか!口に含んだ瞬間は衣がカリッ、サクッとした感じなのに、中のカステラ生地はふんわりとして、そしてなめらかでしっとりとしたこしあんが一体となって溶けていくのがたまらないな」
両手に揚げ紅葉をもって上機嫌でかじりついている美波。
「このレアチーズも外のサクサクの衣の中からトロっとあふれ出してくるレアチーズが最高だよ!」
揚げ紅葉を堪能した二人は再度い厳島神社を目指して進んでいくのであった。
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次の投稿時期は基本的に未定です。この作品はメインの「幼馴染の境界線」の投稿の合間に作成していきますので、ランダムな投稿になると思います。




