第3章 第二十二話:川越散策(通りゃんせの細道)
菓子屋横丁をあとにした三人は、菓子屋横丁を東口から出て、先ほど通ってきた「札の辻」の交差点まで戻り、その交差点を東へ進むと、最初に見た『時の鐘』が右手に見えてきた。そのままこの「かねつき通り」をまっすぐ東へ直進していくと、右手に「川越市役所」がある大きな交差点(大手町交差点)に出てきて、ここも信号を渡ってそのまま真っすぐ東へ進んで行く。さらに直進すると、右手に「川越城本丸御殿」が見え、その向かいにある公園が次の目的地であった。
「また結構歩かせちゃいましたけど大丈夫でしたか?」
「さっき沢山栄養補給したから全然平気ですよ!」
そう言うと美波は右手をくいっとまげて力こぶを作る真似をした。
「さっき沢山食べちゃったし、ちょっとは歩いてカロリーを消費しないとね」
美鈴はぷにっとお腹をつまむ真似をした。
「それならよかったです。ちなみにこの神社の名前は『三芳野神社』と言って、ここの参道がとあるわらべ唄の舞台になっているんですよ」
「何て名前のわらべ歌なんですか?」
美波が問いかける。
「それはちゃんと御祭神である菅原道真公にお参りすれば、きっと教えてくれると思うよ」
そう言って意味深に笑うのであった。
「菅原さんが教えてくれるって……、それってもしかして心霊現象ですか?」
胸の前で両腕を抱えるようにしてぶるぶると震えてみせる美波。
「とりあえず心霊現象じゃないし、神様に失礼だから……。どちらかというとお告げみたいな感じじゃないかな」
そう言って悪戯っぽくウィンクするさとしであった。
沢山の樹々がはえる公園の真ん中を通る石畳の参道を進んでいく三人。
その先には朱塗りの社殿が見えてくる。
美鈴が周りを見渡して呟く。
「今日は誰もいないんですね」
「ここは土日でないと御朱印を書いてもらえないのもあるんじゃないかな……」
その言葉に美波が反応する。
「え、それじゃあ御朱印もらえないんですか?」
「ごめんごめん、言い方が悪かったね。ここではもらえないんだけど、この後に行く『川越氷川神社』の社務所でいただけるから安心して」
「平日はそちらで取り扱ってくれているんですね」
そう言ってほっとする美波であった。
社殿の傍までやってきた三人。
さとしが美波の方を向いた。
「いいかい、美波。ちゃんと菅原道真公に答えを教えてくださいってお願いするんだよ」
「ええ、それホントにやるんですか……。さとしさんが言うならやりますけど……」
半信半疑と言った表情で社殿の前に立ったのであった。
三人はお賽銭箱にお賽銭をいれ、お参りをしていく。目を閉じ手を合わせていると、どこからともなく音楽が流れてきた。
お参りを済ませた美波が聞き耳を立てていた。
「このわらべ唄知ってます!たしか『通りゃんせ』ですよね」
「正解。ちゃんとお参りしたら答えがわかったでしょ」
そう言って笑うさとしであった。
さとしは二人を境内にあるわらべ唄の石碑の前へ連れて行った。
「ちなみに唄の中にある『天神様の細道じゃ』という一節があるけど、天神様というのが菅原道真公で、細道が今通ってきた参道のことを指しているんだよ」
「ならまさに私達はわらべ唄の『通りゃんせ』の舞台を歩いてきたってことになるんですね!」
美波がそう言うと、美鈴も続く。
「そして天神様になった菅原道真公が通った道を通ったことにもなるわね。そう思うと感慨もひとしおね!」
そう言って歩いてきた長い参道を見つめるのであった。
お参りを済ませた三人は御朱印をもらうために次の目的地であり、今回の最終目的地でもある川越氷川神社へと向かって歩きだしたのであった。
第3章第22話をお読みいただきありがとうございます。
今回は『通りゃんせ』の舞台となった三芳野神社について書かせていただきました。
私もここを訪れるまで舞台となっことを知らなかったです。埼玉県人として恥ずかしい限り……。
読者さんの地元にも同じようにわらべ歌などの舞台になった場所はありますか?
良かったら教えてくださいね。
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