第3章 第三十八話:さとしの母校とデパ地下グルメ
ゴディバカフェで幸せな時間を堪能した三人は、軽くイオンレイクタウンを見たのち駅へと戻っていった。
「どうせですから夕飯は大宮のそごう百貨店の地下のお総菜売り場で買って、家で気楽にやりましょうか」
さとしの提案に美鈴が賛同した。
「それはいいかもしれないですね。それなら気分的にも楽ですしね」
そこに美波がさらにおねだりした。
「それならデザートも買っていっていい?」
「もちろん構わないよ。どうせだから俺が好きなユーハイムのフロッケンザーネトルテも買って帰ろう」
「それどんなお菓子なんですか?」
「確か、ドイツのケーキかな……。詳しくは実物を見ながらにしようか」
「ドイツのケーキってなんか美味しそうですね!」
期待に胸を膨らませる美波であった。
「あと、どうせ大宮に行くなら明日買う予定にしていた広島へのお土産も買ってしまった方がいいですね」
「それが買えるなら好都合ね。明日慌てないためにも買っていきましょ!」
ーーー
武蔵野線で南浦和に出たのち、京浜東北線に乗り換えて大宮へ到着した三人はそごうへと向かって歩き出した。
「そうだ、美波。実はこのそごうの裏手に俺の母校があるんだよ。よかったら見て行かないか?」
「ぜひ見ていきたいです!」
さとしたちはそごうの中を通り抜け、入ってきた入り口と反対側の出口から外へ出た。
そしてさとしは左側を指さした。
「あの10階建ての校舎が俺の母校の医療専門学校なんだよ」
「結構大きな建物なんですね。何かがあるんですか?」
「俺が通っていた『柔道整復科』の昼と夜の部と、『鍼灸あんまマッサージ科』の昼と夜の部があるよ」
「その二つって何が違うんですか?」
「違いは色々あるけど、俺個人の考えとしては、一番大きな違いは『柔道整復科』が西洋医学なのに対して、『鍼灸あんまマッサージ科』は東洋医学を学ぶってところかな。もちろんどちらも解剖学や生理学と言った体のつくりなんかについては学ぶんだけどね」
「なんだかちょっとだけ難しそうですね……」
「もし本当にやる気があるなら一度真剣に考えてみるといいよ。俺でよければいくらでも相談に乗るからね」
さとしがそう言うと美波は嬉しそうに答えた。
「その時はよろしくお願いします」
「それじゃぁ、そろそろそごうへ戻って、夕飯のおかずを買いに行こうか」
さとしに促されそごうへと戻っていく三人であった。
ーーー
そごうの地下へとやってきた三人はまず初めにお惣菜を買うことにした。
さとしが最初に向かったのは中華料理のお店であった。
「ここの中華は結構おいしいんですよ。いくつか買っていきましょう」
さとしはそう言うと、チンジャオロースやエビチリ、酢豚などを購入した。
それ以外のお店でも、根菜やカボチャの入ったシーザーサラダやトマトソースのかかったロールキャベツ、それにラザニアやピザなど様々なものを購入したのであった。
「夕飯の物はこれぐらいにしましょうか。そろそろお待ちかねのデザートコーナーへ行きましょう」
さとしの提案に目の色を変える美波であった。
「ではまず最初にここでこれを食べてから探しましょうか」
そう言ってさとしが二人を連れてきたのはエスカレータのそばで、小麦粉の生地が焼ける、香ばしく素朴な良い匂いと、砂糖のほのかな甘いにおいを漂わせているお店であった。
「回転焼きですね!これ私もお母さんも好きなんですよ」
「特に焼き立ては最高よね!」
「美波や美鈴さんは『回転焼き』派なんですね。ちなみにこのお店での呼び名は『御座候』ね」
「御座候は私も聞いたことがあるわ」
美鈴が思い出したように告げた。
「もしかして他にも呼び名があるんですか?」
「関東だと『今川焼』って呼ぶのが一般的かな。あと俺が愛知県にいたときには『大判焼き』って呼んでた気がするよ」
「そんなにいろんな呼び方があったらこんがらがっちゃいそうですね……」
「でも結局のところどの呼び方にしろ、美味しいことには変わりないさ」
そう言って御座候を3つ購入するのであった。
もらった御座候をおいしそうにほおばる二人。
「まだ温かいうえに、あんこの甘さもしつこくなくって最高においしいです!」
「やっぱり出来立てを食べるのが一番ね!いくらでも食べれちゃいそうだわ」
そんな二人を見て連れてきてよかったと感じるさとしであった。
御座候を食べ終わった三人はユーハイムへと向かった。
ユーハイムへやってきたさとしはショーケースの中を見てほっとする。
「まだ三個残ってましたよ。よかったぁ」
さとしはさっそく残っていた『フロッケンザーネトルテ』を購入したのであった。
その後、広島へ買って帰るお土産を買うため、全国の銘菓が集められているブースへ行き、その中にある埼玉県の銘菓を集めた場所へとやってきた。
ここで美波と美鈴は、あれこれ言いながら『五家宝』や『草加せんべい』に『彩果の宝石』などを購入した。
また、和菓子の十万石へ行き、『十万石まんじゅう』も購入したのだった。
「たくさん買いましたね。半分持ちますよ」
「ありがとうございます。なんか目移りしてしまって色々買ってしまいました」
さとしは一部の荷物を二人から受け取ったのであった。
十分にお土産を購入できた二人は満足し、さとしの自宅へと電車で三人仲良く戻っていった。
第3章第38話をお読みいただきありがとうございます。
今回出てきた『御座候』ですが皆さんはなんて呼んでいますか?
ちなみに関東に来る前の愛知県では『大判焼き』と『今川焼』の両方のお店がありました。
良かったら皆さんの地域のことを教えて下さい。
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