第3章 第三十九話:激熱!『百観音温泉』
大宮のそごうで夕飯の物などを買った三人は、電車でさとしの家の最寄り駅へと戻ってきた。
そして停めてあった車に乗り込むと、さとしの家へと帰ってきたのであった。
部屋に荷物を置いて部屋着に着替えた三人はリビングでくつろいでいた。
少しして、さとしが二人に声をかけた。
「お疲れさまでした。今日は一日外にいて疲れたでしょうから食事前に温泉でも行ってみませんか?」
「この近くに温泉があるんですか?」
「車で20分ほど行ったところに『百観音温泉』という天然温泉があるんですよ。疲れを取るにはもってこいですよ!ちなみに、美肌効果もあるみたいですよ」
「「ぜひ行きましょう!」」
(温泉でさらに磨きがかかった私の若くて張りのある美肌で、今夜こそさとしさんと……!)
と、美波は密かに闘志を燃やす横では、美鈴も負けじと妄想にふけっていた。
(温泉で火照った体で迫れば、鈍感なさとしさんでも……♡)
二人がさとしをねらっているとは全く気が付いていないさとしは、
(温泉で体の疲れをほぐして、帰ってきたらキンキンに冷えたビールを!)
こうしてそれぞれに思惑を持った三人が一路温泉へと向かったのであった。
ーーー
車を20分ほど走らせると目的地である『百観音温泉』に到着した。
百観音温泉は、埼玉県久喜市にある『100%源泉掛け流し』の温泉である。温泉ファンの間では『関東トップクラス、いや全国屈指のガチの名湯』と絶賛される超実力派の日帰り温泉施設として知られている。
さとしが車から降りて歩きながら二人のこの温泉の説明をした。
「この百観音温泉は、100%源泉掛け流しで、加水・加温・循環を一切行わず、地下から湧き出た本物の温泉をそのまま浴槽に流しているんですよ。ちなみに湧き出るお湯の温度は57℃の高温泉が、毎分1,000リットルという圧倒的な湯量で自ずから湧き上がっているそうですよ」
ここで美波が目を見開いた。
「そんな熱いお湯に入ったらやけどしちゃわないんですか?」
「確かに57度のままだったら大やけどだよね。もちろん湯船に入るときにはお湯も人が入れるぐらいの適温に下がってるはずだから大丈夫だと思うよ」
そう言ってさとしは楽しそうに笑っていた。
「ちなみに泉質は『ナトリウム-塩化物強塩温泉』で、舐めるとかなりしょっぱいみたい。成分が非常に濃いから、『日本最高グレードの療養型温泉』として、湯治目的で通う人も大勢いるんだって。体の芯から強烈に温まって、さらには美肌効果やアトピー、疲労回復に良いと評判だよ」
ーーー
受付を済ませた三人は「1時間後にロビーで」と言って男湯と女湯に分かれていった。
脱衣所で着ているものを脱ぐと温泉内に入っていった。
さとしは最初に掛け湯を済ませると、人気の高濃度炭酸泉のお湯につかった。
「はぁー。生き返るー。やっぱたまにはこういう温泉に来てゆっくりと体を休めないとな」
お湯に溶け込んだ高濃度の二酸化炭素がさとしの血管を広げ、血行を刺激して流れを良くしていくのを感じていた。
十分に高濃度炭酸泉を堪能したあとに向かったのは、この温泉一番の売りである施設内最高温度の約46℃を誇る超激熱温泉である『立ち湯』に入るのであった。
「くあー!さすがにここのお湯は熱い!でも一気に目が覚めるよ」
さとしは給湯口から離れた場所から入浴し、徐々に一切加水していない源泉そのままの『熱くてガツンとくる湯』を味わうかのように給湯口に近づいて行った。
「これはさすがに長く入っていられないな」
熱さに耐えられなくなってきたさとしは、立ち湯を出て、今度はタイルの上にゴロンと寝そべれる『寝転び湯』で外気浴をしてクールダウンするのであった。
こうして他にも様々なお湯を楽しんださとしは時間が近づいていることを確認してお風呂を出ていくのであった。
ーーー
さとしが男湯の暖簾からロビーへと出てくると、ちょうど美波たちも出てきたところであった。
「二人ともお湯は堪能できましたか?」
これに美鈴が答えた。
「とても気持ちよかったですよ。でも結構温度が高めだったから、ほら肌が火照って少し赤くなっちゃいましたわ」
そう言って美鈴は襟元のシャツを下におろして鎖骨部分をさとしに見せたのであった。
美鈴の鎖骨はうっすら赤くなっており、さとしの目にはとても妖艶に映っていた。
今度は美波がさとしの手を取り、首元へと持っていったのであった。その時の美波の顔は赤くなっていたがそれが温泉によるものなのか、恥ずかしさからくるものなのか、さとしにはわからなかった。
「ほら、さとしさん。とてもすべすべになったでしょ」
そう言って悪戯っぽくさとしを見上げる美波の瞳を、さとしは直視することが出来なかった。
(今日の二人は一体どうしたんだ?こんなに俺をドキドキさせて俺をどうするつもりなんだよ……)
「ふ、二人とも温泉を堪能できたみたいでよかったよ。さ、さぁ、そろそろ戻りましょうかね」
そう言って激しく動揺するさとしは、二人を素早く車へと誘導し、心臓をバクバクさせながらも帰りの道中はなんとか安全運転を心がけるのであった。
第3章第39話をお読みいただきありがとうございました。
今回は埼玉県が誇る『百観音温泉』のお話を書かせていただきました。
是非近くまでいらした際には立ち寄って、46度のお湯を体感してみてください!
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お知らせ:次回投稿は2~3日後になる予定です。




