第3章 第三十三話:ブルドックソースとソース焼きうどん
鳩ケ谷氷川神社で御朱印を頂いた三人は、鳩ケ谷駅に向かっていた。
時間は12時を回っており、そろそろお腹もすいてくる時間帯である。
美波がさとしに期待に満ちた目を向ける。
「さとしさん、お昼ご飯はどうしますか?」
美波のその問いにさとしが答えた。
「できたらお昼ご飯はもう少し後にしたいんですがいいですか?」
そのさとしの言葉に、「えっ」と言って固まり、この世の終わりといった表情をする二人。
「その代わり、ここでテイクアウトで買える鳩ケ谷の名物を食べておこうと思うんだ」
その言葉に死にそうな顔をしていた二人の顔が、一気に天国へと昇りそうな幸せに満ちた表情へと変わった。
「そ、その名物って何なんですか?」
美波はグイっとさとしの顔に自分の顔を近づけて、前のめりになりながら聞いてきた。
「美波、落ち着いて。そうだな……。ならヒントをあげよう。ここ鳩ケ谷は実はブルドックソースの工場が1935年に新設されてから2023年の9月まで、88年間にわたってあったんだ。その間ずっとソースを製造していたんだけど、その関係で生まれたB 級グルメが今から食べるものになるかな」
「っていうことはおソースを使う料理なのね……。例えば『焼きそば』とか?」
「美鈴さん、惜しい。ちょっと麺の種類を変えてみましょうか」
「麵の種類を別の物に……。なら『焼きうどん』じゃないかしら?」
「そうなんです。ここ鳩ケ谷の名物は『ソース焼きうどん』なんですよ」
二人はソース焼きうどんを想像して、今にもよだれをたらしてしまいそうな危うい表情をしていた。
「本当はお昼ご飯にどこかのお店で食べていこうと思ったんですけど、55年続いた人気店が最近閉店してしまったり、夜だけの提供だったりでなかなか見つからなくて。そんな時に見つけたのがテイクアウト専門のお店だったんですよ」
事前に一生懸命調べてくれていたことに感動する二人であった。
美鈴:(やっぱりさとしさんは優しい人ね)
美波:(私絶対にさとしさんに一生ついて行く!)
「お店は駅の反対側なので、それまで我慢してくださいね」
「「はい!」」
とても良い返事が返ってきたのであった。
ーーー
途中のコンビニでお茶を三本買い、テイクアウト専門の焼きうどん屋へやってきた三人。
3つ注文すると、店主が鉄板の上で炒め始めた。
ソースの香ばしい匂いが空腹の胃袋を激しく刺激していた。
美波と美鈴の二人は店主が動かすへらに視線がくぎ付けとなっていた。
「はい。お待ちどお様」
そう言ってパックに詰められた3つのソース焼きうどんの入った袋を受け取った。
三人は来る途中にあった公園に戻りそこのベンチに腰を掛けて頂くことにする。
ソース焼きうどんには、ブルドックソースと共同開発した専用ソースが使われており、オイスター(牡蠣)のエキスと、かつおの旨味が贅沢にブレンドされていて、酸味控えめで、ダシが利いた奥深い「甘口」となっている。
「「「いただきます」」」
三人は仲良くいただきますを言うと、割り箸を持ってうどんに伸ばしていった。
「ソース独特のコクのある甘みと出汁の香りが最高にマッチしていておいしいです!」
美波の言葉に美鈴も続く。
「それだけじゃないわよ。うどんがソースとよく絡んでるうえ、噛んだ時の食感が『もちもち』していて癖になりそうだわ!」
二人が美味しそうに食べている姿を見ながらさとしが話した。
「ソースもうどんも『ソース焼きうどん』用に特別に開発されたものを使っているそうですよ」
「だからこんなにおいしいのね!いくらでも食べられそうだわ」
「納得のおいしさだね。ほんといくらでも食べられそうだよ」
相変わらずの食いしん坊ぶりを発揮する二人であった。
そんな幸せそうな二人を見ながらうどんを食べているさとしの表情は、とても穏やかなものであった。
第3章第33話をお読みいただきましてありがとうございます。
今回は鳩ケ谷名物『ソース焼きうどん』に焦点を当ててみました。
私もまだ食べたことがないので休みの日に御朱印もらいがてら買ってこようと計画中です。
もし皆さん行かれるようでしたら、事前にお店の場所などを調べてから行かれることをお勧めします。
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